7月12日(土) 2008 J2リーグ戦 第26節
広島 4 - 0 岐阜 (18:04/広島ビ/9,952人)
得点者:42' 盛田剛平(広島)、44' 柏木陽介(広島)、48' 佐藤寿人(広島)、62' 森崎浩司(広島)
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おそらく、観戦した人の感覚でその人選は違うだろう。佐藤寿人はさすがのゴールを決めた。高萩洋次郎や青山敏弘の動きも効果的だったし、4点目となるPKを決めた森崎浩司も我慢してバランスをとっていた。慣れないリベロで奮闘する森崎和幸の姿も、献身的。3点目・4点目を演出した服部公太もタフさを見せつけた。
「ただ、今日はやっぱり、柏木陽介じゃないですか?」
ある記者の言葉に、多くのジャーナリストがうなづく。
今季初得点をはじめ、2点に絡んだ柏木は、今年初めて楽しそうにピッチを駆け巡った。試合の経過と共に走る量も多くなり、スピードも加速した。実際、彼のゴールも、高萩の飛び出しを見て「洋次郎くんの選択肢を増やしたい」という気持ちから、力を出し惜しみせずにランニングを続けたことから生まれている。それを見据えた高萩が、柏木への友情にあふれた優しいパスを出したシーンにも、このチームの結束力が見えた。
昨年末、J2に降格した広島に残るべきか、それともJ1に移籍するか。柏木は悩みに悩んだ結果、最終的には広島残留を決断。「チームをJ1復帰に導くために頑張ることで、人間的な価値もあげることができる」と考えた。しかし、その後は怪我を何度も柏木を襲う。キャンプでもほとんどプレーできず、復帰したと思えば、また怪我をするというサイクルを2度も繰り返した。
プレーの感覚が取り戻せない自分に苛立ち、落ち込み、焦る。そんな柏木の苦しむ姿を、広島担当記者たちはずっと見てきた。だからこそ、この岐阜戦で素晴らしい活躍を見せた柏木のために、喝采を贈りたくなったのである。
ただ、柏木と同等、あるいはそれ以上にインパクトを残した選手がいた。盛田剛平。彼もまた、怪我で苦しいシーズンを送っていた。
4月13日のC大阪戦で右膝内側側副靭帯損傷の重傷を負った。そこから懸命のリハビリを続けるも、痛みがどうしても抜けない。練習に復帰しても、感覚を取り戻すことに時間がかかった。結局、試合に復帰できたのは、7月6日の熊本戦。その間、盛田不在を埋めていた森脇良太が負傷。さらに守備の大黒柱・ストヤノフも離脱。チームは野戦病院のような状況に陥り、ペトロヴィッチ監督は「大きな正念場だ」と苦悩していた。
その危機を、盛田が救った。42分、CKからのこぼれ球を抑えの利いたキックで叩き込み、4年ぶりの公式戦ゴールで先制弾を叩き込む。2年前から転向したDFの本職=守備でも、実に抑制の利いたプレーで最終ラインを引き締める。無理な攻撃参加は自重し、岐阜の片桐淳至や小島宏美といった攻撃陣をしっかりと捕まえ、弾き返していた。
強烈だったのは、62分のシーン。盛田は最終ラインでのパス回しに参加する。岐阜が前からプレスをかけてくれば、その裏にパスを出そうという意図。しかし、何度も同じ目にあっている岐阜は、リトリートしブロックをつくる。すると盛田は、ゆったりとしたリズムを突然変化させ、右サイド前方に張っていた李漢宰に美しいパスを通した。緩から急へ、一気にリズムを変えた盛田の判断と左足の高い精度が、結果としてPKを奪い、岐阜の戦意を失わさせる4点目を生んだ。攻守に素晴らしい活躍を見せ、存在感を見せつけた盛田もまた、マン・オブ・ザ・マッチにふさわしい。
2連勝を果たし、休養十分で乗り込んできた岐阜だったが、結果として広島の気迫と技術の高さの前に膝を屈した。コンパクトなゾーンを敷き、広島に対してラインを下げずに闘おうという意志は見えたが、ハーフタイムを挟んで6分間に3点を叩き込まれてしまったことで、全体の運動量がガックリと落ちた。「完敗」「大きな差」という言葉が、監督からも選手たちからも聞こえてきたが、そう表現するしかない内容。ただ、この敗戦にうちひしがれてばかりでは、何も生まれない。岐阜にとってこの敗戦は、確かに正念場でもあるが、さらなる成長へのチャンスでもある。
広島は24試合で勝ち点55に到達。今日の試合でC大阪が勝って2位に浮上したとしても、その差は11ポイントという大差。
ただ「1日でも早くJ1復帰を決めたい」と佐藤寿人が言うように、チームの中に「安心感」など微塵もない。次節は、C大阪との直接対決。「今季は昇格候補との試合で負けているケースもある。こういう試合の後は気が緩みがちになるし、気持ちを引き締めてC大阪を倒したい」という森崎和の想いを全員が共有し、広島はJ1復帰に向けて突っ走る。
以上
2008.07.13 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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