11月12日（水） AFCチャンピオンズリーグ
アデレード 0 - 2 G大阪　（18:00／アデレード／17,000人）
得点者：4' ルーカス（G大阪）、15' ルーカス（G大阪）
応援メッセージ｜ACL特集｜写真で振り返るG大阪ACL制覇
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　敵地での完封勝利。ピッチ中央での『ワニナレナニワ』。普段、選手だけで行われる『勝利の儀式』だが、今日は違う。スタッフも、そして西野朗監督も輪になって肩を組み、喜びを分かち合う。そして選手に胴上げされた西野監督が３度、宙を舞う。更に表彰式後は、ビクトリーステージに立った選手たちを祝福するシルバーの紙吹雪。全ては『アジアチャンピオン』だけに与えられる最高の瞬間だった。

　ホームでの第1戦を終えたG大阪だったが、決して慢心なく乗り込んだアウェイでの第2戦だった。もちろん、3−0というスコアに「確固たる自信を手にした（西野朗）」のは事実だが、戦いは終わっていない。しかもG大阪には昨年の覇者、浦和レッズでさえなし得なかった「アウェイ全勝」を決める中で、チャンピオンにたどり着きたいという目標もあった。更に言えば「浦和とは違うスタイルで、ガンバらしくアタッキングサッカーを貫いてチャンピオンになりたい（遠藤保仁）」という思いも、最後の戦いを前にした選手の気持ちを引き締めさせた。

　立ち上がりから、その集中力が感じられる展開。だが、3点差という状況から、また熱狂的なホームサポーターの後押しも追い風となって、アデレードも負けていない。第1戦とは一転、前がかりのスタートを切る。
「第1戦に比べて勢いも感じたし、サポーターの声援も後押しとなって、抜かれたらやられる、という雰囲気があった（安田理大）」
「今日の方が相手のプレスが早かったし、すごみというか、ファウル覚悟できているなと思った。僕らのホームでやった時よりも脅威を感じた（MF遠藤保仁）」

　とはいえスコア的にも優位に立っているG大阪だけに、慌てる様子はない。しっかりと身体を張り、技術力の違いを見せつけながら、丁寧に攻撃を組み立てていく。しかもそうした姿勢を後押ししたのが、立ち上がり4分という早い時間帯でのFWルーカスによる先制弾。ゴール前中央、MF二川孝広が相手DFと競ってこぼれたボールを、MF佐々木勇人が思い切りよくシュート。相手GKが前にこぼしたボールに、すかさずFWルーカスが詰め、俄然優位に立つ『アウェイゴール』をものにする。更に14分にも再び、FWルーカス。MF二川の絶妙なスルーパスに反応すると、GKのタイミングを巧く外してゴールネットを揺らす。0-2、いや、第1戦をトータルすれば0-5。アデレードの望みを完全に絶つ、2点をG大阪が奪い、前半を折り返す。

　だが、先行しているからと言って、守りに入るG大阪ではない。それを証明するように、西野朗監督が後半に切ったカード3枚のうち、2枚がFWの選手。守備の枚数が減り、やや押し込まれる時間帯が増えたとしても、スタイルは崩さない。最後まで攻撃サッカーを貫く。これがG大阪サッカーの真骨頂。
「あのまま終了するのは気に食わない。いい時間の流れとともに結果は分かっていたので、あとはガンバらしいことを90分やることだった点を獲れないと、オフェンスの選手をスイッチして、ゴールを量産する。たとえそこで獲れなくてもそういう姿勢をとるのがうちのスタイル （西野朗監督）』」

　選手たちも西野監督の『メッセージ』を明確に捉えた戦いを展開。交代によってややポジションの配置を代えつつも、押し込まれた時間帯は全員で身体を張ってボールを奪い、攻撃に入った瞬間には全員がしっかり運動量を保ち、走り、ボールを動かし、枚数をかけて攻めていく。残念ながらゴールこそ生まれなかったが、やるべきことは変わらない。ACLのアウェイ戦、全てで示して来たスタイルは、最後の最後までしっかりと貫かれた。

　結果、G大阪はクラブ史上初、悲願の『アジアチャンピオン』を手に入れる。初挑戦となった2006年から足掛け2年。自分たちのサッカーに対する自信と誇りを胸に、スタイルを貫き通したこの９ヶ月。全員で作り上げたG大阪のサッカーが、アジアに新たな歴史を刻んだ瞬間だった。

以上

2008.11.13 Reported by 高村美砂