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【J2:第20節 広島 vs 福岡】レポート:またもロスタイムで勝点を失った広島。劇的かつ美しい田中佑昌のループシュートが、福岡を救う(08.06.16)

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6月15日(日) 2008 J2リーグ戦 第20節
広島 1 - 1 福岡 (19:04/広島ビ/6,395人)
得点者:76' 高萩洋次郎(広島)、89' 田中佑昌(福岡)
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 今季17試合で、ロスタイムでの失点は3試合目。大差がついた湘南戦はともかく、第12節の仙台戦は引き分けで終われたはずだし、福岡戦は勝てた試合。合計3ポイントを、広島はロスタイムに失った。
 この現実を、広島は見逃してはならない。残り数分が守れない原因を明確にしないと、また同じことの繰り返しとなる。広島は、重要な課題がつきつけられた。

 試合は「予想通りの展開」(ペトロヴィッチ監督)となった。広島の1トップ2シャドーに福岡はマンマークをつけ、さらに、両サイドの服部公太・李漢宰もマンマークで抑え込む。守備時には最終ラインに5人と1人のリベロ、その前に3人のボランチが並ぶというブロックが、広島の前に立ちはだかった。
 ただ、前線で身動きがとれない時に、後ろから攻撃参加して数的優位をつくるのが広島のやり方。この日輝いたのは、ストッパーの槙野智章だった。
 14分、ドリブルから豪快なシュート。25分、サイドを突破してマイナスのクロスを供給し、佐藤寿人のシュートを演出する。しかし、そのいずれもが、ポストに阻まれた。
「ラッキーだった。この時間帯をゼロでしのげたことは、我々にとって重要だった」と福岡・リトバルスキー監督は語り、「あのシュートのどちらかが決まっていれば」と広島・ペトロヴィッチ監督は唇をかむ。このシーン、確かに福岡の方に「運」はあった。

 後半、ペトロヴィッチ監督は柏木陽介を投入、4−2−3−1に形を変えた。一方、リトバルスキー監督は右サイドバックに回った槙野を抑えるため、田中佑昌をマークにつける。柏木陽介には山形辰徳がマークにつき、森崎浩司は久藤清一を中心に受け渡して見る形にした。
 結果から見れば、広島の新システムは機能したとは言いがたい。トップ下の枚数を増やしたため、前半以上に前線のスペースがなくなり、シュート力のある森崎浩がボールを欲しがってやや下がり気味になったことで、逆に福岡の守備にはまっていく。広島の決定機は前半以上に少なくなり、福岡のカウンターが発動する機会も増えた。

 しかし、先制点をあげたのは流れが悪くなった広島だったのだから、サッカーはわからない。76分、途中から入ったタレイのバックパスを高萩洋次郎がカット。そのままドリブルで持ち込んでシュートを決めた。この時、福岡の選手たちはガックリと膝をつく。その姿が、彼らのショックの大きさを如実に物語っていた。

 同点を狙う福岡は、黒部光昭を入れて2トップに。すると広島は、槙野をストッパーに下げて高萩を右サイドに回し、さらに桑田慎一朗を投入した。福岡はしゃにむにゴールに向かうが、ストヤノフを中心に広島がしっかりと跳ね返す。このまま広島が逃げ切るか、と誰もが思ったはずだ。
 しかし、最後の数分間で広島の「甘さ」が出る。CKをとっても、そこでボールをキープして時間を稼ぐことができない。横パスをつなげているのにチャレンジの縦パスを出して、相手にボールをわたしてしまう。「したたかさをもっと身につけないといけない」と佐藤寿人が指摘するとおり、広島の未熟さが、その後の劇的な展開につながった。

 ロスタイム、中村北斗の素晴らしいドリブルからのシュートは、枠を外れた。悔しがる福岡ベンチ。広島は、ゴールキックをストヤノフが大きく蹴りだす。久保竜彦と柳楽智和が競り合い、セカンドボールを田中佑昌がキープ。桑田がプレスをかけに行くも、田中は入れ替わって前へ。パスを受けた黒部に対し、広島は4人のプレスをかける。しかし、潰せない。逆にそのことで中央にスペースができてしまい、そのスペースに田中は素晴らしいフリーランニングで飛び込んだ。その彼を、広島の選手たちは誰も見ることができなかった。
 黒部は左にボールを持ち出そうとする。そのボールが桑田の足に当たり、そのまま田中の足下に転がっていった。「GKも見ずに打った」と田中が言うシュートは、美しいループ状の弧を描き、30m先のゴールネットに吸い込まれた。

 田中の素晴らしいフリーランニングとシュートは、福岡を救った。「気持ちを見せてくれた」とリトバルスキー監督が言うとおり、最後まで決してあきらめずに走りぬく姿勢は、福岡サポーターの心を打ったはず。
 一方でこのゴールは、広島にも大切な教訓を与えた。青山敏弘は、こう語っている。
「もしあのまま勝っていたら、悪くなったチーム状況を見直すこともなかったかもしれない」
 広島は、勝点2を失うという高い代償を、この試合で支払った。それが今後の糧となるかどうか。「絶対に同じことを繰り返さない」と、青山は堅い決意を口にした。

以上


2008.06.16 Reported by 中野和也
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