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【ワールドカップアジア最終予選 日本 vs カタール】レポート:悪いなら悪いなりにも勝ちきる強さが欲しい日本代表。カタールを攻め崩せず、ホーム最終戦を白星で飾れなかった。(09.06.11)

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6月10日(水) ワールドカップアジア最終予選
日本 1 - 1 カタール (19:35/横浜/60,256人)
得点者:2' オウンゴール(日本)、53' アリ・アフィフ(カタール)
★次回の試合予定
2010FIFAワールドカップ2009アジア最終予選
6月17日(水)19:20キックオフ(日本時間・予定)/メルボルン・MCGスタジアム
オーストラリア vs 日本
テレビ放送:テレビ朝日系列にて全国生中継、NHK-BSにて全国生中継
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同じような場面は本大会でもあるだろうと、思いながら見ていた。グループリーグのどこかのタイミングで、どうしても点がほしい時間帯は出てくる。勝ち越すためか、それとも同点に追いつくためか。とにかく1点を取らなければならない、という試合展開は必ずある。ホームにカタールを迎えたこの試合。リズムを作れていなかった日本代表が、どうやって点を取るのか。興味深く見ていた。しかし、結果は残念なものだった。

盛大な声援に迎えられ、W杯出場権獲得を報告するマイクの前に立った岡田武史監督は敗将のごとく「選手を生かしてやれませんでした」と深々と頭を下げた。選手たちに直接指示を出すことができなかったり、ボランチを含めた数名の選手が出場できないという事情はあったが、それでも1年ほどをかけて浸透させてきたコンセプトがチームの各選手にどれほどのレベルで染み付いているのかを見るにはいい機会であり、岡田監督も手ごたえを持っていたはず。だからこその謝罪だったのだろう。

原因はいくつかある。中村俊輔は「前半に早く点が入ったからどうのこうのというのはない」と前半開始早々の得点はメンタル面で影響を与えてはいないと口にしている。ただそれは「そうすべき事」であって、この試合に関してはそうではなかったように感じられた。絶対に勝たなければならなかったカタール代表選手が、派手に悔しがる姿もあって、「この試合は勝てる」という空気がスタジアムに蔓延したという事もあるだろう。いずれにしても、前半開始早々に気持ちが緩んでしまったのは事実だろうと思っている。

特定の選手を引き合いに出すことに深い意味はないという前置きをしつつ、岡崎慎司のプレーで説明したいと思う。ウズベキスタン戦ですばらしいトラップを連発していた岡崎は、この試合に関しては別人のごときプレーに終始してしまった。点を取らなければならないという焦りなのか、勝てる試合であるという心の余裕が集中を奪ったのか。いずれにしても、一級品に思えたトラップは影を潜めた。岡崎を引き合いに出したが、岡崎一人に限った事ではなくチーム全体がウズベキスタン戦とは別モノだった。

1点を先制されたカタールは2点目を奪われないように慎重な守備を見せつつ、時折その牙をむいてきた。たとえば前半10分の場面。右サイドの裏のスペースに飛び込んだマジド・モハメド・ハサンからのクロスに、ファーサイドのマジディ・シディクが頭で合わせた。23分には日本の攻撃をカットしてカウンターに持ち込む。最終的にゴール前で手数をかけてくれたおかげで失点にはならなかったが、日本代表が人数をかけた攻撃をシュートで終われていなかっただっただけに危ない場面だった。さらに41分には日本のミスからターンオーバーして速攻。日本の2人のディフェンダーに対し、カタールが4人で攻め込む場面があったがこれもシュートミスで事なきを得ていた。

このピンチの直後の闘莉王のゴールが取り消されるなど、日本代表は波に乗れないまま前半を終える事となった。ウズベキスタンから帰国直後という事が影響を及ぼしたのか、全般的に動きの量と質とが悪く、日本代表は試合のリズムを作れない。そんな試合は、後半開始直後の中澤佑二のプレーがスーブキディン・モハマド・サリー主審によってPKと判定され、カタールが同点に追いつく事で緊迫感を増していく。

残念な失点ではあるが、W杯出場のために3位に滑り込む必要のあるカタールは虎視眈々ともう1点を狙いに来る。どうしても勝ちたい相手との緊張感のある試合は、親善試合ではなかなか経験できないものである。だからこそ勝ちきってほしかった。試合後に「試合をコントロールする意識を持つ必要もあるのでは?」と問われた岡田監督は「ワールドカップで引き分けなら守り固めてもいいかもしれない。でも今はチャレンジするときなので、選手にはとにかく怖がらずに行け」と伝えていたと明らかにしている。この試合が本大会に向けた強化という性質を持っている事を考えれば、その指示は正しい。だからこそ、勝ち越し点を見せてもらいたかった。

「みんな絶対できるはずだし、油断もしてない」と中村俊輔は話すが、とにかく日本代表は動けなかった。「チーム全体として、やっぱりそういう動けなかったら動けないなりに…。動けないわけないんだけどね…」と悔しさをにじませつつ「修正は難しかった」と中村俊。動けないなりにやろうと松井大輔にしても本田圭佑にしても、個人技で局面を打開しようとしていたが、少なくともこの試合に関しては不発に終わった。

「非常に悔しい思いでいっぱい。こういう試合をどう今後に生かすかが一番大切だと思っています」と述べた岡田監督の言葉に期待してみようと思う。

以上

2009.06.11 Reported by 江藤高志
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