岡山が「Jリーグクラブがある街」になって半年。ホームゲームの日に桃太郎スタジアム周辺の盛り上がりを耳にして、サッカーにさほど興味がなかった人も「ちょっと行ってみたい(盛り上がりに参加したい)」と思っているようだ。
スタジアム自体も、休日に家族で訪れるにはぴったりの、緑多い場所(約34万6000平方メートルの土地に、全国規模の大会が開かれる武道館やアリーナ、野球場、テニスコートのほか、文化財や遊歩道が整備された市民憩いの場)にあり、JR岡山駅からも歩ける距離にある。そのため「遊びがてら、一度はおいでよ」と友人を誘いやすくもあるのだ。
先日のセレッソ戦を家族4人で初観戦した友人は、「地元にプロチームがあるって、こういうことなんだ!」と試合後、興奮のメールをくれた。(この友人のご主人はサッカーに興味のないアメリカ人で、スコアレスの状況に飽きて、セレッソが得点した瞬間、拳を振り上げて盛り上がったため、あやうく喧嘩になるところだったらしい)。
さて、来たる6月21日(日)には、第22節 岡山vs岐阜に合わせて、「ファジアーノ!歩け歩けウォーキング」(主催:Jリーグ、岡山市、(株)ファジアーノ岡山スポーツクラブ)が開催される。岡山市在住の60歳以上の方とその家族を対象に、JR岡山駅から桃太郎スタジアムまでの約3キロを運動指導員の指導のもと、ウォーキングを行うというもの。目的は、介護予防・健康増進! この3キロの道のりを私も試合当日歩くが、ほぼ一直線の幹線道路で、周辺の店舗や施設にファジアーノ岡山を応援する幟が立っており、スタジアムが近づくほどに、期待が高まって足早になる(ここを「ファジアーノ通り」と名付けたい、という声もよく聞く)。こういったイベントが、60歳以上の方が生でゲームを楽しむきっかけになるといいと思う。
私が今まで試合当日に話を聞いた最高齢の方は、第15節 岡山vs愛媛の際、愛媛からバスで2時間半かけて応援に来られた83歳の女性。「特に応援されている選手はいますか?」と尋ねると、「全員!」と元気よく答えてくださった。
また、こんなこともあった。第18節の岡山vs湘南は、岡山県北部の津山市でのホームゲームだったのだが、いつもの桃太郎スタジアムより、記者席と観客席が近く、目の前のご夫婦の様子や会話が自然と入ってきた。ヘレン・カミンスキーの帽子をかぶった奥様と、落ち着いた雰囲気のご主人は、たぶん60歳代後半。選手の目立たない貢献プレーも見逃さず、惜しいシーンに「あぁ」と呟き、いい場面に拍手を送る。こんなふうに静かだが熱のこもった応援も、熱心なサポーターと同じくらい選手を勇気づけるだろう。
先の愛媛サポーターの女性も、湘南戦のご夫婦も、きっと選手を孫や息子のように感じているにちがいない。私を含め、自分の年齢が上がってくると、その傾向は強く、どんなに得点できなくても、〈家族だから〉と本能で応援し続ける。数年後、「岡山は中高年のファンが際立ってるんですよ」と言われるように、がんばろう!私たち!
全国の岡山ファンの皆様へ。そうです、「得点できない」岡山ですが、選手たちは皆元気に練習しています。雨がザァザァ降っていても空が明るくなって、「あ、もうすぐ雨止むな」ってわかる時、あるでしょう? そんな空の明るさめいたものが、練習場に行くと見つけられます。厳しい陽射しの下での練習で、選手の顔はどんどん小さく、引き締まっていますよ。
以上
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2009.06.11 Reported by 尾原千明













