6月21日(日) 2009 J2リーグ戦 第22節
熊本 2 - 0 栃木 (13:03/水前寺/2,834人)
得点者:49' 西弘則(熊本)、54' 石井俊也(熊本)
スカパー!再放送 Ch181 6/23(火)05:00〜(解説:池ノ上俊一、実況:山崎雄樹、リポーター:山田法子)
☆勝敗予想ゲーム
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前々節の横浜FC戦ではしつこく「勝て」と書かれていたゴール裏の横断幕だが、今日掲げられていたうちの1枚には、シンプルに「プロ=結果」というメッセージが記されていた。そして熊本の選手たちは淡々と、プロらしく仕事を果たして期待に応え、北野誠監督の言葉を借りれば“大人のサッカー”でしっかりと結果を手にした。実に11試合ぶりの勝利は、13試合ぶりの無失点ゲーム。忘れていた自信を取り戻すと同時に、キャリーオーバーされてきた勝利の喜びはついに放出される時を迎えた。
だが前半、ペースを掴んだのは、「前半に関しては予想通りと言うか、こちら側の狙い所を持って戦えた」と松田浩監督が振り返った通り、どちらかと言えばアウェイの栃木だった。前節、鳥栖の激しいプレスに対してロングボールが多くなった反省からか、後方からのフィードを前線に当てるダイレクトプレーをベースにしつつも、決してそれ一辺倒ではなく、ボランチの本橋卓巳や左サイドに入った河原和寿らを起点にボールを動かしながら形を作っていく、緩急のある攻撃でゴールに迫る。だが熊本のプレッシャーがさほどきつくもない中にあって、コントロールがずれたりパスが合わなかったりと、フィニッシュまで持ち込めない展開が続いた。
28分、右サイドバックの岡田佑樹の縦パスに対して稲葉久人が裏に抜け出してニアに送ったクロスに石舘靖樹が詰め、さらに31分には高安亮介から稲葉へとつないで熊本GK木下正貴との1対1に持ち込むなど、30分前後に立て続けに決定的なチャンスを迎えた栃木だったが、「こっちに流れが来た時に1点が取れなかった」(石舘)ことが、結果的には勝敗を分ける一因になった。先制されて消極的になってしまうパターンの多かった熊本からすれば、栃木の精度の低さに助けられた側面もある。しかし、Jリーグデビューを果たしたGK木下をはじめ、球際で身体を張った守備を見せた福王忠世らを中心に、終盤の栃木の時間帯を辛抱強く耐え、チーム全体として前半を凌ぎきったことが後半立ち上がりの先制点を呼び込んだ。
49分、左サイドのスペースに抜けた宇留野純に藤田俊哉からのボールが出る。「タイミングが合えばダイレクトで撃てると思った」という宇留野からのクロスを、中央に走り込んで合わせたのは西弘則。難しいボールだったが、ダイレクトで右足を振り抜いてネットに突き刺した。さらに54分には、左からのショートコーナーの流れで山本翔平、チョ ソンジンと浮き球でつなぎ、最後は石井俊也がGK武田博行の頭上を抜く鮮やかなループぎみのヘディングシュートで2−0と栃木を突き放す。プレス資料として配られたハーフタイムコメントによれば、栃木の松田監督は「勝負所は行くしかない」と選手たちに伝えているが、皮肉にも熊本がその勝負所をつかみ、「時間をかけすぎず、もっとシンプルに」という北野監督の指示通りの攻撃で、わずか5分の間に前半の流れをひっくり返したのだった。
この後、栃木は本橋に替えて栗原圭介、稲葉に替えて松田正俊、さらに井上雄幾に替えて入江利和と、一気にフレッシュな選手をピッチに送り反撃に出る。だが今日の栃木はフィニッシュそのものより、そこに至る過程で「質が低すぎた」(松田監督)。リードされて以降は一方的に攻め立てるが、肝心なところでボールが納まらずに逆にカウンターを浴びたり、最終ラインで中央を固めた熊本の守備に対して真ん中で勝負してひっかけたりと、決定的なチャンスの数は前半以下。結局、熊本が逃げ切った。
敗れた栃木は、勝てば順位が入れ替わるとあって高いモチベーションで臨んだ一戦だっただけに、試合開始から30分までの失点の少なさにも現れている持ち味であるはずの集中力を、後半開始の10分間に発揮できなかった事が悔やまれる。前節の鳥栖戦に続き、後半立ち上がりの不用意な失点がゲームの流れを変えてしまったことになるが、パスやシュートの精度の向上と合わせ、連敗を脱する上で改善が必要だろう。
熊本は、公式記録上でのシュート数は9本と決して多くなかったが、与えたシュート6本は今シーズン最少の数字で、身体を張ったブロック等、この1週間取り組んできた守備の意識の向上が実を結んだと言える。自分たちの時間帯を逃さずにきっちり得点を重ね、リードを奪った後も落ち着いてゲームをコントロールできたことも収穫。欲を言えばダメ押しの3点目も欲しかったし、チャンスを作られた点などはもちろん修正が必要だが、完封で勝点3を、しかもホームで取ったことは素直に喜びたい。
ただし、これで2ヶ月以上に及んだ苦悩の日々を抜けきったかと言えば、実際にはまだ雲間から少し日が差した程度。本当に「視界良好!」と感じられるようになるには、この試合でできたことを今後も継続しながら、質を高めていくほかはない。“兜の緒”と“駆る馬の手綱”をしっかりと締め直して臨む次なるミッション。それは開幕戦のリベンジである。
以上
2009.06.22 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第22節 熊本 vs 栃木】レポート:勝負所をとらえた5分間の2得点で、熊本が11試合ぶりの勝利を飾る!押し込みながらも得点を奪えなかった栃木は4連敗。(09.06.22)
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