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【J2日記】仙台:まじめに、ふざけてみよう(09.05.20)

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 日記のたぐいが本当に大嫌いだった小学生のころの習性そのままに、当【J2日記】に関しても「筆無精」風情を発揮しているともっぱらの評判である私。J’s GOALの中の方からも、ありがたいことにこのような「激励」をいただきました。

「J2日記ですが、佐々木さんのことですから心温まるお話をいろいろもっているかと思います。
 楽しみにしていますよ〜」

 この一文を受け、あるインスピレーションが沸いたことで、今回筆をとらせてもらおうかと…
 というのも、改めて思ったんですよ。自分、「心温まる何か」を感じたから、このクラブを好きになったり、今こうした立場に至ったわけではないのだなと。
 …以下、これはあくまで私論です。ひねくれたことが大好きな31歳の個人的な感想であり、このクラブに関わることでの効能・効用を保証するものではありません(あれ?)

 大学進学で仙台にやってきた僕の、ブランメル仙台(当時)との接点は1997年。仙台スタジアム落成の年です。
 ただ、その当時のB仙台は、旧JFLから真剣にJリーグ参入を狙っていたものの、その情熱がどうも空回りというか、選手獲得の方針(確か1997年は、GKが5人、FW登録が10人いたような…)や監督人事(東欧の名将を招聘しゾーンプレスを指向したものの、運動量を求められるシステムの中で、たどり着いたのが当時37歳になっていたリトバルスキーのリベロ起用…もちろんシーズン序盤で破綻)に明らかに無理があり、成績が伴うことはありませんでした。
 とはいえ、球技専用な上、全席を屋根が覆い、声を出せばこだまし、ドラムを叩けば響くという、これ以上サポーター冥利に尽きる場所はない構造だった仙台スタジアムがあったおかげで、じわりじわりながら、ゴール裏を中心としたサポーターの人数は増えていきます(ちなみに当時、僕が主にいたのは、ゴール裏の中心部からちょいとはずれたところ)。となると、成績は伴わないものの妙にテンションが高まってきたサポーターたちがどういう方向に走るかはもはや自明の理。
 そうです、お笑い路線です。
 いや、それはちょっと言い過ぎかもしれません。大きなくくりでいうと「自分たちでとにかく楽しもう」という空気、でしょうか。
「実際はそんなんじゃない」とおしかりを受けるかもしれませんが、少なくとも僕がホーム毎試合、1人ででも仙スタのゴール裏にいたのは、現代風にいえば「おバカ」なノリの側にいるのが楽しかったからなんです。
 当事者や首謀者ではない、ただ近くにいただけの傍観者である僕がこんなことを書くのはどうかと思いますが、本当に仙台のサポーターは「面白かった」。当時札幌にいたFWバルデス選手を、スキンヘッドなだけで北海道出身の大御所歌手である「松山千春!」とやじってみたものの、それはバルデスを野次ってるのか松山千春さんをやじってるのかわかんなくね?ってなってみたり、チームカラーよろしく、前身金色のタイツにアフロをかぶった方が普通にゴール裏で空を飛んだり、なんてのは序の口。それこそ今の規約じゃ間違いなくアウト!な横断幕を某北陸地方のクラブとの対戦で「掲げ逃げ」してみたり、出来心であるアウェイ戦で、相手サポーターになりきる仮装大賞を(それも相手クラブがだまされるほどの集団で)開催してみたり、少しばかり煙が発生したのが玉に傷ですが、ちょっとした親切心で、ゴール裏を清掃するために殺虫剤を使ってみたり…あぁ、この辺にしておきましょうか。
 ただ僕は、こういうマインドこそ、仙台サポーターの原動力だと思っていました。

 しかし皮肉なことに、チームが強くなり、ついに夢のJ1にたどり着いたことが、仙台のサポーターから「自分たちが楽しむ」という長所を奪う結果になった。僕は今もそう考えています。笑う余地などない、絶望の中の残留争いを続けていた2003年。仙台のノリに絶対に似合いっこない「悲壮感」に長い時間まみれたスタンド、そしてサポーターに対し、結果は振り向いてくれませんでした。さらにJ2降格後初期の頃も、何かかつてと違う…僕が愛し、そしてこのクラブを愛するきっかけを作ってくれたあのノリは、もう過去のものなのか。

 だがここ数年、風向きは変わり始めた気がします。自分たちの楽しさこそ、応援の源。それを思い出したかのような出来事が続き始めたのです。対戦したクラブの選手(柏時代の岡山一成選手とか)、そしてサポーターの度肝を抜いた、スタンド全体でのロペスダンス。その岡山選手、やシュナイダー潤之介選手(現・ガイナーレ鳥取)の加入で始まり、それを見たいがために勝利を願うサポーターがいたといっても過言ではない、スタンドと選手が一体となった「ユアスタ劇場」などなど…
 そして話は、ようやく今季へ。
 このつながりで思うんですよ。最近一部で局地的話題の「おっぱいサッカー」のような「内輪ウケ横断幕」。これもまた「自分たちが楽しくないと」という流れの亜流なのかなって。
 皆さんはJ’s GOALの試合前写真を見て「また仙台が変なことして…」くらいに思っているかもしれません。いやたぶん、ある意味それが正解です(笑)。ただ昔のノリが懐かしい僕の目には、数々の横断幕の向こうに、あの楽しかったゴール裏が浮かんでくるんです。
 …仙台が自分たちの中の「笑い」を完全に取り戻したら、それはチームにとっても吉兆ですよ、間違いなく。他サポの方、お気をつけあそばせ。

以上

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