5月3日（土）J2 第11節 草津 vs 甲府（13:00KICK OFF/正田スタ）
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もう引き分けでは満足できない。それは草津の選手、サポーターともに同じ想いだ。

草津は前節アウェイ福岡戦、島田のファンタスティックなゴールで１-１のドローへと持ち込んだ。鳥栖、山形戦に続いて３試合連続のドロー。簡単に黒星を献上したリーグ序盤に比べて、戦えるチームになってきたことは確かだ。ただ、昨季リーグ最多となる21の引き分けを記録した草津としては、ドローを勝利へと変えることがチームに課せられたタスクだ。「負けないチーム」から「勝ち抜くチーム」へ。甲府戦は、３連続ドローの評価が問われるゲームとなる。

　今試合はある意味で、因縁の試合だ。「安間貴義監督」。草津サポーターの中には、この名前を覚えている人もいるだろう。草津と安間監督との前回の対戦は、２００４年１２月５日まで遡る。草津は、当時ＪＦＬ・ＨｏｎｄａＦＣを率いていた若き指揮官によって、最大の屈辱を与えられたのだ。

２００４年のＪＦＬ。Ｊ２自動昇格圏内（当時は原則２位以内）を目指していた草津は、２位で最終節を迎えた。３点差以上で負けなければ２位確保という状況だったが、その隙につけ込んだのが安間監督だった。草津は０-３で敗れ、得失点差により３位に転落した。結果的にＪ２昇格が認められたものの、涙の昇格となってしまった。「今でもハッキリと覚えている。忘れられない試合だ」（鳥居塚）。シーズン後、Ｊ２入りが決まった草津に対して、安間監督は甲府コーチとしてＪリーグへと「昇格」。時は流れて２００８年、両者はＪ２という舞台で再び顔を合わせることとなった。安間監督との戦いは、２００４年のリベンジだ。

２００４年に苦杯をなめた植木監督だが、パスサッカーを貫く甲府との対戦を心待ちにしている。「今年のＪ２は前線にボールを入れてくるチームが多いが、甲府はパスをつないでくる。面白いゲームになるだろう」。草津は５月１日の練習前ミーティングで、甲府が広島を下した第８節のビデオを徹底チェック。選手に甲府のイメージを植え付けた。さらに指揮官は「甲府は前節で熊本に負けたので、気合を入れてくるはずだ」と警戒を強める。草津が甲府を倒すためには、運動量、そして気持ちで上回ることが絶対条件だ。

パスを中心としてゲームを組み立てるという共通のベースを持つ両チームではあるが、完成度は甲府が一枚上手であることは間違いない。甲府と草津が大きく違うのは、ゴール前に飛び込む人数だ。クロスボールに対して、３、４人が果敢に飛び込んでいく甲府に対して、草津はＦＷまでがチャンスメークに加わるため人数が不足するシーンが目立つ。鳥居塚は「チーム全体での攻撃がイメージできずに戸惑いがある。つなぐためのポゼッションではなく、ゴールを奪うためのポゼッションが必要だ」と話す。リーグ最少得点、リーグ最少シュート数の草津は、いかにアタッキングサードへボールを運び、いかにフィニッシュまで持ち込むかがポイントとなる。草津のポゼッションサッカーが甲府に対してどこまで通用するのか。草津は今試合で、自分たちの現在地を確認することになる。

草津は５、６月に計１３試合が予定されているが、指揮官はここが今季最大の山場になると考えている。上位陣に食らいついていけるのか、このまま下位に沈むのか。もし、結果が出なければ若手中心の選手起用へ移行することも視野に入れるという。草津の選手にとって、この２カ月は単なるリーグ戦ではない。それぞれの人生が懸かった戦いだ。そのスタートとなる甲府戦。もうドローはいらない。勝負への熱い気持ちをサポーターへ届けてほしい。

以上



2008.05.02 Reported by 伊藤寿学