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【J2:第17節 仙台 vs 横浜FC】レポート:後半の入り方を改善した仙台が、横浜FCをじれずにいなした後の2得点で勝利。3試合ぶりの勝利で最初のクールを締めた。(09.05.24)

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5月23日(土) 2009 J2リーグ戦 第17節
仙台 2 - 1 横浜FC (13:04/福島/8,718人)
得点者:58' 梁勇基(仙台)、77' 中原貴之(仙台)、89' オウンゴ−ル(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch182 5/25(月)23:00〜(解説:菅野将晃、実況:守屋周、リポーター:村林いづみ)
勝敗予想ゲーム
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7連勝から一転、ここ2試合勝ち無しの状況下で、第1クール最終戦を迎えた仙台。迎える相手は最下位の横浜FCとあって、悪い流れをここで止めておきたいという思いは強かっただろう。

だが、言ってしまえばもっと悪い流れとなっている横浜FCにも、当然のことながら上位の仙台を叩くことで浮上のきっかけをつかみたいという思いがある。それもあってか、まずわかりやすく「見た目」から変えてきたのは、横浜FCの方だった。

ここまでの試合で使用していた4−4−2から、今節は4−2−3−1へと布陣を変更。キャンプ時に何度か試していた(J'sGOAL横浜FC担当、松尾真一郎氏)という布陣には、カウンターの起点として中央で根占真伍を余らせたいという樋口靖洋監督の狙いがあったのだが、仙台のCBエリゼウ(奇しくも今節は、昨年までの古巣との対決になった)に、相手のボール保持者に食いつきすぎる余りに最終ラインのバランスを崩してしまうという傾向があることを考えても、1トップという策はあながち的外れではないと思われた。そして実際に、横浜FCは前半から前線付近で上手くボールをつなぐことには成功する。

ただ、こうしてそれなりに流れをつかんだことが、むしろ横浜FCの現状の問題点を浮き彫りにした。ボールは繋がるが、崩せない。アタッキングサードで攻めのアイデアが少ない上に、一人で状況を打開できる個の力もまだ足りないことから、結局横浜FCの前半シュート数は0。さらにテンポ良くパスを繋げ続けている内は良いのだが、やはりそこにはミスがついて回り、まずい形でボールを失って仙台の速攻を呼び込んでしまうこともあった。

とはいえ仙台にも、前半から課題は見えた。素早く攻めに出るのはいいが、高いDFラインを奮闘しつつも維持した横浜FCのDFラインに対し、マルセロソアレスが幾度もオフサイドに引っかかり(試合通算で仙台は9度、オフサイドをとられた)、また押し込んでは見たものの横浜FC同様に決定的な崩しは出せず。

そうこうしている内に、仙台にとって、ここ数節は試練の時間となっている後半がやってくる。試合が一度リセットされたこの時間から、気持ちを切り替えて前へ出てきた相手に仙台は苦しんでいるだけに、今節はどうか。実際に横浜FCもサイドをシンプルに攻め決定機を作り始めてきただけに、試される舞台である。

しかし今節の仙台は、この点において見事な改善を見せた。怖がることなくDFラインの高さを維持し、多少攻め込まれようとも慌てることなく受け止めた。こうして布陣における土台ができたことで、攻撃もまた、後半に息を吹き返すこととなった。

横浜FCが前半終了間際の負傷が元で、戸川健太を下げざるを得なくなったことも、仙台にとっては幸運だった。代わりに中盤を務めていた鄭容臺が最終ラインに入ったのだが、やはり急造。コントロールが欠けたDFラインはずるずると下がり、逆にコンパクトな布陣から左SBの朴柱成を中心に攻勢に転じ始めた仙台の攻撃にさらされていく。中盤もそのスペースを埋めることができず、いつしか守備の隙間に大きな穴が。

そこを仙台の誇るべきキャプテンが一突きで仕留めたのが58分だった。攻めが始まったのは自陣ゴール前だったのだが、スペースがとにかく空いていたので仙台は一気にスピードに乗ることができ、ゴール前でボールを拾った斉藤大介から関口訓充を経由した後、ハーフウェーラインを少し超えた位置の梁勇基にボールが渡った時点で、横浜FCは彼のドリブルを止める術も人も失っていた。相手のDFラインと中盤の間に空いたスペースに持ち込み、ゴール左方向へドリブルの舵を切った梁は、ペナルティーエリアに入ったところで右足にボールを持ち変えると、GKの位置を冷静に判断してゴール右方向に美しいループシュートを注ぎ込んだ。少し大味だった試合展開からのこれぞプロと言うべき美技に、8,718人が詰めかけた福島県営あづま陸上競技場がどっと湧く。

さらに先制弾を決めた梁の素早い判断が、仙台に2点目をもたらした。77分、中盤でボールを受けた梁は、ダイレクトで横浜FCの最終ライン裏へ高いボールを流し込む。おりからの強風も影響したのかもしれないが、GK大久保択生がペナルティーエリア外に飛び出してきたにもかかわらず、前に上げていたDFラインから自陣方向に戻りながらの処理を任せられた早川知伸は不用意なバックパス。無情にもGKの脇を抜け、がら空きのゴールマウスに向かっていったボールに最初に追いついたのは、途中投入からボールとシュートへの執着心をむき出しにしていた中原貴之だった。後でロスタイムにカウンターから西田剛にスルーパスを通され1点を返されたことで(公式記録はエリゼウのオウンゴール)、結果的には決勝点という扱いになったが、(この時点では)ミスを突いたこのダメ押しが決まったところで、ほぼ試合は決まったと言って良い。

ひとまずの課題はクリアした仙台。ミスと、フィニッシュに至る過程の工夫という二つの課題をクリアできなかった横浜FC。今節の勝敗は、互いの課題に対する回答が表れたものだと言える。

以上
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