9月14日(日) 2008 J2リーグ戦 第35節
甲府 2 - 2 草津 (18:33/小瀬/12,538人)
得点者:61' マラニョン(甲府)、68' 後藤涼(草津)、76' 林健太郎(甲府)、81' 尾本敬(草津)
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「入れ替え戦の権利に近づくのは8位・甲府か7位・草津か」という熱い試合になるはずだったが、どちらもその権利から遠のく「壊れたゲーム(松下・草津)」になってしまった。「入れ替え戦の権利を手にして昇格」という最後の希望を託した全ての人が喜ぶことが出来なかった。喜んだのは3位湘南、4位仙台、5位鳥栖、6位C大阪だけ。
いつもの甲府に対して草津は中盤をダイヤモンドにして島田をトップ下に配置してきた。その配置は実らず立ち上がりから主導権を取ったのは甲府だった。だが、主導権を取った甲府は序盤のいい流れの中でゴールを決めることは出来なかった。この段階で少し嫌な気持ちになった。主導権を取っていても、草津のチャンスをゼロに抑えていたわけではなく、どっち転ぶか分からないという老婆心が常に頭の中で蠢いていた。少ないチャンスに攻撃のスイッチがバチッと入る草津の攻撃は、これまで何度か見てきた悪夢を思い出させた。草津はハードワークが出来る素晴らしいチームだった。
0−0で迎えた後半の立ち上がりも甲府が主導権を取って徐々に草津を追い詰めていた。前を向いて仕掛けるマラニョン、サーレスの動きを草津のディフェンダーはカードを代償にして止めざるを得なくなる。56分には崔が2枚目のイエローでピッチを去った。そして草津4枚目のイエローが61分にマラニョンのPKとなって甲府に最初の果実をもたらせた。しかし、その7分後にGK桜井が「自分でも信じられないミス(ハンブル)」で後藤に同点ゴールをプレゼントしてしまう。ただ、残り時間と内容を考えればそれほど焦ることはなかった。
セットプレーからゴールが決まりそうな匂いはなかった甲府だが、72分に草津の寺田が2枚目のイエローで退場となり、2人少なくなったことで甲府の主導権は揺るぎようがなかった。そして、4分後に林がこぼれ球を右足で押し込んで2−1と再び甲府がリード。安間監督は既に守備でイエローを1枚貰っていたマラニョンを下げて木村を投入する。草津の田中のオーバーラップに対応してマラニョンが守備で2枚目のイエローを貰うことを避けるための判断。しかし、結果論では「一戦必勝」を貫くべきだったと言わざるを得ない。草津はボールをキープできて、スピードのあるマラニョンに手を焼いていたし、2点差になるまで待つべきだった。その1分後、意図のはっきりしないボール回しからチャンスを与え、それを止めるために犯したファールが大きな代償となった。島田の蹴ったFKのボールは逆サイドを目指す。「甲府はゴール前に高い選手がいたから、GKの頭越しに蹴れば誰かが入ると思った」というボールに頭で合わせたのは75分に途中出場した尾本。キャプテンの松下が「尾本、超ナイス」と褒めたゴールで2人少ない草津は同点に追いついた。
それでも時間は残っていた。ロスタイムの4分を含めれば13分間のチャンスが甲府に与えられていた。もちろん、草津にも2人少ない状況で逆転するチャンスもあった。甲府はパワープレーで決定機を作った。ただ、草津のGK本田がそれを防いで凌いでいた。隣で見ていた全国紙の女性記者が「2−1になってからこういうのをやってたら勝てたのに」と、81分の失点に繋がったボール回しを呪う言葉を吐き棄てる。レギュラータイムが終わり、4分間のロスタイムに入るとサイドからチャンスを作っていた甲府は焦りで自滅し始めた。サーレス、羽地、木村、秋本、林と長身の選手がゴール前に張り付き、そこにロングボールを入れるだけの攻撃しか選択できなくなった。草津は最後の場面でもラインを少しでも上げようとしていたから、ロングボール一発でヘディングシュートが決まる可能性は殆どなかった。繋いでサイドから角度を付けたボールを入れるべきことは明らかだった。地球上で一番早い4分間が終わろうとする頃、隣の女性記者は「同じパターンばっかり」と呆れたように言った。残り数十秒で彼女の機嫌が良くなることはなかった。
次節は先発したDFライン4人の内3人が出場停止と苦しい状況が続くが、どんなに劣勢でも諦めず戦い、2度追いついた草津は素晴らしい。昇格争いを理由にすれば負けに等しい引き分けということになるが、今シーズンの前進とクラブの置かれた状況を考えれば多くのサポーターはこれを理由に責める気にはならないのではないだろうか。今節もチャレンジする気持ちの強さを見せ付けてくれた。
それに対して、甲府は昇格を期待されたシーズンをチャンジャーにもなりきれず、横綱相撲も取れないのに心の中にある「自分たちの方が上」という気持ちを隙に代えて勝負所でチャンスを逃がし続けている。夏の太陽に焼かれながら身につけた高いポゼッションの技術。しかし、これが諸刃の剣として自分自身に斬りかかってくる。可能性がある以上、全力で戦い続けるが、「一戦必勝」の気持ちをもっと強く出して戦って欲しい。今日の勝利のためには明日の全てを犠牲にするのが「一戦必勝」。明日のマラニョンを心配するより今日の勝利を心配した方がいい。今の甲府なら。
以上
2008.09.15 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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