7月13日(日) 2008 J2リーグ戦 第26節
湘南 4 - 1 愛媛 (19:03/平塚/4,738人)
得点者:12' 阿部吉朗(湘南)、26' 内村圭宏(愛媛)、30' 坂本紘司(湘南)、53' アジエル(湘南)、80' 石原直樹(湘南)
携帯でこの試合のダイジェスト動画を見るなら - ライブサッカーJ -
----------
勝利の笛が鳴り響くと、湘南のボランチはピッチ上でがっちりと抱擁を交わした。通算300試合出場の節目を迎え、試合を優位に進める前半の2得点に絡んだ坂本紘司と、数字には残らぬがタフなディフェンスで坂本の攻撃参加をひたすらフォローし続けた田村雄三のふたりである。
「紘司さんに勝利をプレゼントしたい」J2初の同一チームでの300試合出場達成というミスター湘南の偉業を控え、田村はこんなふうに語ったものだ。背景には、なかなか波に乗り切れないチームの状況もあった。不甲斐ない闘いをした前回のホーム水戸戦を経て、選手会長として人一倍気を揉んでいたに違いない。「こういうときこそひとつにまとまって闘いたい。勝つしかないでしょう」とも話している。そしてその田村の言葉に等しく、この一戦に懸ける想いはチームから溢れていた。
試合開始早々、サイドを深くえぐったのはアウェイの愛媛の方だった。水戸戦がシンクロせずにはいられない。くだんのゲームでは、同様の立ち上がりからペースを乱していたのだ。がしかし、今節はすぐに反撃に転じる。湘南は両サイドから積極的に攻めこみ、ラストパスまで持ち込んだ。そうして先制の場面は間もなく訪れる。
12分、田村が奪い、坂本へはたく。受けた坂本は、敵に囲まれるも動じない。「相手がアジエルへのパスコースを切ってきたので、縦に行った」という瞬時の判断から抜け出し、左足を振りぬく。これはGK多田大介に阻まれるが、こぼれ球を「狙っていた」阿部吉朗が頭から突っ込み、前節の徳島戦に次ぐ新たなホットラインで先制点を挙げた。
「運動量が少なく、奪われ方も悪かった」試合後、望月一仁監督は渋い表情を見せている。愛媛は両サイドハーフが絞り、こと江後賢一と三上卓哉の左サイドでつくりにかかるが、反面うしろで回すもののミスもあり、攻撃のスイッチがなかなか入らない。かたや湘南は前からのタイトなプレスが効き、ことごとく中盤で奪った。高い位置で攻撃へと切り替えることができ、攻守の好循環がリズムを生み出していく。
危険なのは、カウンター気味に攻め合う場面だ。20分を過ぎると愛媛の素早いリスタートもあり、ボールが落ち着かない展開から間延びが生じる。湘南のファウルを契機に愛媛が追いつくのは、26分のことだった。金守智哉のフリーキックに4試合ぶりのスタメンに入った内村圭宏がヘッドで合わせる。「あいだに入ってクロスが合えば決められると思っていた」というイメージどおりの同点弾だった。
ともすれば意気消沈しかねない流れに、しかしすぐさま渇を入れたのは節目を迎えた男のゴールだった。同点からわずか4分後、アジエルのスルーパスに坂本が反応し、冷静にこんどは右足を振り抜いた。「前半のうちに2点目を取れたことが大きい」と仲間にも言わしめた千両役者ぶりである。
ところで、「攻守に渡る運動量が我々よりも多かった」と敵将を脱帽させた湘南の事実は、フリーランにも表れていた。石原直樹とのワンツーからアジエルが沈めた後半開始早々の追加弾の前にも、鈴木伸貴のクロスに阿部のほか石原と坂本が飛び込んでいる。80分のトドメのシーンは、なお象徴的だ。坂本が途中出場のリンコンに預けるなりゴール前まで達し、相手DFを引きつけ、リンコンのパスを受けた石原の4点目をお膳立てしている。
一方の愛媛は、長身FW三木良太を皮切りに、怪我から復帰した青野大介と笹垣亮介を相次いで投入し、反攻を企てる。終盤には押し込み、三木のパスから笹垣がクロスバーを掠めるシュートを放つなどするが、ゴールには届かない。効果的に得点を重ね、ジャーンの3ヶ月ぶりの復帰も叶った湘南の快勝で、一戦は幕を閉じた。
「危ない場面もあったし、紙一重だったと思う」と坂本が振り返ったように、前半を含めて愛媛にも得点機はあった。からだの重さは否めなかったが、コンディションを整え、アウェイ連戦となる次節の熊本戦に臨みたい。
一方、湘南にとってホームでの白星は4戦ぶりとなる。チームを盛り上げるべく試合前に行なわれたサポーターによる行進や勝利への花道、ベルマーレ放送部のイベントなどに勝利で応えた。
坂本の述懐どおり、セットプレーの失点をはじめ危険な時間は見受けられ、愛媛のミスに助けられた部分もある。ただチームがひとつになり、菅野将晃監督も目を細めた「気持ちのこもったプレー」を笛が鳴るまで体現してみせたことは間違いない。上位陣の動向も気になるが、拠り所を再確認したいまは今節同様、目の前の試合と向き合うことが大切だ。つぎは週末、長良川は岐阜に挑む。この日の愛媛戦がリスタートだったという言葉は、のちに振り返ったときに取っておきたい。
以上
2008.07.14 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第26節 湘南 vs 愛媛】レポート:湘南がホーム4戦ぶりの勝利で坂本紘司の300試合出場を祝う。愛媛は連敗に沈む。(08.07.14)















