6月6日(土)アジア最終予選 ウズベキスタン vs 日本(23:00KICK OFF/パフタ)
試合速報 | ファーストゴーラー | 6.10@横浜国 カタール戦チケット発売中
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衛星中継による荒い映像に釘付けになっていたのは、もう12年も前になる。
ビクトル・ズバレフという名のカザフスタンのストライカーが日本代表に絶望をもたらした瞬間も、更迭という手続きが実行されたあの夜も、コーチから内部昇格した岡田武史監督が初采配を振るったウズベキスタンでの試合も、ついこの前の出来事のように思える。フランスに向け、熱を帯びていたあの戦いの日々の中、楽観が不安へと転落する過程がそれだけ強烈だったという事なのだろう。
と、年寄りの郷愁はこれくらいにしよう。経験は記憶へと置き換わり、いつしか歴史へと昇華する。心細さの中にいた12年前のタシケントでの試合とは、状況があまりに違いすぎる。日本代表はこの試合に勝利すれば、2010FIFAワールドカップ南アフリカ本大会への出場権を手にできる、というところにまで辿り着いている。
日本が所属するグループAについて簡単におさらいしておこう。勝点13で首位に立つオーストラリアに続き、勝点11で2位につける日本が残すのは3試合。現在3位につける勝点7のバーレーンはすでに6試合を消化しており、残すのは2試合。つまり日本はこの試合でウズベキスタンに勝利すれば勝点を14にまで伸ばす事となり、今節試合のないバーレーンに対して勝点7差をつける事となる。バーレーンは2連勝しても勝点を13までにしか伸ばせず、日本の2位以内が確定。すなわちW杯本大会への出場権を獲得する事となる。
一方のウズベキスタンは2試合を残して勝点4。すでに2位以内の可能性は潰えており、W杯出場のためにはプレーオフ進出のための3位を目指すしかない。そのためにもこの日本戦で勝点を加えておきたい。その上で、最終節のバーレーンとの直接対決に臨み、3位以内に滑り込みたいところだ。
これ以上負けられない状況のウズベキスタンに対し、日本代表は残り3試合で1勝すればいいという状況にある。さらにいうと、この試合はアウェイであるという点で、負けた場合の言い訳が容易だという特殊な環境になっている。だからこそ、岡田監督はベルギー戦のハーフタイムに檄を飛ばし、ウズベキスタン戦の重要性を改めて意識付けようとしたのである。そんな指揮官の心情を察したのか中村俊輔(セルティック)もベルギー戦を終えたミックスゾーンで、ウズベキスタン戦について気を引締めたいという趣旨の発言を残している。
限りなくW杯出場に近づいている日本の有利な立場に油断することなく、出場権を手にするまでは何も決まっていないという気持ちで試合に臨むよう、注意する姿に頼もしさを感じているところだ。
そんな日本代表は、ウズベキスタンでの4日までの3回の練習の中で、テーマに沿った練習を続けてきている。3日には、4色のビブスを着用し、狭いグリッドの中に8選手がひしめく状況を作り、ダイレクトパスかつ、同色のビブスへのパスを禁止するという練習が行われていた。これはウズベキスタンがゴール前に作る4枚と4枚のブロックの中でのパスワークや、プレスをかけて奪った直後の、相手と日本選手が密集した状況にも対応できるものになっている。
また4日には3人一組の、縦への早いパスワークからのシュート練習が行われていた。ゴール前30mほどの場所を起点とし、縦にクサビを入れてからの連動性の高いパスワークから、すばやくシュートにまで持ち込むというものである。この練習を見ていると、高い位置でボールを奪った後のショートカウンターの精度を高めるためのものなのだろうと考えている。
守備に関しては、ウズベキスタン対策というよりは、継続して続けてきたという6対6でのクロス対応の練習が目に付いた。サイドからのクロスが入る際マークがずれていく事をケアするためのもので、日本では非公開練習時に行われていたものだという。
そのようにして練習の中でプレーの精度を高めていく一方、コミュニケーションによる確認も進んでいる。たとえば3日の中村俊輔の話によると、ウズベキスタンに到着後の2日に、中村俊と遠藤保仁(G大阪)、中村憲剛(川崎F)の3選手による話し合いが持たれ「相手がボランチ〈遠藤、長谷部誠(VfLヴォルフスブルク)〉のところに来たときに、ケンゴが消えないようにしたり」(中村俊)、「3人のポジションのところ(の話)。ヤットさんの所に8番(セルベル・ジェパロフだと思われる)が来る。そこに入ったときにどれだけサポートできるのか」(中村憲)という状況について確認しあったのだという。
昨年の10月の対戦時には、ウズベキスタンの前線からのプレッシャーを受けた日本代表は押し込まれており、混乱する時間帯も見られていた。そんな前回の成功経験がある以上、今回もウズベキスタンは前からプレッシャーをかけてくる場面もあるだろう。そこで狙われるのが中盤の底からチームを操る遠藤である。遠藤がプレッシャーを受け、横パスやバックパスを選択した場合、日本の攻撃は遅れてしまう。ウズベキスタンにしてみれば、ボールを奪えないまでも、攻撃を遅らせればまずは目的を達成した事になる。そうした場面が増えないよう、ボールを受ける立場の中村憲や中村俊がうまくポジションを変え、彼ら自身が試合から消えてしまわないような位置取りについて話し合いが行われたわけである。相手の守備をかいくぐり、前へとボールを運ぶための方策についてのイメージを共有しているはずで、遠藤から2人の中村へのパスがどの程度見られるのかについては注目したい。
ウズベキスタンは1日にタシケントでボスニア・ヘルツェゴビナ代表を相手に親善試合を行っている。この試合をチェックした岡田監督は「後半に2トップにしてからの方が良かった。もしかしたら2トップにするのかも」と発言。ウズベキスタンが1トップでくるのか、2トップでくるのか気になるところだが、もし仮に2トップになった場合「ますますうちのボランチに(プレスをかけようと前に)出てくる。そこでかわせれば、いいボールが出てくる。そのためにもポジション取りが大事になる」と中村憲は話していた。チリ代表のプレスをかいくぐり、ボールを保持し続けたあのイメージをピッチ上で表現してもらいたいところである。
5月下旬に発表されたウズベキスタン代表からは、昨年10月に埼玉で行われたウズベキスタン戦で先制点を決めたマクシム・シャツキフが代表招集を見送られている。そういう点では、日本にとっては追い風が吹いているともいえるが今年3月にタシケントで行われたカタール戦でハットトリックを達成したファルホド・タジエフや、再三日本選手からその名前が聞かれるジェパロフといった警戒すべき選手がいる。手負いの状態のウズベキスタンは、この試合をW杯出場に向けた最後のチャンスとばかりに厳しく前に出てくるだろう。ホームのサポーターの声援を受けたウズベキスタン代表の圧力の中、自分たちが作り上げてきたサッカーをどれだけ貫けるのかがポイントとなる。前日会見で岡田監督は「私たちはまだ何も手にしていない」とお決まりのコメントを繰り返した。自分たちのサッカーを貫ければ、自然に勝利できるはずだとも口にしていた。勝てば自動的にW杯の出場権を手にできる。90分の激闘の結末がハッピーエンドになる事を期待したいと思う。
以上
2009.06.05 Reported by 江藤高志
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