今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第3節 水戸 vs 甲府】プレビュー:頑固一徹こだわりの攻撃サッカーを見せるチーム同士の対戦。だからこそ、勝利のための「あえて」にも注目したい。(08.03.19)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月20日(木)J2 第3節 水戸 vs 甲府(16:00KICK OFF/笠松
-ゲームサマリーはこちら-
-水戸へ行こう! スタジアムガイドはこちら-

-★勝敗予想ゲーム!J2第3節は20日13:00締め切り!-
----------

「今年はいい年にしなくちゃいけないんだから」。昨季けがで8ヶ月もの間、戦線離脱を余儀なくされた大和田真史は自らを奮い立たせるかのようにこう語った。しかし、それは大和田自身のことだけではない。チームも昨季は苦しい1年を送ったからこそ、それを無駄にしないためにもいい1年にしなくてはいけないのだ。開幕から2連敗を喫したものの、選手たちの前に進もうという強い意思がチームを支えており、「1回勝てば変われるはず」(小澤雄希)という自信が試合ごとに水戸にはみなぎるようになっている。

 それは今季水戸が目指すサッカーに確実に近づいているという実感があるからだろう。C大阪戦、福岡戦ともに敗れはしたが、前線からの激しいプレスと巧みなボール回しで水戸は果敢に攻め立てた。前節はサイドを崩してゴールを奪い、「チームは前進している」と木山監督もチームの成長を認める。「2試合とも負けた感じがしない。90分間戦った後に充実感がある。これで勝てたら言うことないところまで来ている」と大和田は現状のサッカーへの手応えを語った。

 だが、2連敗という結果が表すように課題が多いということから目を逸らしてはいけない。2試合で4失点という守備面は修正が必須である。特に右サイドを狙われるケースが多く、金澤大将が守備に追われ、得意の攻撃参加に至っていない。また、福岡戦の2失点目のように終盤になるとプレスが甘くなるという欠点も露呈している。そして、攻撃面においてもサイドから崩すことはできるが、フィニッシュの精度を欠き、決定力不足にあえぐこととなっている。「点を取るところと守備で体を張ること。攻守においてあと一歩を突き詰めないといけない」と菊岡拓朗は初勝利のために必要なことを語った。

 開幕から2引き分け中の甲府も同じことが言えるだろう。もはや甲府のお家芸とも言えるパスサッカーは監督が代わっても健在。2戦ともに華麗なパスワークで相手を翻弄する場面を見せている。しかし、その反面、遅攻が多いためゴール前で停滞することが多く、昨季からのチームの課題である「4分の1」の部分を埋め切れていない様子だ。また、細かなパスにこだわるあまり、そこでのミスにつけこまれてピンチを招くシーンも多く見られる。開幕戦での失点はまさにそのパターンであった。甲府にとって必要なものも「攻守においてのあと一歩」であることに変わりはない。

 それでも「相手に合わせることはしない。自分たちのサッカーを貫くだけ」と水戸・木山監督は語り、甲府・安間貴義監督も「今トライしていることは出ている。(それを)変えるのは簡単だけど、そこは信じてやっていく」と言うようにともに攻撃サッカーを貫く構えであり、長所を伸ばして短所をカバーしていく方針を打ち出している。どうやら今年の1月にS級ライセンスを取得した同期監督は相当の頑固者なようだ。相手をねじ伏せるまで自分たちのサッカーを貫く−−その指揮官の気概が今季の両チームの魅力でもある。

 そんなこだわりの攻撃サッカーを見せる両チームの対戦だからこそ、「あえて」にも注目したい。自分たちのサッカーを引き出すためにどれだけ「あえて」他のことができるか。おそらくそれは試合終盤に訪れるだろう。水戸は前線からのプレスがチームの生命線だが、90分間続けるのは無理である。特に体力の落ちる終盤の戦い方が問題だ。「ゲームの流れを把握して戦わないといけない」と大和田が言うように、その時に「あえて」DFラインを下げて、前線にスペースを作ることができるか。そうすることにより、金澤と小澤の両サイドバックの突進力が今以上に生きるはず。プレッシングサッカーとカウンターサッカーの融合ができればチームの幅もさらに広がることだろう。
 甲府も前節同様、終盤のジョジマール投入がカギを握るはずだ。得意のパスサッカーだけでなく、彼のスピードを生かした速攻を有効に使えれば水戸DFにさらなる脅威を与えることとなる。こだわりの強い両チームだからこそ、そうした「あえて」による変化が試合をさらにヒートアップさせることだろう。

 ともに喉から手が出るほどほしい今季初の勝点3を目指しての戦いだけに「タフな試合になる」(小澤)ことは間違いない。それだけに90分通しての戦い方が左右することになるだろう。特に水戸は木山監督の采配に期待したい。開幕戦では22分で退席。いわば、木山・水戸の本当の開幕でもある。「前回は皆さんに迷惑をかけて申し訳なく思っています。とにかく勝利でお詫びしたい」と木山監督はリベンジを誓っており、勝利のためのタクトさばきに注目だ。

 そして、何より攻撃性が売りの両チームの対戦であり、スリルとエンターテインメントに満ちた90分となる予感が漂っている。見ておいて損はない一戦になりそうだ。期待を胸に詰め込んでスタジアムに足を運んでほしい。

以上


2008.03.19 Reported by 佐藤拓也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着