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【J2:第15節 栃木 vs 熊本】レポート:悪夢、再び!!連勝のチャンスを終了間際に逃した栃木。諦めない姿勢が実った熊本は執念で勝点1を獲得した。(09.05.18)

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5月17日(日) 2009 J2リーグ戦 第15節
栃木 1 - 1 熊本 (13:03/栃木グ/2,349人)
得点者:63' 河原和寿(栃木)、89' 原田拓(熊本)
スカパー!再放送 Ch183 5/19(火)07:30〜(解説:水沼貴史、実況:篠田和之、リポーター:萬代裕子)
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 負けていないのに負けたような不思議な感覚に襲われ、虚脱感を覚えるのは、ひとつひとつ晒された状況は異なるが、同じような失点シーンを何度も目にしているからだろう。JFL時代にホーム2戦2敗と木っ端微塵に打ち砕かれ、昨季の天皇杯3回戦での勝利で幾分かそのショックは和らぐも、土壇場での被弾により逃げ切りに失敗し、またしても栃木SCはロアッソ熊本から勝点3を奪えなかった。

 立ち上がりに問題を抱える栃木と熊本。狙い通りにサイドバックの裏を栃木は突き、熊本もサイドからクロスを上げるなど比較的スムーズに試合に入り込めた。
最初の好機は6分、栃木が作った。右から河原和寿が供給したクロスを若林学が頭で合わせる。シュートは枠を捕えきれなかったが、思惑通りの形からフィニッシュに至れた。栃木としてはそのまま押し切りたかったが、「ブロックを作っていたが、その間に侵入することができた」と北野誠監督が言うように、縦パスをスペースで受けられるようになった熊本が流れを掴んだ。藤田俊哉のボールタッチ数の増加もリズムを生み出した一因に挙がる。16分には背後を突いた宇留野純がボールを処理しきれなかったGK小針清允との駆け引きを制してシュート。先制機は井上雄幾の超絶クリアに阻まれるも、蹴る時は蹴る、繋ぐ時は繋ぐとメリハリの効いた攻撃で依然として優勢に試合を運んだ。
窮地を脱した栃木はFKから米山篤志が角度によってはネットを揺らしたようにも見えた、サイドネット強襲のシュートを放った以外は、守から攻の切り替えで熊本の素早い寄せに苦しむ。引っ掛けてからカウンターという効率的かつ効果的な攻撃を行えなかった。
 前半は精彩を欠いた栃木だったが、後半に形勢を逆転させる。43分に木島良輔が2枚目のイエローカードで退場し、数的優位になったことを活かした。CKのセカンドボールから稲葉久人がバイシクルシュートを、鴨志田誉がミドルを撃ち込んでゴールに迫り、ついに63分に均衡を破る。スローインを若林が競り、こぼれ球を落合正幸が右へと展開し、仕上げたのは河原。先制点で勢いを増した栃木は、追加点を取りに出る。稲葉が果敢に仕掛け、その稲葉に代わった石舘靖樹も持ち味のアグレッシブさを押し出し、止めを刺しにかかった。
 だが、熊本の粘り強い守備を突き破れず、藤田のスルーパスから市村篤司に決定的なシュートを浴びたあたりから及び腰になる。劣勢に陥り、迎えたロスタイム。石井俊也の右クロスをファーサイドに走り込んだ原田拓に押し込まれ、勝点3はたちまち勝点1に成り下がった。

 連敗を2で止める一撃を叩き込んだ原田は言う。「ベテランの選手が、『行くぞ、行くぞ』と言ってくれたことで最後にいい結果が出た」。藤田、石井、キャプテンの河端和哉と、核になる選手が執念を見せれば、その思いは周囲に波及し、刺激を受けないはずがない。諦めずに戦い切れたことは勝利を掴めなかったが、熊本にとって大きな実りだったはずだ。「諦めないということは特別なことではないし、スタンスを変えないで、どんな試合でも臨んで行きたい。こういう姿勢を続けることが大切だと思う」と藤田。チーム最年長、数多の修羅場を潜り抜けてきた37歳の言葉には重みがあった。

 終盤に堪え切れない悪夢、再び。栃木の今季初の連勝は持ち越しとなり、ホームで2戦続けてサポーターからブーイングを投げ掛けられた。前節リードを保ったまま試合を終えられたことで、自信が根付いたと思われたが、根は深部まで伸びきっていなかった。不細工ながら攻守に積極性を失わなかったことが勝利を導いたことを学び、そこからステップアップした試合運び、例えば一人多い利点を活用して相手を「揺さぶれれば」(松田浩監督)、落とし穴にはまることはなかったし、加点できていたに違いない。そのことを選手は理解しているはすだが、「分かっていてもできないのは余裕がなく、力がないから」と松田監督が力不足を認めたように、個々では成功体験を数多くしていても、チームとしての成功体験が一度だけというところに熟しきれない、若さが出てしまうのだろう。

 まだ、総合力は足りないかもしれない。ただ、第1クール序盤には話題にも上らなかったことを、中盤から終盤にかけて議論できるようになった。それを成長と捉えることはできないだろうか。時間を掛けてじっくりと得点力不足という問題を解くことができた。勝ち切れない現状の課題もいずれは克服できるはずだ。時間を要しても、必ず。

以上

2009.05.18 Reported by 大塚秀毅
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