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【Jユースカップ2008:1回戦 養和 vs 浦和】レポート:養和、情熱の力を示し初戦を制する。高円宮杯王者・浦和がリベンジ目前で勝利を逃す(08.12.08)

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12月7日(日)Jユースカップ2008 1回戦
養和 1 - 1(5 PK 4) 浦和 (14:01/ベアスタ/200人)
得点 : 77'山田 直輝(浦和)、89'内堀 超(養和)
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★J's GOALとエル・ゴラッソのライター陣がJユースカップ2008注目選手をピックアップ!
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試合後、「We are TOKYO! we are TOKYO!」を連呼する養和の選手たち。彼らは深い意味もなくFC東京のコールを口にしたつもりなのかもしれないが、センチメンタルな外野は喜びの裏にある憧れと挫折を感じた。勝手に。

12月6日はJ1残留を決めた千葉が劇的な戦いを見せたが、翌日に行われたJユースカップ2008 決勝トーナメント1回戦の戦いでも劇的な戦いがあった。1回戦の2試合が終わった段階でベストゲームと言うのは愚かなことだが、養和対浦和の戦いは「ベストゲーム」と思いたいような素晴らしい戦いだった。45分間を短く感じ、公式記録員が「思わず見惚れて、(ボールの動きを見ながらの)背番号チェックを忘れそうになった」と言うほど。

高円宮杯全日本ユース(U-18)チャンピオンの浦和は攻撃的な4−3−3(ワンボランチ)でピッチを支配し、養和は4−1−4−1で中盤を厚くして浦和の攻撃力に対抗する。浦和の3トップと3枚の中盤は、配置に縛られることなく、流動的に湧き出すように前に向かっていく。キックオフから主導権を握った浦和のボールは養和のペナルティエリア周辺を蹂躙する。公式記録では前半45分間の浦和のシュートは1本ということになっているが、それは養和の選手が身体にボールを当てて防いだシュートが多かったから。主導権を取るサッカーの背中に張り付いている、「ボールを回すがシュートが打てない」をいう場面を浦和は殆ど見せなかった。それでもスコアが動かなかったのは、養和の中盤を厚くした守備の頑張りと、ボールを奪ってから見せるカウンターとパンチ力のあるロング・ミドルシュートが浦和の守備の意識を常に刺激していたから。養和の斉藤和夫監督は「選手にはシュートは距離じゃなく、タイミングと言っている。利き足ならどこから打ってもいい。『GKと1対1になるよりも相手DFが居た方がシュートは入る。GKは味方DFで見えない部分もあるし、ポジションが取りにくい。DFに当たってコースが変わることもある』という話をいつもしている」と言う。この指導を受けている選手たちは、しっかりミートしたシュートを躊躇なく打つ。公式記録上は前半45分間のシュート数は浦和の1本に対して養和は5本。内容はシュート数の逆だが、主導権を取られながらもしっかりと反撃していた。

プリンスリーグ関東1部でも日本クラブユースでも浦和からゴールを決めている注目の田中輝希(16歳)は、期末テストの谷間の試合となった3回目の浦和戦はコンディションに問題があり、魅せたプレーは殆どなかったが、ワントップの中村謙がそれをカバーした。浦和の強くて高いボランチ・濱田水輝(185センチ)の背中を掻い潜り、センターバックの間を取ってパンチ力のあるシュートを浴びせた。田中との絡みも見たかったが、このワントップが、力が上のチームと戦うときでも養和を守備的と言わせない鍵だった。浦和の4−3−3に主導権を取られれば中盤を厚くして守備に人数をかけざるを得なくなり、ボールを奪っても効果的な攻撃に繋げることは難しいが、速くてボールを失わない中村がラインを上げて主導権を取り戻す余裕をつくってくれていた。

前半は0−0で終えたが、後半になっても殆どの時間は浦和が攻め立てた。浦和の速くて流動的な攻撃に耐え続けた養和だったが、徐々にマークしきれないほころびが見え始めた。中村に代わって入った2代目・ワントップの効き目がやや薄かったこともその理由に挙げられる。前半にはあった養和タイムは殆どなく、ほぼ浦和タイムの後半。そして、77分に城福ジャパンで日の丸を付けた選手が更なる成長を見せて、決定的な仕事をする。CBもこなせるワンボランチの濱田が左のスペースに入った高橋峻希に正確な縦パスを通し、高橋がドリブルで突っかけて行くと中盤の山田直輝が猛然とゴール前に走りこんで、高橋の背中にボールを要求。左足でシュートを打つ1秒前の高橋は、その足を軸足にして右足のアウトサイドで山田のコースにボールを出し、山田が左足でリベンジ・ゴールを決めた。

