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【AFCチャンピオンズリーグ アデレード vs G大阪】アウェイサポーターレポートFINAL編(08.11.13)

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11月12日(水) AFCチャンピオンズリーグ
アデレード 0 - 2 G大阪 (18:00/アデレード/17,000人)
得点者:4' ルーカス(G大阪)、15' ルーカス(G大阪)
応援メッセージACL特集写真で振り返るG大阪ACL制覇
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2008年11月12日、西野監督の言葉を借りれば、G大阪が“アジアで一番美しいサッカー”でアジアチャンピオンになった。

夏を迎えた11月のアデレードの爽やかな夜空に試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、G大阪サポーターの歓喜がスタンドを覆った。ホームで3-0で勝っておりアドバンテージはかなりあったとは言え、何が起きるか分からないのがサッカーであり、そしてアウェイだ。愛するクラブがアジアチャンピオンになることをサポートするために、日本から飛行機で10時間以上離れた、アデレードの地にやってきた200人を超えるG大阪サポーターの決勝戦当日の様子をレポートする。

日中の気温は42度にもなった11月12日のアデレード。弾丸ツアーで来たサポーターは午前中にホテルに入り、ホテルを出るのはキックオフ2時間半前の17時過ぎ。それまでは、市内観光など思い思いのすごし方をしていた。そんな中、キックオフ4時間くらい前から、G大阪サポーターがスタジアムに到着し出した。迎えるアデレード・ユナイテッドのサポーターの出足は早く、4時間前からゲート前には多くの人だかりが出来ていた。そして、G大阪サポーターを見ると気軽に声をかけていた。そこには、アジアチャンピオンを争う敵という概念ではなく、同じサッカーを愛するものとして、仲間という意識があるように感じられた。それくらいアデレード・ユナイテッドのサポーターは皆笑顔が印象的だった。アデレード・ユナイテッドのチームスタッフの言葉を借りれば「試合前と試合後は皆、仲間」ということなのだろう。

キックオフ3時間前になると、ゲート付近にはG大阪サポーターの待機列が出来始め、その近くでは、ACL決勝戦用のゲーフラを作成する姿も見られた。また、アデレード・ユナイテッドサポーターが作ったガンバとアデレード・ユナイテッドの両方の名前の入ったマフラーをアデレード・ユナイテッドサポーターから購入し、記念の品として大事に手にしていた。出会った一人のG大阪サポーターはアデレード・ユナイテッドサポーターにマフラーを譲ってもらおうとしたが、小額紙幣がなく、アデレード・ユナイテッドサポーターもおつりがないということだったのだが、アデレード・ユナイテッドサポーターは、結局はお金をもらわずにG大阪サポーターにこのマフラーをあげていた。

試合開始2時間前になると、G大阪サポーターを乗せたバスが次々にスタジアムに到着し出した。アデレード・ユナイテッドサポーターの数もかなり膨れ上がり、スタジアム周辺は赤と黒のユニフォームでびっしり埋め尽くされた感じだ。そして試合開始90分前に、ゲートがオープン。このときを待ちわびたG大阪サポーターは厳重な荷物チェックとボディチェックを済ませてスタンドへと歩を進めた。アデレード・ユナイテッドサポーターも同時刻に入場を開始し、あっという間にスタンドは真っ赤なサポーターで満員となった。

試合前、アデレード・ユナイテッドの試合に出ない選手やスタッフたちが、わざわざアウェイまで来たG大阪サポーターに敬意と歓迎の意を表し、カンガルーの人形を投げ入れていた。このようにアウェイまで来たサポーターをもてなす精神というのはJリーグのクラブの試合ではほとんど見られない光景かもしれない。サポーターたちの、この日を対戦チームのサポーターと共に楽しもうという気持ちと選手スタッフのアウェイのサポーターへの敬意を表する気持ちは、見ていて非常に清々しかったし、日本のクラブやサポーターは、こういう良い部分を学んで活かしていくことも大切かもしれないと感じさせられた。

