6月7日（日）ヤマザキナビスコカップ 広島 vs 新潟（13:00KICK OFF/広島）
★ヤマザキナビスコカップ特集｜チケット情報
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　まず、広島が決勝トーナメント進出を決めるための条件を確認しておこう。
　広島は今節で予選リーグ突破を決めることはできない。しかし、1位浦和とは勝点3ポイント、2位横浜FMとは1ポイント差で、しかも消化試合数が両チームよりも1試合少ないことを考えると、広島には大きなチャンスが残されると言っていい。

（１）広島が新潟・磐田に連勝した場合＝勝点13で無条件に決勝トーナメント進出
　残り1試合となった浦和の最大勝点は13で横浜FMは11。広島同様に2試合を残して決勝トーナメント進出の可能性を残す大宮も13ポイントまで勝点を伸ばすことが可能だが、大宮は浦和との直接対決を残しているため、大宮が連勝した場合は浦和の勝点は10のまま。また、大分も最大勝点は10までしか伸ばすことができない。
（２）広島が1勝1分の場合＝勝点11。大宮vs横浜FM（6/7）の結果次第
　鍵を握るのは上位2チームとの直接対決を残す大宮の状況だ。
　大宮が連勝すれば、浦和・横浜FMの勝点を広島が上回り、2位で決勝トーナメント進出。
　大宮が横浜FMに勝ち、浦和と引き分けた場合、勝点11で広島・大宮・浦和との得失点差の争いとなる。ただこの場合は、浦和の得失点差+3を広島の得失点差が上回るのは確実で、広島の2位以内が決定。
　大宮が横浜FMに敗れた場合は、広島・横浜FM・浦和の争いとなる。
　この時、浦和が大宮と引き分け以下なら、広島・横浜FMの勝ち抜けが決定。
　浦和が大宮に勝つと浦和の1位が決まり、広島と横浜FMが勝点11で並んで、得失点差の争いとなる。現在の得失点差は、広島が+6で横浜ＦＭが+4。このケースの場合、広島は+7以上になることは確実であるから、横浜FMが大宮に3-0以上のスコアで勝利しない限り、広島の決勝トーナメント進出が決定。
（３）広島が1勝1敗の場合＝勝点10。他チームの結果次第で突破可能。
　つまり、広島は勝点4以上を取れば、決勝トーナメント進出に大きく近づくことになる。自力で決勝トーナメント進出を決めることもできるわけで、千載一遇のチャンスが巡ってきていると言えよう。

　そういう状況が生まれたのも、前節（ /jsgoal_archive/game/2009/20090020010320090603.html ）の貴重な「勝点1」があればこそ、だ。
　若手中心のメンバーで臨んだアウェイでの対大分戦。先制点を奪われながらも橋内優也のプロ初得点で追いつき、平繁龍一が自ら奪ったＰＫを決めて逆転。ウェズレイのスーパーフリーキックで追いつかれたものの、大分の圧力を全員の力で弾き返し、決定機を何度もつくって引き分けに持ち込んだのである。
　足の治療に専念するため大分戦を休養した佐藤寿人は「本当に大きな1ポイント」と若手の踏ん張りを賞賛。また、大分戦のヒーロー・橋内に対して「10回ミスしてもいいから、10回チャレンジしろ」と試合前に激励していた森脇良太も「この1ポイントを活かすためにも最高の状態で闘い、（日本代表で頑張っている）槙野智章にいい報告をしたい」と決意を口にした。

　しかし、「2試合で勝点4を奪うことは、決して簡単ではない」
ペトロヴィッチ監督はそう語って、緊迫感を露わにする。
「次の新潟戦も難しい闘いになる。例えばマルシオ・リシャルデスの出場停止だ。確かに彼はいい選手だが、一方で守備への貢献が薄いという一面もある。彼が出ないことで新潟の守りがさらに強靭になれば、新潟のスピーディーなカウンターはますます鋭くなる」
　新潟は、マルシオ・リシャルデスのほかにも日本代表ＦＷ矢野貴章が不在。さらに決勝トーナメント進出の可能性がなくなったこともあり、大幅に選手を入れ替えてくる可能性が高い。
　しかし、だからといって広島がやりやすくなるはずもない。その現実は、前節の広島自身が証明している。試合から遠ざかっている選手たちの試合への飢餓感は、そのまま高いモチベーションと化し、強烈な闘志となって襲いかかるパワーとなるだろう。
　
だが、佐藤寿人の決意は揺るがない。
「相手がどんなチーム構成で来ようとも、自分たちが勝たないといけない状況は変わらない。広島のサッカーを表現して3ポイントを奪うだけ。それが大分戦で貴重な１ポイントを奪ってくれた選手たちの頑張りを活かすことになる」
　ストヤノフ・槙野智章を代表で欠き、森崎和幸・森崎浩司もまだ復帰できない。主力を何人も欠く厳しい状態の中でも、広島は全員の頑張りでこの位置を確保してきた。明日、広島はしっかりと身体をメンテナンスした選手たちが登場する。2年ぶりの決勝トーナメント進出に向け、大分で奮闘してきた若手からバトンを受け継ぎ、熱い激しいプレーを見せてくれるはずだ。

以上


2009.06.06 Reported by 中野和也