12月6日(土) 2008 J2リーグ戦 第45節
広島 3 - 0 徳島 (12:05/広島ビ/12,943人)
得点者:66' 森崎和幸(広島)、83' 佐藤寿人(広島)、87' ストヤノフ(広島)
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佐藤寿人から、横パスが出た。逆サイド、フリーで受けたのは久保竜彦。
いけーーーーーっ!
広島ビッグアーチが揺れる。
久保が左足をしならせ、ダイレクトで打つ。
しかし。
今季限りで徳島を去ることが決まっているGK島津虎史が、自らのプライドをかけて、シュートを身体に当てる。
あーーーーーー……。
ため息。そして、ホイッスル。
その瞬間、ガックリと膝をつき、身体を突っ伏した紫の戦士たち。
一瞬、静まりかえるスタジアム。雪が、選手とサポーターの想いを代弁するかのように、しんしんとふり注ぐ。
このシーンだけをダイジェスト映像で見た人は、「広島は負けたのか」と思うかもしれない。しかし、実際は違う。3−0。広島は快勝した。しかし選手たちは、悔しさを身体中で表現する。全身全霊をかけて、「あと1点」を取りに行ったからだ。
この勝利で、広島は2004年川崎F以来の「勝点100」を達成。一方で、この時の川崎Fだけが達成している「得点100」にはあと1点、足りなかった。
実は、この最終戦に向け、広島はたくさんのアクシデントに見舞われた。
水曜日、青山敏弘が練習中に腰を傷めた。木曜日、服部公太が急性虫垂炎のため手術。さらに練習中、森崎浩司が青山と同じように腰の痛みを訴え、練習途中でピッチを後にした。
昨日、中盤での起用が確実視されていた高柳一誠が、高熱を出して練習を休む。また右サイドで奮闘してきた李漢宰の両膝の痛みが悪化し、今日になってメンバーから外れた。
その結果、高柳にかわって高校生Jリーガー・岡本知剛が先発に選ばれ、橋内優也がメンバー入りし右サイドで先発。また、吉田サッカー公園でサテライトチームの練習に参加していた清水航平が急きょメンバー入り、約1時間をかけて広島ビッグアーチに向かうというバタバタ劇となった。
このアクシデントに加え、朝から雪が降りしきる悪天候も手伝って、広島はいつものようなコンビネーションが見せられない。さらに徳島が自陣にブロックをつくり、引いて守ってきたために、チャンスの数が増えない。前半終了間際には、徳島MF玉乃淳が決定的なシュートを放ち、広島守備陣を脅かした。
しかし、周囲が思うほど、選手たちは慌てていなかった。
「しっかりとパスを回していれば、いずれ相手は疲れてくる」(森崎和幸)
これまでの経験から導きだした原則は、この日も正しかった。実際、時間の経過と共に、気持ちを前面に出して闘った徳島の選手たちの1歩目が遅れ始める。そこを、広島がつけ込んだ。
66分、柏木のCK。広島のセットプレーにおいて、もっとも危険な選手は槙野智章だ。彼のマークは、さすがに徳島も外さない。しかし一方で、ニアに飛び込んできた森崎和をフリーにしてしまった。勢い来んで飛び込んだ森崎和の頭から放たれたシュートは、ネットに突き刺さった。
徳島はDF河野淳吾を投入し、3-5-2にシステムを変える。その直後、左サイドからのクロスをファーサイドにいた石田がヘッドで合わせる。決まったかと思われたが、槙野が執念でクリア。77分には、CKから挽地祐哉がフリーでヘディングシュートを放つ。この時間帯、徳島には確かにチャンスがあった。
しかし、残り10分間は広島の独壇場。久保の強烈なミドルや柏木陽介の決定的なパスでリズムをつかむと、83分には森崎和のドリブル突破から、佐藤寿人が今季28点目を決めた。
「100点」を強く意識した広島の選手たちは、運動量をさらにあげる。87分、久保がペナルティエリアすぐ外でファウルを受ける。FKを蹴ったストヤノフが、自らそのこぼれを叩き込み、ついに「100点」まであと1点と迫った。槙野智章がFWの位置から戻らず、リスクをかけて得点をとりにいく。
ロスタイムに入り91、柏木が素晴らしいミドル。しかし、島津が執念のセーブ。93分、ストヤノフのスルーパスに久保が飛び出し、GKとDFを引きつけて、上がっていた槙野へ。しかし、足を必死で伸ばした槙野のシュートはポストの横へ。そして94分。冒頭のドラマが……。
「自分たちがまだまだ成長しないといけないと、神様が教えてくれた」と佐藤寿人は語る。しかし一方で、2008年度J2得点王は「99点で終わったからといって、自分たちのこれまでの実績に対する価値が変わるわけではない」とも口にした。すべて、そのとおりだ。
徳島は、今日の熱い闘いを胸に刻み込み、3年連続最下位の屈辱を来季こそ晴らすべく、新しいスタートを切る。広島は天皇杯をしっかりと闘いぬき、来季のJ1への闘いに向けて財産を積み重ねる。
この試合が、両チームにとっての素晴らしき糧となることを祈って、今季のリーグ戦レポートの締めくくりとしたい。
以上
2008.12.07 Reported by 中野和也
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