12月20日(土)第88回天皇杯準々決勝 柏 vs 広島(15:00KICK OFF/岡山)
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できれば、ベストメンバーを揃えたかった。それが、広島サポーターの本音だろう。
森崎和幸と森脇良太の出場停止が、まず痛い。今季、ストッパーとして起用された森脇は、強い身体とスピード、強い気持ちを武器に、広島のJ2優勝に大きく貢献した。どんな状況でも決して下を向かず、途切れない声とアクションでチームメイトを熱く激励するムードメイカー。今季は2度にわたってロスタイム・ゴールを記録するなど、勝負強さも持っている。そんな森脇の不在は、特にゲームが厳しい状態に陥った時に、痛さを感じる。
そして、森崎和幸である。今季J2最多の2557本のパスを供給して、広島のパスサッカーを演出した「広島の頭脳」の不在が、どれほどの打撃か。
たとえば今季、森崎和が45分以上ボランチでプレーしている時、平均勝ち点2.43・平均得点2.52・平均失点0.67という記録が残っている。一方、森崎和不在時は、勝ち点2.22・得点2.44・失点1.22。このデータが示すまでもなく、広島にとっての森崎和幸とは、G大阪における遠藤保仁、川崎Fにとっての中村憲剛と同等以上の比重がかかる存在なのだ。
これまでなら、森崎和の不在時には双子の弟・浩司がカバーしていた。しかし、浩司は14得点7アシストという数字が示すとおり攻撃面で才能を発揮する選手で、特に中盤の守備で兄と同じ仕事をこなすのは厳しい。その上、シーズン終盤にきて腰痛を発生。練習には合流したものの、試合出場は微妙だ。ゲーム全体を俯瞰し、前にかかりがちな広島の選手たちの手綱を引き締めつつ試合を構築する森崎和の代役など、そう簡単に務まるものではない。
さらに急性虫垂炎で手術した服部公太も、出場は無理。最終節を欠場した青山敏弘や李漢宰はチームに復帰してはいるものの、万全な状態ではない。広島はまさに満身創痍だ。
一方の柏は、「天皇杯にはほとんどの怪我人が戻ってこれそう」と石崎信弘監督が言うように、ほぼ万全の状態で広島戦に臨む。「魔法使い」フランサをはじめ、ハードワークと強いフィジカルでチームに貢献したポポ、今季限りの退団が決まっているとはいえ、チーム最多の8アシストを記録しているアレックスなど、J2には存在しないタレントがズラリ。「もっとも警戒すべき」と広島の指揮官が指摘している両ウイング=菅沼実・太田圭輔のスピードも、広島の守備陣にとっては脅威となる。
石崎監督がこの天皇杯を最後に退団することも、柏の選手にとってはモチベーションをあげる材料。J2時代から苦楽を共にし、チームに明確なコンセプトを与えて一つにまとめあげた手腕は「名将」と評価されるべきものと言える。その名将が16日の練習前に「1日でも長く、君たちとサッカーがしたい」と語った言葉が、選手たちの胸に響かないはずはない。
実は、広島市出身の石崎監督は、サンフレッチェ広島に対して相性がいい。
J2で川崎Fを率いていた2003年は2勝2分と負けなし。2004年7月から清水の指揮をとっていた時は3-0で快勝。2007年、J1に復帰した柏の監督として対戦した時も1勝1分。広島に対して苦杯をなめたのは、2005年、アルディレス監督の辞任を受け、わずか3試合だけ急きょ指揮をとった東京V時代のみなのだ。
ただ、この記録にも裏がある。石崎監督が広島に勝利しているのは、実はホームゲームのみ。アウエイでは3分1敗という戦績なのだ。そして明日の舞台は広島の隣県である岡山・桃太郎スタジアム。紫のサポーターが数多く詰めかけ、厳しい状況にあるチームを後押しするべく、ホームゲームのような雰囲気をつくりあげようとするだろう。そのことが、石崎監督の対広島戦のジンクスに、どのように作用するか。そこも気になるところだ。
様々なバックグラウンドの物語を取払い、「サッカーの対決」という部分だけを見ても、この試合は興味深い。
もともと、石崎監督が手塩にかけてつくりあげた「ハイプレス&ショートカウンター」のスタイルは、攻撃的なパスサッカーを展開する広島にとっては「やりづらい」(ペトロヴィッチ監督)。柏が持ち前のプレスでパスコースを限定させ、相手が前にかかったところでクサビのパスをカットできれば、広島の守備陣を置き去りにしてゴールを陥れることができる。
一方、広島側からすれば、そのプレスをかいくぐった先に待っている大きなスペースが狙い目。そのためにも選手たちが次々と動き、選択肢を数多くつくるいつものサッカーを展開しつつ、どこかでダイナミックにボールを動かす形も必要になるだろう。
柏のハイプレスが爆発するか、広島の攻撃的なパスサッカーが、そのプレスをしのぐか。様々な注目ポイント満載の岡山決戦であることは、疑いの余地はない。
以上
2008.12.19 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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