8月16日(土) 2008 J2リーグ戦 第31節
甲府 2 - 0 広島 (18:33/小瀬/12,120人)
得点者:21' 林健太郎(甲府)、52' 杉山新(甲府)
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広島担当の記者は「内容的には今期ワースト3、スコア的にはワースト。ホテルに帰って不貞寝する」と毒づいた。
槙野の出場停止の代わりに、ストヤノフが戻ってきた首位・広島のDFラインはストヤノフの右手に森崎和を先発させた。結城かと思われたポジションにボールを捌ける森崎和を入れたことで、広島は守備の安定を得た代わりに捌きを生贄にしてスタートした。ペトロビッチ監督は会見で「立ち上がりは甲府の方がいい形で入っていった」と話したが、甲府に勝って欲しい視点では広島の支配度の方が高く見えた。6分には林がストヤノフに足を引っ掛ける居合いのような守備をして次節に休む権利を強制的にもらえるイエロー級のファールを犯す。ストヤノフは1対1で相手のスピードを殺しながら追い込んでボールを奪うことが上手いが、甲府の選手にはそういう守備のテクニシャンはいない。「何やってんだ」と心の中で林に毒づいた。
ストヤノフの強さ・上手さ・高さ、盛田の高さ、森崎和の判断、ボランチ・森崎浩のカバーは、浮き球からのゴールが多い甲府にとってかなり難しい壁だと感じていたが、21分のCKで林がヘッドで先制ゴールを決める。秋本だけだったセットプレーのターゲットにマラニョン、サーレスの2枚が加わったことで、相手チームが絞りにくくなった故に浮き球からのゴールが増えている。「何やってんだ」を撤回して、林とアシスト大王・大西を心の中で「ナデナデ」する。このゴールが決まってからは、前からボールを奪いに来ていた広島がそれを止め始める。佐藤が前からプレスに行って、出されたボールを振り返って次の動きに入ろうとしても誰も次のプレスに行っていなくて、がっかりしたしぐさをする場面もあった。なかなかビルドアップできない広島はストヤノフ始発の長いボールが攻撃の主役になっていく。
甲府は佐藤に正確なボールをいいタイミングで出させないために、出し所へのプレスを強く意識していたのだが、この目論見は成功した。佐藤は何度もオフサイドの網に掛けられた。また、佐藤は逆サイドからのクロスに対してマーカーの裏を取って出し抜くポジショニングと動きが上手いのだが、甲府は佐藤から一瞬視線を外して背中にしてでも縦に飛び出させない守備も意識してきた。この2段構えの守備のクオリティは90分間破綻することはなかった。
満月に一歩手前の月が姿を見せた後半、先に動いたのは広島。50分に李に変えて結城を投入する。これによって森崎和がストヤノフの前に入って広島は中央の捌きを祭壇から食卓に戻す。しかし、森崎和のいなくなった右サイドは、甲府の左サイドバック・輪湖のドリブル突破の生贄になってDFラインの目論見が崩れる。追加点が必要だった甲府は右サイドから追加点を挙げる。マラニョン、サーレスが加入してから「フィニッシュで終わることが多いから、休めるし、パワーを持って飛び出せるようになった」という杉山が、パスカットされたこぼれ球をアウトサイドで広島ゴールに蹴り込んだ。05年以来の生涯2ゴール目で、杉山のゴールが決まれば昇格できるかもしれないという期待も膨らむ、3年に1度の霊験あらたかな素晴らしいゴール。広島は柏木がバックラインまで下がってボールを貰いに行き、「落ち着いてボールを回そう」というメッセージをプレーでチームに伝えようとするが、そのメッセージはチームメイトの賛同を得ることが出来なかった。21分に森崎和のシュートがポストに嫌われる惜しいシーンがあったが、殆どの時間、首位・広島のギアは噛み合わないまま。内容でも決定機の数でも甲府が上回ったまま。マラニョン、サーレスのゴールはなかったが、彼らがいることで甲府は前に向かうプレーが増え、自信を取り戻した。
勝ち点で26もの差をつけられている首位・広島に勝ちこした甲府。安間監督は「せめてもの意地」と言った。第3クールは全てが勝負どころだが、初戦で広島に勝ったことは大きな意味がある。そして、次節は2位山形。1位にはまったく追いつけないが、上位を倒すことで勝ち点は確実に縮まる。前出の広島担当記者は「上位に勝つことも大事だけど、下位に引き分けたり負けたりしたら駄目。広島はおそらくJ1に行くけど、甲府と一緒に行けたらいいと思う。ペトロビッチ監督も甲府のサッカーが好きなんですよ」と、弱っているときなら泣きそうな話をしてくれた。開幕から休みなくハードワークして今の地位にいる広島。「我々は28ゲームいい戦いをしてきた」というペトロビッチ監督の自負と自信はこの敗北では揺るがない。春先から長い夏休みを消化した甲府は、奢ることなく、一喜一憂することなく、残り13試合をハードワークし続けないといけない。長いラストスパートは相当苦しい戦いになるが、やるしかない。他力本願になることはできないが、唯一のお願いは「広島が残り全勝しますように」ということだけ。この気持ちは広島サポーターにも負けない自信がある。
以上
2008.08.17 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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