3月16日(日) 2008 J2リーグ戦 第2節
甲府 0 - 0 徳島 (14:03/小瀬/9,687人)
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やっぱり慣れていない。ピッチの中も外もJ1昇格を現実的な目標としてシーズンを戦うことに。開幕2試合連続の引き分けに対してブーイングで反応することがチームの前進を後押しするのか、しないのかも判らない。ただ、確実なのはヴァンフォーレ甲府というクラブとサポーターはこうやって、「今」、未知の経験の中で前進している最中だということ。決して立ち止まり停滞している訳ではないということだけは確実だと感じる。
前半は甲府の時間だった。3トップのプレスからディフェンスラインの個の対応までしっかりファイトしていた。少なくとも守備では第1節から大きく前進していた。攻撃では25分にクサビのパスとその落としのタメを利用して大西容平がディフェンスラインの裏に飛び出したシーンや、クロスにボールへの反応など決定機は作ることが出来た。狭いエリアを崩すというシーンは出せなかったが、決定機の数でもバリエーションでも前進を見せた。ゴールが少ないという現状・昨年と同じ課題に取り組みながらも、昨年の1/4と今年の1/4では立ち位置が違うことはプレーで発揮していた。
後半も甲府の主導権のもとで時間が進んでいったが、59分に阿部祐太朗が投入されてから徳島が怖さを発揮する。阿部の積極性と前線からのプレスが甲府のミスを引き出し、カウンターのチャンスを増やした。前半はリスクを負わなかったし、パスワークやサイドからのクロスの精度が低くて狙い通りの攻撃は発揮できなかった。40分のドゥンビア→麦田和志→玉乃淳→ドゥンビアと繋いだ素晴らしいカウンター以外は大した見所はなかった。しかし、後半は前から積極的にボールを奪いに行くことで流れを変えた。美濃部直彦監督の手腕と応えた選手は徳島の進化の一端だった。それでも強さはないが、アクロバティックにボールに喰らいつく甲府のディフェンダーはドゥンビアに決定的な仕事はさせなかった。なかでも、高さも強さもないCBの山本英臣がクリーンでアクロバティックなタックルで粘り強くファイトする姿は印象に残った。感情的になりやすい彼が黙々とチームの為に耐えて戦っていた。
そして、後半の後半はお互いにフレッシュな選手を投入して決定機を作ってシーソーのバランスを変えようとしたが、最後はGKが存在感を出してシーソーが向こう側の地面に着くのを防いだ。その中で、藤田健から左サイドのスペースに飛び出した大西容平に出たパスが繋が通らなかったシーンに進歩のための余地を感じた。ボールがタッチラインを割った後、藤田は両方の人差し指を曲げて目の前に持っていって、前後に動かしながら怒鳴った。「走り出すタイミングも遅いし、ボールを見ないで走っていたからね。ボールを受ける身体の向きも出来ていなかった」。ナショナルトレセンや中学や高校のサッカー部で若い選手が徹底して修正される事柄。他の部分では大西はよくファイトしていたし、これは彼だけの問題ではない。ビッグクラブのレギュラー選手なら身に付いていることだろうが、彼らはビッグクラブではなく甲府に流れ着いた。スモールフィールドで徹底的に鍛えられ、成長した彼らに不足している技術・感覚の一端といってもいいのかもしれない。疲れているときこそ、この部分の質がモノを言う。
「(長いシーズンの)流れで言うと、今(苦しい時期が)来ている。昨年J2で優勝した札幌も10試合で勝ち点を7しか取れなかった時期がある。ここでチームが分解するのか、お互いに一つのチームとしての覚悟を決めることが出来るのかが決まってくると思う。楽じゃないことは誰も感じている。選手は試合後のストレッチのときに動けないほど精一杯戦っている。手を抜いたヤツはいない。甲府と戦うとき、相手のテンポが上がってくるがそれを引き出しているのも甲府。それが新しい壁なら乗り越える」
試合後の会見で安間貴義監督は誠実な態度で話した。
開幕戦に比べるとガラガラだった記者会見場。質問に対して手を抜かないで答える安間監督。その言葉を思い出すとブーイングには当たらない試合だったと思うようになった。選手は「自信は失っていないし、落ち込んでもいない」と強気で話すが、本音はどうだろうか。自信は失っていなくても、見て欲しかった部分を見てくれていたのかという気持ちになっているのかもしれない。何ヶ月か後、どんな感情で今を振り返ることが出来るのか判らないが、今こそ一喜一憂しないでサポートすることが必要ではないかと感じた。
以上
2008.03.17 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第2節 甲府 vs 徳島】レポート:甲府・生みの苦しみの2戦連続の引き分け。ブーイングを拍手に変えるため、前進が勝ち点3に繋がらないもどかしさを乗り越えなければならない。(08.03.17)
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