12月6日(土) 2008 J2リーグ戦 第45節
岐阜 1 - 0 鳥栖 (12:05/長良川/4,167人)
得点者:43' 片桐淳至(岐阜)
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岐阜の試合メンバー表には、今季でチームを去る選手10名の名前があった。その中には、4年間もの間、岐阜を支え続けた森山泰行の名前もあった。
「苦しい時も悲しい時も一緒に戦ってきた。もっと一緒にやりたかった」とFW片桐淳至は、試合後に語った。
他の選手たちも同じ思いで、今節を迎えていた。是が非でも勝って終わりたい試合。いや、勝って終わらないといけない試合だった。そんな、岐阜の選手の思いを乗せた今季の最終戦は、岐阜メモリアルセンター長良川競技場という絶好の舞台だった。
対するは、3位でシーズンを終了する可能性を残す鳥栖。得失点差の関係で、3位は難しいにしても、同じ勝点で4位になる可能性を残していた。そのためには、勝点3をあげることが絶対条件であった。前節の仙台戦での完勝の勢いを持ってすれば、勝利は可能だったかもしれない。しかし、結果は岐阜が今季のホーム最終戦を飾り、多くのサポーターに感動と思い出を残した内容だった。
立ち上がりは鳥栖のペースで進んだ。中盤からボールをつないでは、岐阜のバイタルエリアまでは運んでいた。しかし、シュートまで持っていくまでに時間がかかってしまう。パスをつないでも、サイドチェンジを行っても、シュートを打たなければ得点には結びつかない。最初で最後となったビッグチャンスは、10分に右サイドのMF高橋義希からのセンタリングを、FW廣瀬浩二がゴール上に外してしまう。時間の経過ともに鳥栖の焦りはミスとなり、流れが次第に岐阜に傾いていく。20分過ぎには、岐阜の縦へのシンプルな攻撃がはまりだし、鳥栖が中盤でのボール支配ができなくなった。そして、感動の決勝点が前半の終了間際に岐阜に入り、今シーズンの有終の美を岐阜が飾ることになる。
43分だった。
今季で岐阜を離れるベテランのMF梅田高志が、中央でボールを持った。それまでは、右サイドへ展開されている局面を、左サイドのDF吉村光示に渡した。吉村も今季で岐阜を去る選手の一人である。ベテランの試合感と後世に託す思いを乗せた吉村からのセンタリングは、ゴール右サイドから走り込んだFW片桐淳至の頭に飛んでいった。
「ヘディングは、気持ちで決めろ」と片桐は、森山泰行から言われていた。同じFWの偉大なる先輩の教えを片桐は実践した。
「ヘディングは得意じゃないけど、身体ごと投げ出した」と片桐は、必死の思いでボールをゴールに流し込んだ。
この先制点は、今季で岐阜を去り行く選手たちとそれを見送る選手たちの勝利に対する思いを一気に固めてしまった。それを証明するかのごとく、岐阜サポーター達のボルテージも一気に加熱した。岐阜は、これで負ける要素が無くなった。
鳥栖も岐阜の最終戦勝利の盛り上げ役で終われるはずもなく、後半開始から3バックにして中盤に厚みを持たせた。DF高地系治を前線において、起点と基点を作ろうと試みた。FW藤田祥史のポストプレーを介して、両サイドにボールを運んだ。空いたスペースには、ボランチの船谷圭祐も飛び込んでいた。しかし、この日の鳥栖はシュートまでが遠かった。
「岐阜のはめた罠に鳥栖が自ら入り込んで行った」と岸野監督は、自滅を認めざるを得なかった。鳥栖は、自滅と感じたかもしれないが、岐阜はそう感じていなかった。
「今季の岐阜がつかんだことを最後の最後に出せた。来季につながる勝利」と松永監督(岐阜)は、今季の集大成であることを明言した。15人もの契約満了選手を発表した岐阜。J2ディビジョン加入元年は、目標の10位以内は達成できなかった。
しかしながら、彼らが残した思いは片桐の得点という形で、後世に残した。来季は、大幅に若返ることになりそうだ。
サッカーは、年齢で行うスポーツではないが、経験でこそ乗り切れる局面が多くある。
今節の勝利を、単なる一勝で終わらせないためには、来季に今季以上のパフォーマンスを出さないといけない。去りゆく選手たちの経験を、勝利と言う形で残した岐阜は、それを来季につなげるだろう。
終了間際のMF島田正吾のセンタリングにわずかながら及ばなかった森山は、「決めて終わりたかったけど、決めたら現役に未練が残る」と一笑に付した。しかし、アディショナルタイムにMF北村隆二は、「森山さんに決めてもらおう」と時間稼ぎをせずにセンタリングを上げた。
ゴールにこだわった森山とその森山にアシストを送った北村。勝利に対する執念をどちらも見せてくれた。勝たなくてよい試合などは無い。今節の勝利は、きっと来季につながるだろう。
試合に臨む思いは、選手それぞれあるに違いない。
勝利に価値を見出さない選手もいない。誰もが勝利を目指し、必死にプレーをし、全力を尽くす。
今季のリーグ戦は、今節を持って終了した。数々の名場面をその眼にし、結果に涙した。
一年間を戦った選手、スタッフ、関係者に感謝をしつつ、来季に胸を弾ませる。
今年も、サッカーは面白かった。そして、来年も面白いだろう。
だからこそ、サッカーの魅力は尽きることが無い。
以上
2008.12.07 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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