「何かうまいものを紹介してくださいよ」。J's GOAL徳島担当の松下氏をつかまえて訪ねる私に教えてくれたのが、居酒屋「チー坊」。スタジアム前広場と、メインスタンドコンコースの２か所に出店するお店で、飲み物はビールから清涼飲料水まで、食べ物は、ラーメン、カレーライス、焼きおにぎり、焼きそばなどの主食から、たこ焼き、焼き鳥、フランクフルト、ポテト、げそ天等々、屋台の定番メニューが並ぶ。メインスタンドの売店には、韓国冷麺、チー坊焼きなどのオリジナルメニューもある。

　選んだ一品は、松下氏が一番のお勧めの韓国冷麺。でき上がりを待つ間、しばし大将との会話を楽しむ。「福岡から来たんですけど、徳島はこんなに暑いんですか」と尋ねる私に、「福岡から？　おれも飯塚出身だよ」と大将。意外なところで同郷人との出会いに驚くやら、うれしいやら。そういえば、同じくスタジアムに出店しているCHA-CHA HOUSE COFFEEのマスターも、友達が福岡に住んでいて、アビスパサポーターだと言っていた。

　さて、韓国冷麺は作り置きしたものではなく、まずは麺を湯がくところから始める本格派。待つこと数分。温まった麺を氷水でしめてから水切りし、細切りの胡瓜とハム、キムチ、厚切りチャーシュー、薬味のねぎを乗せて、その上からごまだれを回しかけて出来上がり。量はしっかりと１人前あるボリュームで、手に持つとずっしりと重みを感じる。

「混ぜてから食べてね」という大将のアドバイスに従って、どんぶりの底まで箸を入れてしっかりと混ぜ混ぜ。ごまだれの香りが広がって食欲がわく。そして豪快に麺をすする。韓国冷麺独特の細くて、非常にコシの強い麺。なかなか噛み切ることができないが、この食感こそ韓国冷麺のうまさの秘密。また、韓国冷麺と言えば辛味のある赤いたれがかかったビビン麺を連想する人も多いだろうが、酸味と甘味のあるごまだれもうまい。これなら辛いのが苦手に人でも大丈夫。値段は650円。味、量ともに納得の本格派の一品だ。

　そしてカレーライス。徳島担当の松下氏が、冷麺と並んでお勧めするスタジアムの味だ。寸胴からのぞく煮込まれたカレールーは、サラサラしたタイプではなく、十分なとろみがついているタイプ。辛味を感じさせる香りを伴って、見るからにおいしそうだ。値段は550円。大盛り（650円）もある。この日は食べすぎで膨らんだお腹をさすりながら実食は諦めたが、あの姿、あの香りは、間違いなくうまいに違いない。

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2009.04.24 Reported by 中倉一志