そして、19時半、運命の試合がキックオフ。前半の早い段階で先制し、そしてすぐに追加点をあげ、G大阪の勝利は決定的な状況となった。ただそのような中でもG大阪サポーターたちは、歌い、声を出し続けた。後半に入りなかなか追加点を上げられないなかでサポーターの口からは、守り切れというような言葉は一切出ず、もう1点取りにいけという声援が選手へ送られる。攻撃的なスタイルを自分たちのサッカーとして自信を持って確立している証であるし、選手だけでなくサポーターもそのスタイルをしっかり理解し求めていることが分かった。この攻撃的スタイルがアジアを戦っていく上で、ドンドン結果を残していき、選手には自信を与えていた。アウェイの全南やメルボルンでの大逆転勝利も守るのではなく攻めて打ち合って勝ち取ったものだった。このように、自分たちのスタイルを守り通した結果が、1敗もしないでアジア王者獲得につながったのだろう。このG大阪の攻撃的スタイルは、アデレード・ユナイテッドサポーターの心も動かし、後半途中から何人かのアデレード・ユナイテッドサポーターがG大阪サポーター席に入ってきて、一緒にG大阪を応援していた。

そして試合終了の笛。G大阪が、アジアチャンピオンに輝いた。G大阪サポーター席では、歓喜と感動の涙に包まれた。そして何人かのサポーターに話を聞いたところ「泣いてしまい言葉がでません」「アジアで一番美しいサッカーでチャンピオンになれたことを誇りに思います」「最高です。言うことないですがFIFAクラブワールドカップでは赤い悪魔(マンチェスター・ユナイテッド)を倒したいです」「嬉しいです。お荷物クラブといわれた開幕の頃から一歩一歩進んできた感じです。FIFAクラブワールドカップではマンチェスター・ユナイテッドを驚かせたい。欧州vs南米という決勝の舞台を崩したいです」「ACLは皆勤賞です。ガンバありがとう!西野監督ありがとう!お金は結構かかったけど、それ以上の感動をもらいました。ありがとうございます!ガンバのスタイルを崩さずに勝てたことが嬉しいです」など様々な声が聞けた。

試合後には、負けたアデレード・ユナイテッドの選手たちは、G大阪サポーターのもとへ挨拶をしに来た。その様子を見ていた、G大阪サポーターからもアデレードコールが自然と起こった。Jリーグだと通常タイトルがかかった試合で負けたクラブの選手が相手アウェイサポーターのところへ行くなんてことはなかなか感じられなかったが、アデレード・ユナイテッドはさりげなくそして爽やかにG大阪サポーターの心を掴んだ。非常に美しい光景であったし、まさに、こういう選手たちの姿勢のことをグッドルーザー(美しき敗者)というのだろう。

そして試合後、播戸選手がサポーターの元へ来てACLのトロフィーを掲げた。共にアジアの過酷な試合を戦ってきた同士だけに、この優勝、喜びを一緒に分かち合いたいという播戸選手の思いがあったからこそ、サポーターはACLの本物のトロフィーに触ることができた。

そして終了してしばらくたつとスタンドのあちらこちらからアデレード・ユナイテッドポーターがG大阪サポーターのもとへ駆けつけ、祝福の意を示しつつ、ユニフォーム交換やグッズの交換を申し出ていた。「試合前と後は仲間」という意識が文化として根付いているのだろう。一緒に戦った仲間だから、わざわざ遠いアウェイの地まできたから、試合後はその健闘を称えてくれているのだろう。このような国際交流ができるのもACLに出場したからこそだし、ACLという大会の素晴らしさだ。負けたクラブのサポーターが勝ったクラブのサポーターに話しかけることは、Jの舞台ではなかなか見られない光景だが、対抗心だけでなく、このような意識の持ち方が今後のアジアのサッカーのレベルを高めていくことに繋がっているように思えた。2008年のアジアチャンピオンになったG大阪。予選から過酷なアウェイでの戦いを経験してきたことで選手と一緒にサポーターも成長してきたが、今後はアジア各国での経験を活かし、素晴らしいクラブの文化を作っていってもらいたい。G大阪の選手、サポーターならそれはできるはずだ。「YES WE CAN」。G大阪サポーターが掲げたゲーフラにあった言葉が、ACL優勝というだけでなく、今後のアジアのサッカーの発展にもつながっていけばと思う。

以上

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