5月5日（火）J1 第10節 神戸 vs 山形（16:00KICK OFF/神戸）
スカパー！生中継 Ch183 15:50〜（解説：牛尾淳、実況：本並健治、リポーター：高木聖佳）
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　「前半は忘れたいぐらいの内容だった。今までで一番悪かったと思う。相手の攻撃を受け入れるだけで、シュートも打てない悪い内容だった」（カイオ・ジュニオール監督）。前節、神戸は指揮官が今季ワーストと認める内容で磐田に完敗した。

　スコアこそ0-1だったが、全ての面で磐田に上回られ、終始攻め込まれる苦しい展開。榎本の神懸かり的なセーブ連発がなければ大量失点していた試合となった。大分、G大阪に連勝した試合と比べものにならないほど運動量が激減し、常に「やっていることが後手になった」（榎本）。特に攻撃面での非力さは深刻で、90分間で3本のシュートしか放てず、決定力不足以前の“チャンス不足”という課題を露呈した。

　磐田戦後、カイオ監督は「連戦での疲れはあると思う。すぐ試合があるので、次は体力面も考えながらスタメンを考えたい」と話しており、この試合には松岡亮輔ら疲労が明らかな選手の入れ替えが予想される。また、負傷から復帰して徐々に出場時間を伸ばしているマルセウの先発起用も濃厚で、フレッシュなメンバーでの連敗ストップを狙うことになりそうだ。

　一方の山形は、前節の柏戦で引き分け。押し込まれる時間が長くはなったものの、清水やレオナルドが中心になって2試合連続完封。これまでの9試合で失点はわずかに6という数字は鹿島・浦和と並んでリーグ最少であり、守備の安定が5位という順位につながっていることを改めて証明する試合をして見せた。

　しかし、攻撃面については不安が多い。前節は第8節の大宮戦で右太ももを痛めていた古橋達弥が欠場。さらにここまでチーム最多の5得点を挙げている長谷川悠が右足首を痛めて途中退場するというアクシデントに見舞われた。ともに症状はそれほど重くないようだが、中2日でやってくるこの試合に起用されるかは微妙であり、二枚看板が揃って欠場となれば、公式戦7試合ぶりにノーゴールに終わった前節のような苦しい展開も考えられる。

　お互いに攻撃面に不安を抱える状態での戦いとなるこの一戦では大量得点での決着は考えにくいが、その中でゴールへのカギとなるのはサイドの攻防だ。
　神戸は前節、「石櫃と田中という攻撃のキーマンである2人が両ワイドのマークに追われて下がってしまい、チーム全体も下がってしまった」（カイオ監督）と3バックを採用するが故のウィークポイントを突かれ、迫力を欠いた。現在の神戸は彼らのアグレッシブな動きが攻撃を支えており、厚みが出せるかどうかは彼らができる限り前でプレーし、ワイドからゴール前へと入り込むことができるかどうかに懸かっていると言える。

　サイド攻撃がストロングポイントとなるのは山形も同じ。オーバーラップからの正確無比のクロスボールはもちろん、左サイドバックの位置で起点となり、長短のパスで組み立てることができる石川竜也や、右MFで躍動感あるプレーを続けているキムビョンスクは山形のキーマンであり、彼らと神戸の両ウイングバックとの主導権争いがこの試合の流れを左右するのは間違いない。

　0-5で大敗した第5節の横浜FM戦以上にショッキングな敗戦を喫した直後の神戸ではあるが、磐田戦後には緊急ミーティングを行い、「悪かったことを整理することも大事だけど、中2日しかないからまず次を考えないといけない」（宮本）と切り替えた。良い時と悪い時の差が大きすぎることは課題だが、今節からの2試合は今季4試合で3勝と強さを誇っているホーム・ホムスタで戦うことができることはプラス材料で、対戦する山形も2006年のJ2時代に4戦して2勝2分けと相性の良い相手。大きなダメージを受けた横浜FM戦後、わずか1週間で見事な戦いを見せたのも同じホムスタでの試合だっただけに、今節も嫌なイメージを払拭し、再浮上のきっかけを得るゲームになることを期待したい。

以上