10月15日(水) 2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選
日本 1 - 1 ウズベキスタン (19:30/埼玉/55,142人)
得点者:27' シャツキフ(ウズベキスタン)、40' 玉田圭司(日本)
サポーターズサイト | JFAオフィシャルサポーターツアー
----------
少しばかりショッキングな結果となってしまった。引き分けという結果ではない。試合の内容に対してである。
岡田武史監督はW杯本大会ベスト4を見据えたチーム作りを進めてきていた。その中で、ここまで選手たちが積み上げてきた、いわゆるコンセプトに対する理解は進んでいるものと考えていた。そしてそれをチームとしてピッチ上で表現してくれるものと楽観視していた。ボールを奪われたその時点からのプレス。それによって高い位置でボールを奪えればチャンスになる。ゴール前に張り付くディフェンスではなく、ディフェンスは相手からボールを奪うためのもの。この試合の見どころとして考えていたのは、日本がイニシアチブを取り、コンセプトに沿った形でプレスをかけ、攻撃する。それをウズベキスタンがどのように受け止めるのか、という部分になるのだろうと思っていた。ところが日本に期待していた戦いを実践していたのはウズベキスタンだった。
後がないウズベキスタン代表の出足は鋭かった。日本のボール保有者に対し、複数の選手が囲い込みボールを奪い、攻撃へと切り替えた。そんなウズベキスタンの積極的な戦いについてカシモフ監督は「我々は何とか勝点が欲しかった。そうすると、多少危険を冒さないと勝点は取れない。攻撃にも力を向けなければ勝てないと考えた」と振り返る。そしてそうしたウズベキスタンの戦いは功を奏す。
岡田監督は「前半、思ったよりも相手が前からプレッシャーをかけてきた時に、少し臆病というか、相手のプレッシャーの前でパスを回して、結局バックパスという形が多かった」と述べ、ウズベキスタンのプレスの影響を認めざるを得なかった。あわてた日本はつなぎのパスでミスを連発。短く刈った、水を撒いたピッチの影響もあったのかもしれないが、それはこの試合に向けて練習してきたことであり言い訳にはならない。いずれにしても、崩しに入るはるか前で自滅気味にボールを失っていてはペースは掴めない。本来日本がやるべき、そしてアジアでの戦いでは当然それをやらなければならなかった試合運びができず、逆にそれをウズベキスタンにやられてしまった。これは大きな衝撃だった。
ショックはこれで終わらなかった。日本は前半の27分に先制点を奪われてしまうのである。この場面。日本は相手ゴール前での崩しのパスをカットされる。岡田監督のコンセプトに従えば、奪われた瞬間に攻守を切り替え、前からディフェンスをかけるべきである。そして選手はそれを実践した。ところが守備へと切り替える選手にばらつきができたことでプレスが緩くなる。これをウズベキスタンは巧みに突いてきた。小気味よくパスをつなぐと、あっという間に数的同数の状況を作り出し、攻撃へと切り替えたのである。
カパーゼが闘莉王(浦和)を置き去りにして裏に抜け出し、そのカバーに入ろうと中澤佑二(横浜FM)が逡巡する。そのわずかな判断の迷いに、シャツキフがつけ込む。試合を通して日本のプレスはかかっていなかった。そしてこの場面でもかけ切れていなかった。その中途半端な前がかりの守備を逆手にとったウズベキスタンの見事な先制点だった。
負けられない日本にとって幸いだったのが、思い通りにいかなかった前半のうちに同点に追いつけたという点である。前半40分。中村俊輔(セルティック)がゴール前にクロスを上げる。「届かないかと思いました」という大久保嘉人(神戸)は身を投げ出してボールを折り返す。これを押し込んだのが玉田圭司(名古屋)だった。試合を振り出しに戻す、殊勲のゴールとなった。
控え選手の練習を切り上げロッカーでのミーティングに当てたハーフタイムに、岡田監督は「もう少し早めに前のポジションに入るように」と指示。これにより攻撃の機会は増える。しかし決定打がない。日本が実現すべきプレスも影を潜めたまま。FWを2枚。MFを1枚投入した交代采配は、その意図の裏に守備を意識していたのも気になるところだった。
試合終盤には最終ラインを3枚にして闘莉王を前線に上げ、リスクテイクして逆転ゴールを狙う。しかし、ウズベキスタンゴールを守るGKネステロフの壁は頑強だった。後半だけで9本のシュートを放った日本だったが、最後までゴールを割ることはできなかった。日本はホームで、勝点を2落とした。
冒頭にも書いたが、この試合の意味は深い。表面上はシュートにまで持ち込んでいる。しかし、日本は自陣深い場所で相手のミスで奪ったボールを、高い個人能力で相手ゴール前にまで運んだに過ぎない。それはアジアでは通用するのかもしれないが、世界の舞台で通用するかと問われると疑問符が付く。日本は、世界を見据えて準備してきたサッカーをアジアの舞台でほとんどやらせてもらえなかった。
このウズベキスタン戦をグループAの各国は分析してくるだろう。捨て身で前からプレスをかけていけば、日本はたじろぐことを見せてしまったのである。引き分けという結果は結果として受け止めなければならない。後ろばかり見ても仕方ないが、すぐ1ヶ月後にアウェイでの試合が迫っている。積み重ねてきた「コンセプト」をどう修正するのか。この1ヶ月は日本の最終予選にとって、非常に大きな意味を持つものになるように思う。
以上
2008.10.16 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
一覧へ【2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選 日本 vs ウズベキスタン】レポート:ウズベキスタンの圧力を受け、「らしさ」を出せなかった日本。ホームで勝点2を落とす(08.10.16)















