5月21日(水) 2008 J2リーグ戦 第15節
広島 1 - 0 横浜FC (19:04/広島ビ/6,954人)
得点者:85' 平繁龍一(広島)
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「前半の戦いが、全てだった」
横浜FC・都並敏史監督は、記者会見でこんな言葉を吐き出した。
その「全てだった」という前半の戦いを振り返ると、確かに横浜FCは広島にボールを支配されていたが、しっかりとブロックをつくって広島の前で壁をつくり、シュート9本を撃たれたとはいえ、決定的なものは41分、槙野智章が放ったヘディングくらい。「横浜FCの狙い通りの展開」と見えないこともなかった。
しかし、都並監督の意図は「もっと攻撃する時間を長くしたかった」。ただし現実は、ほとんどが自陣でパスを回される展開。疲労がどんどん身体と頭脳に積み重なる。横浜FCの選手たちは、見た目以上に消耗してしまっていた。
後半、疲れから足が止まり始めた横浜FCの状態を見透かしたように、広島の攻撃はさらに迫力を増す。前線の選手だけでなく、槙野や森脇良太らストッパー陣も強烈なシュートを放つ。46分高萩、50分槙野、53分森崎浩司、64分李漢宰、65分森崎浩。何度も迎える決定機。しかし、シュートの精度を欠き、横浜FCのゴールネットを揺らせない。
70分、高柳一誠の左への展開から服部公太が完璧なクロス。そこに、長い距離を走って森崎和幸が飛び込んできた。横浜FCのDFは森崎和の動きに引きつけられ、もっとも危険な男=佐藤寿人をフリーにしてしまう。「もらった」とゴールを確信した佐藤寿だったが、ボールがライトに入って見えなくなり、タイミングを誤ってシュートミス。エースは天を仰いだ。
71分、ペトロヴィッチ監督は平繁龍一を投入し、2トップに変更する。しかしこの直後から広島のパス回しにややミスが目立ちはじめ、横浜FCのカウンターがギラリと輝く。78分、左クロスを御給匠が折り返す。そこに飛び込んできたアンデルソンはストヤノフが抑えるも、その裏から飛び出してきた長谷川太郎はフリー。ここまで耐えに耐えてきた横浜FC、最大のチャンスがやってきた。
しかし、長谷川はボールを収めることができず、シュートを撃てない。広島ビッグアーチをため息が包む。
81分、オーバーラップしてきた太田宏介の強烈なミドルを広島GK木寺浩一がキャッチして以降、横浜FCの選手たちの足は、完全に止まった。83分に仕掛けてきた森脇のドリブルも、ペナルティエリア近くで待ち構えるだけになってしまう。一方の広島は、森脇の展開から放った李のクロスに、5人がペナルティエリアの中に飛び込んできた。ゴールへの渇望は強い。
85分、CKのこぼれを拾った高萩が、ゴール前の佐藤寿人に向かってクロス。が、高萩の狙いは実は佐藤寿ではなかった。高萩にボールが入るやいなや、森脇が全速でファーサイドのスペースへ走っていた。そこを高萩はしっかりと見ていたのである。
このアイディアに翻弄されたのか、横浜FCのDFは森脇を捕まえきれず、さらにゴール前に入ってきた平繁と槙野を見失った。ニアポストを固めていたGK小山健二がクロスに対応して振り向いた時、平繁が倒れ込みながらボールをゴールに押し込んだ。ジュニアの頃からサンフレッチェ広島一筋で成長してきた生粋のストライカーにとって初の「広島ビッグアーチ・ゴール」は、チームに貴重な勝点3をもたらす決勝点となった。
鳥栖戦に続き、相手の強固なプロックを揺さぶってこじ開け、広島は勝点3を手にした。シュート数20対4というデータが証明しているとおり、スコアこそ1-0ではあるが、内容は広島の完勝。ただ、サッカーはボール支配率やシュート数ではなく、ゴールの数で勝敗が決まるスポーツ。確かにゴール前を固められた相手を崩すのは難しいが、そこを崩して得点を重ねていかないと、第2クールの戦いは厳しくなる。守備的な戦術に対して焦らず、相手を疲れさせて得点をもぎ取る形ができたことは、もちろん収穫。そこをもう一つ進めて、守備ブロックを破壊し得点を量産する迫力が出てくれば、もう一段階、チームとして成長できる。
三浦知良・三浦淳宏という主力2人をコンディション不良で欠き、中2日の日程に加え長距離の移動。厳しい環境の中で、横浜FCの選手たちは精一杯闘った。「広島は強かった。しかし、次は負けない戦い方をつくりあげる」と都並監督も闘志を燃やす。その広島との再戦(7/27@ニッパ球)の前に次節、湘南との神奈川ダービー(5/25@平塚)が待つ。今節同様にJ1昇格を目指すライバル同士の重要な対決。まずは「消耗した選手を回復させる」(都並監督)ことが優先だが、両三浦も次節で復帰する可能性が高いだけに、神奈川ダービーでは結果を出したい。広島戦では確かに攻め込まれはした。しかし、その圧力の中でも集中を切らさず身体を張って守れたことは、収穫として自信を持っていいはずだから。
以上
2008.05.22 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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