11月8日(土) 2008 J1リーグ戦 第31節
柏 2 - 1 名古屋 (14:05/柏/10,519人)
得点者:32' 小川佳純(名古屋)、79' 菅沼実(柏)、81' ポポ(柏)
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逆転を信じて大歓声に包まれるスタジアムで、あの一瞬、大谷秀和にはポポの声が聞こえたのだという。身体は滑らかな動きを見せ、その声の先に絶妙のプレゼントパスが放たれる。「サポーターの人もチームをすごい乗せてくれたので、だからあの2点目があった」。次の瞬間、日立台には歓喜が爆発していた。
序盤にペースを握った柏に対し、徐々にリズムをつかみ始めた名古屋。互いに決定機が訪れるなかで、勝負強さを発揮したのは、優勝に望みをかけるアウェイチームだった。マギヌンのクロスを呼び込んだヨンセンの落としから、最後は小川佳純が滑り込みながら押し込む。試合開始早々にオフサイドの判定で取り消されたヨンセンのゴールの嫌な記憶を払拭する、豪快な先制弾。リーグ戦6試合ぶりの勝利は近づいているはずだった。
一方の柏にとっては、好機を活かせずにワンチャンスを決められるという、ある意味見慣れたシーン。つまり負けパターンである。だが、エースの負傷離脱がチームに変化を及ぼした。「フランサがいるときといないときのサッカーというのは大きく変えなければいけない」(大谷)。必然的に柏には攻め方の変化が生まれる。後半開始と同時にピッチに送り込まれたポポは、瞬く間に前線を活性化し、少しずつ名古屋の綻びを突き始めた。後半途中からは大谷がサイドバックからボランチにポジションを移し、以前に経験を積み上げたメンバーで、スペースを活かした攻撃を形作っていく。
その流れのまま迎えた79分、菅沼実がCKから同点弾を叩き出す。「前の選手なので、点を取るのが仕事」。向上心尽きないチーム得点王の一発により、スタジアムの導火線に火がつくと、わずか2分後、冒頭のシーンが生まれた。一瞬でスルーパスに身体の向きを合わせ、ダイレクトで強烈にゴールを突き刺した背番号11の姿は、確かにKリーグ得点王の貫禄に溢れていた。今季ここまで2ゴールに留まっていたポポ。抜群の献身性にこそ高い評価が与えられたものの、チーム加入時に抱かれた期待とは異なる結果に留まっていた。「本当にいいゲームができた」。そう試合を振り返ったポポには、何かをつかんだような自信の表情が浮かんでいた。
これで最近4試合の成績を3勝1敗とした柏に対し、名古屋は4分2敗。優勝戦線に残れるのかとの問いに、「ネバーギブアップの精神で、いいサッカーをこれからも続けていきたい」と応えるストイコビッチ監督の言葉が印象的だった。果敢なサイドチェンジを試みた選手にピッチサイドから拍手を送る指揮官の、「美しいサッカーを」という信念は変わらないだけに、ここまできたらやるべきことは変わらない。DFラインを押し下げられた際に中盤が薄くなる場面は気になったが、攻撃に比重を置くスタイルである以上、ある程度の穴には目をつぶる必要があるだろう。先制点で見せた組み立てのように、内容で勝って結果でも勝つ。この黒星は大きな1敗ではあるが、名古屋優勝の可能性が完全に断たれたわけではない。
試合終了のホイッスルが吹かれ、久々の勝利に日立台が沸き立つ。忘れかけていた歓喜の味を噛みしめるように、殊勲の菅沼の音頭に乗って、サポーターと選手たちが喜びを分かち合う。ようやく生まれた今季初の逆転勝利は、チームに大きな手ごたえを与えたのは間違いない。残り3試合、柏はラストスパートを見せることができるのか。石崎信弘監督が話した「気持ちを全面的に出していく」ことは前提に、指揮官が続けたリズムを取り戻すために「1回は大きなことをしてもいい」という手法の具体化も今後の注目点になる。その結果、昨季の成績(勝点50/8位)を上回ることができるようであれば、柏の今季は確かな成果となるはずだ。
以上
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一覧へ【J1:第31節 柏 vs 名古屋】レポート:日立台が呼び覚ました柏の勢い。優勝を争う名古屋が痛恨の黒星を喫する(08.11.08)
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