スカパー！生中継 Ch184 14:50〜（解説：都並敏史、実況：中村義昭、リポーター：高木聖佳）
☆勝敗予想ゲーム
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水戸の尻尾は見えている。リーグ序盤は不覚にも水戸に差をつけられたが、現在の勝点差はわずかに２点。第２クールにおける水戸の失速と草津の上昇によって、両チームの差は急速に縮まった。草津は今節、水戸の尻尾をつかんで太平洋へと放り投げるために敵地へ乗り込む。機は熟した。草津は水戸を踏み台にして、上位進出へのステップにする。北関東ダービー第２ラウンド敵地水戸戦は、草津のためのゲームだ。
前節のホーム愛媛戦をドローで終えて最近５試合を３勝２分とした草津は17、18日、クラブ発祥地である草津温泉でミニキャンプを張った。02年に誕生した草津は、Ｊ２へと昇格する04年まで温泉街で働きながらサッカーに取り組んだ。Ｊ２・５年目となった今、草津の生活を知る選手は、寺田武史、山崎渡ら数人となり大半は温泉街時代を経験していないが今キャンプで原点を知ることになった。02年から在籍する寺田は「草津温泉時代は仕事とサッカーの両立が大変だったので、（サッカーに集中できる）今の環境のありがたみをあらためて感じた」と話す。敵地３連勝中の草津は原点回帰で、アウェイ４連勝を狙う。
水戸戦に向けて士気が上がるのは、今季浦和から期限付き移籍した小池純輝だ。左サイドからのドリブルでシュートまで持ち込める選手で、相手の守備網を個人技で打ち崩す力を持つ。前節愛媛戦では同点ミドルを叩き込み今季４点目を記録、キャンプ中の練習試合でも２ゴールを挙げた。「キャンプでは３カ所の温泉を巡ってリフレッシュできた。どのポジションで出てもゴールに絡むプレーをしたい」（小池）。温度45度以上にも達する草津の湯につかったことで『赤い血』は沸騰した。小池は自らの未来を切り開くために今節も右足を振り抜く。
現在10位の草津が総得点32総失点32なのに対して８位水戸は総得点30総失点36。得失点ともに30点を超えるのは草津と水戸だけで、双方とも高い得点力を誇る一方で失点も多い。草津は第１クール終了時までリーグ最多失点だったが、現在はワースト失点という『貧乏神』を水戸へ譲った。
草津は攻守のバランスを整えたことで、一時期のどろ沼から脱出することに成功した。「チームの守備意識が高まり失点が減った。今年は攻撃陣が点を取っているので、守備が耐えられれば勝利につながる」（ＧＫ北一真）。今節、出場停止の佐田聡太郎に代わって右ＳＢに入る崔成勇は「まずは全体のバランスを崩さないようにしたい。水戸は頑張る選手が多いので球際で負けないことが大切だ」と気合を込める。草津は、自慢のパスワークを駆使して、水戸の体力を奪い、勝負所でＫＯパンチを見舞う。
今季、両チームの指揮官は異なるサッカーを追求する。草津・佐野監督が「我々のスタンスはしっかりとボールをキープして、ショートパスをつないでいく」と話すのに対して、水戸・木山監督は「ポゼッションという言葉自体が現代サッカーでは死語だ。ゴールへ向かってボールを運ぶことが『ポゼッション』だと思う」と語るように、両者が描く『ポゼッション』には大きなギャップがある。これは哲学の違いであって、答えはない。重要なことは、監督の求めるサッカーを選手が理解し体現できるかどうかがだろう。今ゲームは、両チームが展開する『ポゼッション』も見どころとなる。
第１クールの水戸戦では、ＦＷ都倉賢の執念によって２対２のドローへと持ち込んだ。水戸から、むしり取った都倉の同点弾は、クラブ史に残るゴールシーンとなった。試合後、都倉は「闘争心が生んだゴールだ」と吠えた。今季、栃木が加わったことで３チームへと拡大した北関東ダービーだが、草津は１分１敗で、３チーム中最下位となっている。５月20日のホーム栃木戦で敗れた後、草津のスタンドには涙が流れた。涙の償いは、今節の勝利しかない。ダービーが51試合中の１試合なのは間違いないが、サポーターにとっては地域の誇りを懸けた特別な戦いとなる。このカードは、サポーターのために闘う決意のある選手だけがピッチに立つ権利を持つ。
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第4回取材予定：
・6月20日(土) 徳島（取材）vs横浜FC
・6月21日(日) 湘南（取材）vs札幌
2009.06.20 Reported by 伊藤寿学
