5月17日（土）J2 第14節 鳥栖 vs 広島（13:00KICK OFF/ベアスタ）
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「今の鳥栖の力を計るには、格好の相手」と岸野監督は不敵に微笑んだ。
５位の鳥栖は、６勝３分け３敗で勝点２１。得点は１５チーム中１０位の１３得点。平均１６点には及ばない。
しかし、５位である。この要因に、「失点の少なさ」があげられる。

今節対する広島は、８勝２分け２敗で首位に立つ。得点もリーグ首位の２５得点をあげており、失点はリーグ最小の９失点である。２敗はしているが、J２ディヴィジョンの中では一つ抜き出た存在であることは、誰もが認めるところ。その広島相手に冒頭の言葉である。
広島のファンやサポーターが聞いたら、怒り心頭のことだろう。

その鳥栖が、上位に位置しているのは、相手を打ち破ってとは言い難い。むしろ、耐えて失点を抑えることにより、最少得点で逃げ切っていると言える。６勝のうち、最少得点差で５勝をあげていることが、証明している。逆に３敗した中で、無得点試合が２試合ある。残りの１試合は、前節の湘南戦で、アディショナルタイムに金信泳がヘディングで決めたものである。
やはり、「鳥栖は無失点を常に目指す」（岸野監督/鳥栖）サッカーを行なわなければ、勝点３を得ることは難しいといえる。
今節は、鳥栖のホームスタジアムで広島を迎え撃つ。今季のホーム戦では、未だ負けがない。しかも、ホーム戦６試合中３試合が無失点。残りの３試合も１失点とホームでは、心強いデータを残している。
鳥栖のファンやサポーターなら、冒頭の言葉にうなずける。

前節の広島はアウェイ戦ではあったが、福岡相手に「レベルの違うサッカー」（岸野監督/鳥栖）を展開して完勝した。
ＦＷ佐藤寿人が常にＤＦ裏の危険地帯でその存在を示したかと思えば、ＤＦ森脇良太やストヤノフまでもが前線に顔を出した。
好機と見ると全員が一丸となりゴールを目指し、危険と判断したら身体を張ってボールを跳ね返す。一人一人が、与えられた役割を忠実にこなし、決して無理をしない。そのうえ、ミスが極端に少ないために「したたかな試合運び」（岸野監督/鳥栖）を行っている。これが、リーグ最多の得点と最少の失点につながっている。首位にいるチームたる由縁でもある。

ならば、今の鳥栖には、冒頭のコメントを発する自信は、何があるのだろうか？
前節の湘南戦で、何か手ごたえをつかんだのだろうか？
その答えは、キャンプ中から感じている「鳥栖らしさ」に違いない。
「９０分間、走り続けるフィジカルと切らすことない集中力」（岸野監督/鳥栖）は、今季の鳥栖の最大の武器。ＦＷ藤田祥史と金信泳から、容赦なくボールを追いかける。ディレイがかかれば鳥栖のチャレンジが始まる。争点に人数をかけてボールを奪いに来る。相手の自由を奪い、プレーの幅を狭くしてしまう。そこにミスが生まれ、流れを引き寄せてしまう。
今節も「前線からの攻撃的な守備」（岸野監督/鳥栖）を行う腹づもりである。
だからこそ、冒頭の言葉になるのである。

スタジアムに駆けつけた鳥栖のファンとサポーターは、ＦＷからの攻撃的な守備と奪ったボールをシンプルにＤＦ裏に展開する鳥栖の戦術を見て欲しい。広島の３バックの背後に出来るスペースは、鳥栖が狙う急所でもある。そこからのクロスや切り込んでの展開からのゴールを期待しよう。
広島のファンやサポーターは、鳥栖の「攻撃的な守備」（岸野監督/鳥栖）をどのようにしてかわすのかをその眼で確かめて欲しい。守備力も攻撃力も広島が上回っているのは周知の事実であるからこそ、鳥栖は必死の思いで戦いを挑んでくる。そこを首位の立場で受けて欲しい。
両チームの思惑が激しくぶつかる今節のＢＡスタジアムは、両チームのファンやサポーター以外にも注目されるカードである。

勝負の世界で、結果が分かっている時ほどつまらないものはない。
お互いに死力を尽くすからこそ、思わぬ結果が訪れることがある。
上位が必ず勝利する法則もなければ、下位が勝利をつかんでも不思議なことはない。
それが勝負であり、アスリートがしのぎを削る理由がそこにある。
選手たちの出した知恵と汗の多さだけが結果を左右する。
サッカーにも必勝法は存在しない。

以上

2008.05.15 Reported by サカクラゲン