5月30日(土)J2 第18節 水戸 vs 仙台(16:00KICK OFF/水戸)
スカパー!生中継 Ch181 15:50〜(解説:菅野将晃、実況:関根信宏、リポーター:佐藤愛美)
☆勝敗予想ゲーム
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試合2日前の練習後、クールダウンをする選手たちの脇で木山隆之監督は一歩も動かず、目をつむりながら思案に耽っていた。この一戦に向け、様々なイメージを思い巡らせていたのだろう。「仙台が攻撃的に出てきてくれたら、こんなに考えることはないんだけどね…」。練習場から引き上げてきた木山監督は悩み疲れた表情でこう語った。
昨季3回の対戦で18ものゴールが生まれたこのカード。「仙台戦は年に3回のお楽しみ」と木山監督が言っていたように、攻撃的なサッカーを志向するチーム同士の対戦ということで、互いのアイデンティティをぶつけ合うことができる数少ない場として木山監督は悦びを感じていた。しかし、今季の仙台は変わってしまった。全体のバランスを崩さないことを徹底し、守備の強化に努め、現在リーグで2番目に少ない12失点と守備の強さがチームを支えるチームへと変貌した。「あまり前に出てこなくなってしまった」(木山監督)仙台に対し、いかに戦うかという難題をつきつけられて挑む一戦。「攻撃的に出たら、仙台にやられる。でも、ホームで守備的に戦いたくない。ウチはいつも通り前に出て行く」と木山監督は決意を固めて、この一戦に臨むこととなる。「がっちり守ってくる」(木山監督)仙台の守備を崩すことしか、水戸の勝機はないのだ。
ただ、水戸の現状は苦しい。度重なるけが人に加え、今節は遠藤敬佑も出場停止。攻撃における駒不足は明らかだ。今週の練習では様々なシステムを試すなど、木山監督は頭を悩ませていた。だが、その中で手ごたえをつかんだのは3バックであった。「菊岡(拓朗)や遠藤がいないので、真ん中からは崩せない。なので、サイドから攻め込みたい」と木山監督は語る。両ウイングバックが高い位置にポジションを取り、サイドで先手を取ることで仙台ゴールに襲いかかろうという狙いだ。「ラインを下げて守る仙台に対していかにサイドから押し込むことができるか」(木山監督)。サイドを崩して直近5試合で5得点と絶好調の高崎寛之にクロスを数多く上げることで仙台のゴールをこじ開けに行く。3バックというとどうしても相手の長所を消すための守備的な采配と見られがちだが、木山監督はあくまで「攻撃的に戦うためのシステム」であることを強調。水戸は昨年と同様打ち勝つことしか考えていない。
「当然、リスクはある」と木山監督は語る。仙台は守備が強くなったとはいえ、守備的なチームではなく、また、攻撃力が低下したわけではない。木山監督が「彼に自由にやらせたら勝ち目はない」と語る梁勇基は好調をキープ。前節もファンタスティックなループシュートを決めており、彼の得点力が仙台の最大の武器であることは今年も変わらない。また、爆発的なスピードを誇るマルセロ・ソアレスがチームにフィットしてきたことも大きい。彼のスピードを生かしたカウンターは切れ味抜群。前線に「個」が揃っていることでチームとしてバランスを崩さずに試合を進めることができており、それが守備の強さにもつながっているのだ。「守ってから速く前に出てくる」(木山監督)仙台に対し、水戸はただ攻撃に出るだけでは悲惨な目に遭うことは間違いない。
それだけに守備の連携が問われる試合でもある。不慣れなシステムということで、いつも以上に入念なコーチングが求められる。また、人材不足は攻撃陣だけでなく、守備陣も同じ。今節はF東京から期限付き加入してきた下田光平の先発起用の可能性もあり、まさにスクランブル状態での試合となる。その状況でも攻撃的に戦うからこそ、1人1人が強い危機感を持って試合に臨まなければならないのだ。吉原宏太はこう語った。「どんなシステムでもできるのが強いチームだし、どんなシステムでも守備でファイトすることが大前提。それができなければ、仙台には勝てない」。前節栃木戦は勝利をおさめたものの、後半は守備意識が薄くなり、栃木にいいようにボールを回され、2点を奪われた。同じ過ちは許されない。1対1や球際などの局面での勝つことが、この試合で勝つことの絶対条件だ。
この試合で水戸が勝てば、3位仙台と勝点4差、負ければ10差となる。水戸にとって「これから(昇格争いに向け)高いモチベーションを持って戦えるかどうかの大きなゲーム」(木山監督)である。だからこそ、「引き分けではなく、勝ちを狙いに行く」と木山監督は強い口調で言い切った。そのためのシステム変更、そのための攻撃的サッカーである。もしかしたら、大敗するかもしれない。だが、そんなことに後ろ髪を引かれていては水戸らしいサッカーができるわけがない。水戸は今節も、攻め抜くことで勝点3を狙いに行くだけである。
以上
2009.05.29 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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