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【J2:第39節 山形 vs 福岡】レポート:退場を乗り越え、1点を守りきった山形が5試合ぶりの勝利!福岡はまたも失点が止まらず、昇格レースから大きく後退。(08.10.05)

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10月5日(日) 2008 J2リーグ戦 第39節
山形 1 - 0 福岡 (13:04/NDスタ/6,169人)
得点者:46' 豊田陽平(山形)
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「前半、ちょっと収まるところが少なかったのかなあという感じです。特に、サイドでもう少し受けれればよかったなあと思うんですけど、なかなかそこが収まらない部分と、スペースに多めに出たということ」山形・小林伸二監督は前半をそう振り返った。

5試合ぶりの勝利へ向けて、もしやと思わせるシーンがなかったわけではない。前半7分には、右サイドからの馬場憂太のクロスに、ファーサイドで宮沢克行が左足のボレーシュートを放ったが、福岡GK吉田宗弘がキャッチ。前半25分には、7試合ぶりの出場でフォワードに入った財前宣之の左クロスを、中央で豊田陽平がヘディング。しかし、ややかぶった状態で当てたボールはクロスバーの上を越えていく。前半終了間際のコーナーキックでは、中央に飛び込んだ石井秀典がやはりヘッドに当てたが、これも枠をとらえることはできなかった。

「福岡はロングボールが入ってくるので、セカンドボールを拾ってサイドへ早く付ける。早く付けたらサイドバックが食いつくので、サイドが空くし真ん中も空くというイメージを持ってくれれば」と小林監督は試合前に語っていたが、手詰まり感を打開するまでには至らなかった。

4試合ほぼ固定してきたスターティングメンバーを変えてきた福岡・篠田善之監督は、「前半からうちのサッカーがしっかりとできていたと思います。相手の良さを消して、(失点)0で抑えて帰ってくれたのがとても良かった」と、4試合ぶりに無失点で終えた最初の45分間を振り返った。しかし、福岡もま た、攻撃での見せ場は少なかった。ポゼッション率こそ高かったが、2トップへのボールは多くが跳ね返され、中央に絞った山形ディフェンスラインのサイドのスペースを、時折、サイドバックの中村北斗や中島崇典がクロスを上げるために利用する程度。大久保哲哉もハーフナー マイクも、アタッキングサードでボールを触る機会を奪われていた。

相手ゴールを破るための権謀術数を巡らす展開、という雰囲気にはほど遠かった。よく言えば冷静な、誤解を恐れずに言えば、昇格を争う試合特有の熱が感じられない前半。ある意味、必然の0−0を受けた試合は、しかし、ハーフタイムをはさむといきなり動き始める。

「サイドを起点に攻撃していこう」の小林監督の指示どおり、後半立ち上がり、まずは宮沢が左で起点をつくり、左サイドバックの石川竜也もそこに絡む姿勢を見せる。直後の後半2分には、今度は右から。ライン際をオーバーラップする石井を見ながら、北村知隆がボールを付けたのは、ニアに顔を出した豊田だった。石井に預けて自分は中に入る選択肢もあったが、豊田はアプローチしてきた柳楽智和を時計回りにかわすと、狙い澄まして左足を振り抜いた。鋭利な刃物が突き刺さるように、先制点はゴールネットに届いた。スタンドが喜びに沸く。しかし、これが山形の後半唯一のシュートになろうとは…。

豊田のゴールからわずか1分後の後半2分、財前がこの試合2枚目のイエローカードを受けて退場する。残された40分以上を、山形は10人で守り抜かなければならなかった。福岡は直後に山形辰徳を田中佑昌に代え、さらに後半24分までにはタレイから中払大介へ、丹羽大輝から久永辰徳への交代も終えて反撃に出る。数的優位を利用して両サイドを高く張り出すと、久永の左クロスに田中が頭から飛び込み、枠へ飛ぶシュートをGK清水健太が寸前で弾き出したり、後半32分のコーナーキックでは中払がこれもヘッドで低空を飛んだが、ゴールマウスのカバーに回っていた北村に跳ね返されるなど、福岡にも同点ゴールに近づいたシーンはあった。しかし、福岡の攻撃以上に際立ったのが山形の守備の巧みさだった。ボールが福岡の最終ラインで回っているときにはプレスがかかる程度にラインを上げ、回されてしだいに押し込まれても慌てずに、絞りながら少しずつラインを下げてスペースを消した。

奪ったボールをもはや前方へ大きく蹴り出すだけの展開になったが、かといって、山形にそこまで危ない場面があったわけでもない。ブロックの外で回す福岡のボールには中央、サイドの区別なくアプローチを怠らず、ペナルティーエリアへ侵入した外敵も徹底して潰した。1点を守りきるしかないという覚悟が、守備における集中力をこれまでにないほど高めていた。なかでも、今季先発2試合目のセンターバック・園田拓也は、チームが守勢に回ってからの時間帯で輝きを放っていた。「フォワードの大久保選手、ハーフナー マイク選手、途中から田中選手、この3枚が前線に張って、パスをつないで最後にその3人に入れてくるだろうなと思っていたので、その3人をしっかり見てやらせないようにしました」と言うとおり、空中戦ではツインタワーを押しのけてボールを跳ね返し、スルーパスが出れば田中のスピードを制してシンプルにクリアし続けた。10人になりたての頃は攻め手のなさを表していた前線へのクリアボールが、終了のホイッスルが近づくにつれ、福岡の攻撃をひとつ、またひとつと摘み取った証に姿を変えていた。ハーフナーがミートしそこねたボールを清水が拾い上げた直後の長い笛とともに、山形は1点を守りきる緊張感からようやく解放された。

「数的優位になった状態から、相手のブロックをはがすことができなかったのが非常に悔しい」(篠田監督)という福岡だが、はがすことに慎重になりすぎたことで、ダイナミックな展開や繰り出す手数が少なかった側面は否めない。足の長いボールで一気に裏を突き間延びさせたり、ミドルレンジのシュートを狙って相手ボランチを食いつかせるなど、ゴール前で仕事がしやすい環境づくりはいくらでもできたはずだ。あるいは、相手のスタミナを奪うだけの時間も十二分にあった。フィニッシュボールの多くが枠を外れたことと併せて、表面化している攻撃の課題は、天皇杯3回戦をはさんだ次節、ホーム横浜FC戦までに改善したい。

決してスマートなものではなかったが、1人退場という現実を冷静に受け止め、背番号12を含めた全選手がタスクを遂行して手にしたこの1勝は、山形を再び加速させるのに十分な価値がある。湘南・仙台に勝点3差をつけて2位に浮上し、昇格レースでも一歩抜け出した。課題はまだまだ多いが、チームの成長が実感できる今なら、何も怖れずに前進できる。次節は天敵退治に出かけよう。

以上

2008.10.05 Reported by 佐藤円
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