10月4日(土) 2008 J2リーグ戦 第39節
広島 2 - 0 湘南 (14:04/広島ビ/12,553人)
得点者:66' 桑田慎一朗(広島)、69' 森崎浩司(広島)
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美しいゴールだった。
ゴールに至るまでのパスの軌跡がつくる幾何学模様に見とれ、緩から急へ一気に動きのスピードがアップする様に、気持ちの躍動が抑えられない。そして、美しくも楽しいパスワークの締めくくりを担当したのは、これまでリーグ戦でのゴールがなかった桑田慎一朗だった。
自陣深く引いて守ることで、湘南は広島の圧倒的な攻撃によく対応していた。ガッチリと固めたブロックをかいくぐって放たれる決定的なシュートも、GKの金永基が素晴らしいセーブを連発。ボールを支配していたのは広島だが、湘南としてもプラン通りの闘いだった。
しかし、試合前に高萩洋次郎は、こう語っていた。
「相手が引いてきても、落ち着いてパスをまわせば、後半になると疲れてくる」
彼のこの言葉どおり、湘南の選手たちはめまぐるしい広島のパス回しとポジションチェンジの連続によって、肉体的にも精神的にも疲労が見え始めた。少しずつ切り替えも遅くなり、運動量も落ちてきた。広島は、そこを狙っていた。
66分、起点は途中出場で右サイドに入った高柳一誠だった。槙野智章と連動して加藤望からボールを奪うと、逆サイドを見る。そこには、オフサイドにならないように素早く動き直した佐藤寿人がいた。
サイドチェンジ。高柳の強靭な右足から繰り出された、美しくも速いボールが、正確に佐藤寿のもとへ。ワンタッチで服部公太に落とし、佐藤寿はリターンを受ける。内側に切れ込み、青山敏弘へ。青山、ボールをキープ。ここまでが、「緩」のリズムだ。
そしてここから、広島は「急」へと転換する。青山のクサビを受けた柏木陽介がヒールで落とし、佐藤寿がワンタッチであがっていたストヤノフへパス。狭いスペースの中で、人とボールがあまりにめまぐるしく動くために、湘南のDF陣はボールの周辺しか見えなくなっていた。
佐藤寿がパスを出した瞬間、ジャーンが広島のエースに身体を寄せる。しかしこの瞬間、彼が動いたことで空いたスペースに向けて、桑田が走り出したのである。その事実に気づくのに、彼らは一瞬遅れた。
「いつも練習しているから、僕にはシンの動きは見えていた」と言うストヤノフが、ワンタッチで浮かせる。緩やかな弧を描いたボールは、桑田にピタリ。そのボールの落ち際を右足ボレーで叩いた。長短・緩急のパス交換、高柳のサイドチェンジからスタートして7人の選手がかかわったボールは、そのままネットに吸い込まれた。
広島ユース時代には、Jユースカップで得点王争いを演じるなど、得点力に定評があった桑田だったが、プロ入り後は持ち前の得点感覚が影を潜めた。決定的なシーンに顔を出しても、シュートがどうしても入らない。プロ入り4年間、カップ戦では2得点を記録しているが、リーグではまだノーゴール。前節のC大阪戦でGKとの1対1を外し、顔を覆ったシーンは記憶に新しい。
実は今年、桑田は何度かゴールにボールを流し込んでいるのだが、その度にオフサイドなどで取り消された。それだけに、桑田はシュートを決めた後、チラリと副審を見ている。そしてゴールを確認した上で、静かに両手を天に突き上げた。その仕草がどこか遠慮がちだったのも、いかにもはにかみ屋の彼らしい。
その3分後、桑田のボール奪取から森崎浩司のミドルシュートで2点目をゲット。その後、湘南も阿部吉朗や原竜太を入れて前線を厚くしたが、広島を追いつめるに至らない。シュート数26対5、ゴールキック数9対22いうデータどおり、広島は湘南に完勝した。
守備的な戦術で広島に挑んだ湘南の戦略は、結果として失敗した。広島が湘南に与えたFKは、わずかに3本。つまり3度のファウルしか奪えない状況から、湘南の攻撃が広島にほとんど脅威を与えなかったことがわかる。それほど、彼らは守備的だった。
実際、阿部と原が入って攻撃的になった後は、それまで皆無だった決定機が立て続けに生まれている。果たしてこれほどまでに守備的な戦術が対広島対策として有効だったのか、それは検証の余地はある。ただ一方で、攻撃的に出て裏にスペースを与えると広島の破壊力が爆発し、第2クールのような5失点試合の可能性もあった。出場停止や怪我人が続出し主力が不在だったことも、戦略に影響しているのだろうが…。
ただ、敗れたことを嘆く時間はない。残り6試合に向けて気持ちを切り替え、前に進むしかない。今日の試合で出た課題に取り組み、修正して次節に臨みたい。田村雄三と坂本紘司の出場停止が続くことは痛いが、幸いにも2週間、調整の時間はある。ホーム熊本戦(10/18@平塚)、湘南は昇格のために必勝の構えで臨みたい。
以上
2008.10.05 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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