10月4日(土) 2008 J1リーグ戦 第28節
大宮 0 - 4 柏 (18:04/NACK/10,440人)
得点者:10' 村上佑介(柏)、14' 村上佑介(柏)、44' 村上佑介(柏)、48' 菅沼実(柏)
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「相手のほうが勝ちたいという気持ちが強かった」
試合後、大宮の複数の選手たちが口をそろえていた。それは、スタンドから観戦していても伝わってくるものだった。ゴールに直結するために出されるパス、自分たちのゴールを守るために張られる体。柏の戦い方ははっきりと、明確だった。要するに勝ちたかったのだ。「(10戦ぶりの勝利に)ホッとしたことは別にこの1勝が全てではない。また、次です」と襟を正していたのは大谷秀和だったが、どこかキリっとした空気に柏のチームが包まれていたようでもあった。
これで、5連敗、4戦連続得点ナシといいところなく敗れた大宮と対照的に見えた。ピッチの中央付近で、どこを目指すでもなく横に後ろにゆっくりと彷徨い、やがて行き場を失うボールのように、大宮は方向性というものを失っているように見えた。それだけに、ピッチにいながら赤く目を晴らし、声を出し続け、走り回った藤本主税の無念さは強く伝わった。
勝点32対33、この試合に賭ける思い、おかれている状況の厳しさ、行ってきた準備は両チームとも似たようなものだった。大宮はエースと、主将を欠く。柏は、レギュラー守備陣と前線の主力を欠く。共に長きに渡るリーグ戦で失いかけた己を取り戻すべく合言葉になったのは「原点回帰」。それぞれの指揮官の下、目指してきたサッカーにもう一度立ち返るということを念じてこの試合に向けて準備、トレーニングを行ってきた。この試合の重要性は互いに百も承知だった。だた、紙一重ではあるが両者には勝点差1以上の決定的な差があることが、ピッチ上で露呈されてしまった。柏の勝利は、何の因果か、第17節大宮戦以来のものだった。
大宮にとって不運だったのは、警戒に警戒を重ねてきたセットプレーからの失点を、10分という早い時点で、それも初出場のサイドバックの選手にやられたことだった。決して悪くなかった立ち上がりも、これで無にしてしまった。2点目も同じく右CKから、今度はディフェンダーに引きずられ体勢を崩しながらも、同じく村上佑介がヘディングで決める。ガクっとココロの折れる音の聞こえそうな、追加点だった。
ボールを回そうにも焦る心からか、タイミングが合わない。小林大悟も金澤慎も決して感情を出すタイプでもないのに、苛立ちの声を響かす。前線にタテのボールを入れようにもラフリッチがオフサイドトラップに引っかかる。こんな時チームを鎮められる選手がいれば、また違うかもしれない。柏は、最終ラインで古賀正紘が冷静に指示を出し、鼓舞し、叱咤する。若手も伸び伸びとプレーすることができているように見えた。
前半終了間際に、更にショックな失点を食らう。村上が自陣ゴール前で自ら奪ったボールを味方が繋ぐ間に前線に走り出す。「フランサを信じて走れと言われていた」まさに練習どおり、右足でGKの頭上を越すミドルシュートでネットを揺らす。ここで、勝負はあった。
後半に入って、大宮の選手たちはがむしゃらにゴールに向かったように見えた。それでもシュート数は柏の7に対して4に過ぎない。枠内ということになればまたさらに減る。攻撃もロングボールもしくは、サイドからのクロスに終始し、中央突破を試みることが激減。「負の連鎖のようなものがある」と藤本は悔しそうに認めていたが、自分たちを取り戻すというよりも、目ざすものがより遠くに感じられる後半45分だった。
残り6試合。柏はこの試合に勝ったことで少しメンタル的にもラクな状態で臨めるだろう。一方の大宮は、去年の記憶を否が応でも引きずり出しながら戦うことになる。残りは6試合もあるのではなく、6試合しかない。いかに残留最低ラインまで勝点を重ねるかということだけが目標だ。
以上
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