0−1とリードを許してからの養和は、79分の田中、89分の近藤貴司と決定的なシュートを打って浦和の勝ち逃げを阻止しようとするが、流れから3回目の対戦で浦和がリベンジを果たすと大抵の人は思ったはず。ロスタイム最後のワンプレーのFKも養和の自陣から。これを跳ね返せば主審が「ピーピーピ〜」と笛を吹いて終わるはずだった。GKの原田祐輔が蹴ったボールは原田以外の選手が密集する浦和のペナルティアーク付近に飛ぶ。ノートを片付けながら見ていると養和の安田隆が頭に当てたボールは、柔らかな軌道でゴールエリアに飛んでいく。そして、ホットゾーンに落ちようとしたボールに競りに行った内堀超のどこかに当たってコロコロとゴールイン。公式記録ではヘディングになっているが、当たったのは内堀の背中だった。

背中でもゴールはゴール。公式記録には「背中」という表記法方がないのだろう。爆発するように喜ぶ養和の選手たち。閉じたノートを開き直して、あと20分間(前後半各10分)素晴らしいゲームを見ることが出来る嬉しい残業に備えた。延長に入る前の時間、浦和と養和の選手たちの違いが見えた。追いつかれたから当然かもしれないが、悲壮感が漂う浦和に対して、養和の選手は面白がっていた。公式戦で2回勝っていても、浦和が上という自覚はある。だからこそいい勝負が出来ることが面白いのだろう。養和の選手には「本当はJリーグの下部組織のチームでプレーしたかった」という選手が何人もいる。斉藤監督は「彼らはJのクラブを落ちてウチに来た。小学6年生で一度挫折を味わっている選手」と言う。彼らにとって浦和だけでなく、Jリーグの下部組織は憧れだった存在で、そのチームと対戦するときは燃える。勝てればもっと面白い。

延長戦も殆どが浦和タイムだったが、養和は耐えた。81分から入った木村陽一郎が、ツートップにシステム変更した養和のターゲットマンとして効いていたことも大きい。決定的な仕事は出来なかったが、味方のDFに少し休む時間を与えた。PK戦を告げる笛が吹かれると、浦和には更なる悲壮感が漂い、養和の選手はただ面白がる。先攻の養和はゴールが決まるたびにお祭り騒ぎになり、浦和はゴールが決まっても紳士的に喜びを内に秘める。対照的。お互いに4人連続で決め、養和の5人目はキャプテンの三沢祥馬。少し長めの助走を取るが、ビビルことなく思いっきりのいい強いシュートをドカーンと決める。そして、後攻の浦和の5人目には強烈なプレッシャーが掛かり…シュートは枠に嫌われた。強いと評価されることに対する謙虚な自覚、浦和レッズの誇り、2度敗れている養和に対するプラスのモチベーション。浦和の選手は素晴らしいサッカーを110分間やり通したが敗れた。理由なんて分からない。素晴らしいプレーをしても負けることがあるのがサッカー。決して無駄な経験にはならない。胸を張って埼玉に帰ればいい。トップチームの選手も憧れるようなサッカーをしたのだから。

「We are TOKYO! we are TOKYO!」を連呼する養和の選手は終始サッカーを楽しんでいた。養和にはJのクラブのように応援歌もコールもないし、今年の3年生でJリーガーになれる選手もいない。だからこそ歌いたいのかもしれない。「彼らはFC東京の歌だけじゃなくて、東京ヴェルディのも歌ってますよ。しょっちゅう歌ってる(笑)」(斉藤監督)。彼らにJクラブを落ちた劣等感や妬みのような感情は感じられなかった。あるのはJクラブの選手より強い、Jリーグに対する憧れ。「4年後、Jリーガーになりたい」と言うキャプテンの三沢は駒澤大学に進学する。憧れという情熱の力はもの凄いことを教えてくれた。2回戦(12月14日@ヴェルディグラウンド)では東京Vと対戦する養和。東京Vサポーターが歌えば歌うほど、養和の選手たちは自分たちが応援されている気分になって戦うことが出来るのかもしれない。

以上

2008.12.7 Reported by 松尾潤

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【Jユースカップ2008:今後の日程】
★12月13日(土)
13:00 FC東京 vs 京都サンガF.C.深川G
14:00 ガンバ大阪 vs アミーゴス鹿児島万博

★12/14(日)
13:00 鹿島アントラーズ vs 大宮アルディージャ鹿島G
13:00 東京ヴェルディ vs 三菱養和SCヴェルG
13:00 横浜 F・マリノス vs 塩釜FCMM21
13:00 名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島刈谷
14:00 柏レイソル vs FCライオス
14:00 セレッソ大阪 vs ジェフユナイテッド千葉南津守
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