4月19日(土) 2008 J2リーグ戦 第8節
岐阜 2 - 3 横浜FC (14:03/長良川/6,269人)
得点者:20' 片山真人(岐阜)、44' オウンゴ−ル(横浜FC)、60' 吉村光示(岐阜)、81' 八田康介(横浜FC)、89' アンデルソン(横浜FC)
----------
「今日はどうしても勝ちたかった試合」と都並監督が語ったように、前節に今季初黒星を喫したために、横浜FCにとっては何としても連敗は避けなければいけない試合だった。この勝利への執念が、この試合を最後の最後で動かすこととなった。
都並監督のサッカーを例えるなら、つかみどころのない液体のようなサッカーと言うべきか。具体的な戦術やパターンはなく、選手が試合の中でフレキシブルにポジションを変化させ、リズムを自らの手で作り上げていくサッカーと受け取れる。つまり、そこには完成形はなく、「今この状況であったら、こうすべき」と常に流れの中で変化に富んでいる。一見は狙いがはっきりしないつまらないサッカーに見えるが、実はピッチ上では狙いを持った様々な予防線が張り巡らされている。これに気付かないでいると、たちまち横浜FCの網に引っかかり、気付いたときには時既に遅しとなる。
今日の岐阜はまさにそうだった。立ち上がりは先手を仕掛ける岐阜がペースを握った。今季初めてスタートから三浦淳をボランチに、エリゼウをセンターバックに置いてきた横浜FCに対し、岐阜はエリゼウと八田の両センターバックの連携不足を付いて、チャンスを作り出す。DFラインと中盤のラインの2ラインを高い位置まで押し上げ、奪ったボールを素早くサイドへ展開。サイドでは梅田、高木と片桐、片山の2トップがうまく絡んで、数的優位を作り出し、横浜FCを押し込んでいった。20分には、左サイドからのスローインを受けた片山が、リターンすると見せかけて一気にペナルティエリア内に切れ込んでいく。完全に面を食らった横浜FC守備陣の対応が遅れるのを尻目に、片山はそのまま深く切れ込んで先制弾を叩き込んだ。
ここまでは岐阜の流れだった。しかし、ここからじわじわと都並サッカーの真髄が顔を出してくる。スタートは【4-4-2】のボックスだったが、途中から右サイドの三浦知がトップ下の位置に入り、根占が右サイドに上がったり、三浦淳と小野のポジションが入れ替わったり、中盤が流動的に変化していく。岐阜は守備の約束事として、中盤のキーマンである三浦淳に必ず一枚は当たるようにしていた。しかし、その三浦淳のポジションが変化していくのだから、気付かないうちにマークが重なってしまうシーンが増えていく。横浜FCの狙いはまさしくそこだった。「淳さんにプレスが集中していくので、チーム全体のビルドアップが出来た」とDF八田が語ったように、岐阜は綺麗な2ラインを形成していた序盤と違ってラインに歪が生まれ、横浜FCは増えた中盤のスペースに次々と選手が飛び込んでいく。25分過ぎには試合は横浜FCペースに変わっていった。岐阜にとってはプレスを掛けているはずなのに掛からないという状況に陥り、知らず知らずのうちにバランスを崩していく。44分には右に流れたアンデルソンのクロスに飛び込んだ小野のヘッドが、バーに当たって跳ね返ったボールが岐阜のMF菅に当たり、オウンゴールとなって横浜FCが追いつく。このゴールは一見ラッキーに見えるが、ボランチにいた小野がゴール前に出来たスペースに飛び込んだからこそ生まれたものであった。
1-1で迎えた後半、60分に岐阜は横浜FCの一瞬の隙を突いて、奈須のロングスローから吉村が勝ち越し弾を挙げるが、完全に横浜FCの網に掛かった状態では、いつもの相手をいなすサッカーを展開できなかった。
失点後、都並監督は60分に小野に代え滝澤を、61分に難波に代えチョ・ヨンチョルを、64分に三浦知に代え池元を投入し、一気に交代枠を使い切って勝負に出る。この強気の策が実を結んだ。滝澤、チョ、池元が流動的だった中盤をさらに流動的にし、より岐阜の守備の歪を生み出していった。プレスがなかなかはまらず、長い距離を走らされるようになった岐阜は、徐々に足が止まり出し、中央でのブロック形成へ守備方法を転化していったため、両サイドに広大なスペースが生まれ、そこを横浜FCに有効活用されてしまう。
すると81分、三浦淳の強烈ミドルシュートはGK水谷のファインセーブで凌いだが、そこからのCKを八田に押し込まれ、試合は振り出しに戻る。勢いに乗った横浜FCは、守りに入らずに勝ち越し弾を狙いに来た岐阜に対し、カウンターの準備を進めていく。そしてロスタイム、ピンチを凌ぐと、一気にカウンターを仕掛け、中央のチョが左サイドのスペースに送ったスルーパスに反応したアンデルソンが、豪快に右足を振り抜き、値千金の決勝弾を叩き込んだ。
鮮やかな逆転勝ちを収めた横浜FCに対し、岐阜からしてみれば『勝てる試合を落とした』という感情が残る試合だった。しかし、この敗戦は必然の敗戦だった。なぜならば、横浜FCが敷いた予防線に引っかかり、最後まで絡まったままで行ってしまった。もし早く手を打つことが出来たならば、一度守備をリトリートに切り替えて、様子を見る時間を作っても良かった。一定のリズムで試合を進めてしまった代償は大きかった。
確かに岐阜がピッチ上で繰り広げたサッカーは決して悪くはなかった。いつもの岐阜の狙いがはっきりとした質の高いアクティブなサッカーは出来た。しかし、相手が悪かった。横浜FCのつかみどころのないサッカーをいなすだけの柔軟性を出せなかった。これがこの試合の最大の敗因であろう。
横浜FCのサッカーはこれからどう作り上げられていくのか。岐阜を担当している筆者でも、都並サッカーの今後に大きな興味を持った一戦であった。
以上
2008.04.19 Reported by 安藤隆人
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第8節 岐阜 vs 横浜FC】レポート:普段通りのサッカーを展開したが…奥深い都並サッカーに飲み込まれた岐阜(08.04.19)















