5月11日(日) 2008 J2リーグ戦 第13節
湘南 2 - 1 鳥栖 (16:04/平塚/5,023人)
得点者:49' アジエル(湘南)、51' 阿部吉朗(湘南)、89' 金信泳(鳥栖)
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鳥栖が用意した策は、アジエルに対するマンマークだった。アジエルをして、「影のように付いてきた」のは、俊足の山城純也である。つまり鳥栖は、藤田祥史を1トップに据えた4−4−1を形成し、一方で山城がアジエルにぴったりと張り付いたわけだ。
思い出されるのは、昨年8月に鳥栖で行なわれた両者の対戦である。このときも鳥栖はアジエルに対してマンマークを講じた。その際付いたのは鐡戸裕史だったが、アジエルが一瞬の隙を突いてマークを外し、落ち着いてゴールを沈めている。結局このゲームは荒天により後半を迎えることなく流れ、9月の再試合ではうしろの2ラインをコンパクトに敷いた鳥栖が勝利していた。
攻撃の中心にふたたび枷を付けてきた相手に対し、しかし湘南は開始3分の原竜太のシュートを皮切りに攻め立てる。10分には臼井幸平から加藤望へとサイドを変え、鈴木伸貴のクロスに走りこんだアジエルがヘッドを叩きつけた。続いて加藤とアジエルのホットラインから石原直樹が強烈な左ミドルを撃ち、また坂本紘司のボール奪取から原とアジエル、鈴木伸を経て加藤がゴール前に襲い掛かる。27分には坂本からパスを受けた加藤のミドルが激しくバーを叩いた。かたや鳥栖はカウンターを中心に、衛藤裕のシュートや長谷川豊喜の攻め上がりを絡めて応戦する。だが前線に始まる相手の守備網は堅く、45分間はほぼホームチームの手中にあった。
「いつもどおりプレーした」と加藤が振り返ったとおり、湘南は前半から自分たちのサッカーを遺憾無く発揮していた。ただ前節の水戸戦同様、得点には至っていない。裏を返せば、「前半0に抑える」という岸野靖之監督の目論見は果たされていた。ベンチには金信泳と高橋義希、日高拓磨という攻撃的選手が控えている。果たして鳥栖は、開始から金と高橋を一気に送り出した。対する湘南も、前節に初ゴールを挙げた阿部を投入する。
ゴールが欲しい後半、早々にスコアを動かしたのはホームチームのほうだった。49分、加藤のフリーキックをアジエルがヘッドで合わせた。前半から、また後半に入ってからも、この小柄なファンタジスタは立て続けにヘディングシュートを放っている。「マークが違っていた」という岸野監督の述懐どおり、ゴール前でのマークの受け渡しの隙を突いたアジエルの先制弾だった。
湘南の攻勢はなおも終わらない。2分後のことだ。阿部と同じく前節初ゴールを決めている坂本が、ゴール前のアジエルへピンポイントクロスを送る。アジエルがヘッドで落としたボールに反応したのは阿部だった。体ごと押し込む彼らしい泥臭さで、湘南が追加点を挙げた。振り返ってみれば、前半に充満していたゴールの気運を後半開始とともに一気に爆発させたのだった。
2点のビハインドを背負った鳥栖は、金を中心に反撃に転じる。湘南の囲い込む守備には苦労するも、サイドから持ち込んで深さを取り、折り返しのクロスに走りこむ。残り15分を切ってからは衛藤や金のミドル、またセットプレーから攻め立てた。対する湘南も、山口貴弘をはじめとする体を張った守備で粘り、ときにカウンターを狙う。ロスタイムに入り、鳥栖はコーナーキックから金のヘディングシュートでついに敵のゴールをこじ開けるが、怒涛の反撃もここで潰えた。
「残念」鳥栖の岸野監督は語った。ただ、「次の戦い方はよく見えたので、大きな成果になった」と、敗戦の一方で手応えも掴んでおり、残る2つのホーム湘南戦を見据え、リベンジを誓った。まずは1週間後、ベアスタにて首位の広島を迎え撃つ。金に8試合ぶりにゴールが生まれたことも心強い。次々節の甲府戦とあわせて、第1クールのラスト2ゲームを大事に戦いたい。
湘南の菅野監督は、「自分たちのサッカーを、シュートで終わるということも含めて、やりきったと言える」と振り返った。思えば、指揮官がアウェイの鳥栖戦から指揮を執った一昨年は、前半と後半で違う表情を見せる点がチームの大きな課題だった。今節も、仮に前半の内容を受けて落ち着いてしまっていれば、そのまま敵の術中にハマることになったろう。しかし、「やりきる」姿勢で結ばれているチームは、インターバルの15分など意に介さない。むしろ交替選手の力もあり、指揮官の言葉を借りれば、残る45分間にさらなる「パワー」が備わっていた。監督のもと、一つひとつ着実に積み重ね、ピッチで表現する選手たちの姿がある。一つひとつ――つぎは好調・C大阪に挑む。
以上
2008.05.12 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
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