6月21日（日） 2009 J2リーグ戦 第22節
鳥栖 2 - 0 Ｃ大阪　（13:04／ベアスタ／6,314人）
得点者：74' 山瀬幸宏（鳥栖）、89' ハーフナーマイク（鳥栖）
スカパー！再放送 Ch185 6/23（火）13:30〜（解説：サカクラゲン、実況：南鉄平、リポーター：ヨンヘ）
☆勝敗予想ゲーム
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勝利を収めるためには、２つの方法がある。相手より、得点を多くあげるか、失点を少なくするかである。今節の鳥栖は、強力な攻撃陣を誇る攻撃力を持つＣ大阪のお株を奪う内容で完勝した。今季、リーグ最多のシュート数を放っているＣ大阪相手に、２倍以上の１９本のシュートを浴びせ（Ｃ大阪は７本）、CKは１１本を奪った。勝った岸野靖之監督は素直に「今日の鳥栖は強かった」とコメントした。敗れたレヴィー・クルピ監督は「全てにおいて鳥栖が上回っていた」と完敗を認めた。この、短い言葉の中に今節の試合内容が凝縮されている。スタジアムに訪れた6,314人の観客は、第２１節終了時点での２位と９位の戦いには似つかわしくない内容だったと感じたに違いない。

鳥栖はキックオフ直後から激しいプレスで、Ｃ大阪の自由を奪った。自由だけではない。ＭＦ香川真司の華麗なドリブルも乾貴士のスルーパスも、小松塁の高さも奪ってしまった。今節を迎えるまでの総シュート本数は、Ｃ大阪の３１９本に対して鳥栖は２５９本。得点はＣ大阪の４４得点に対して鳥栖は２４得点と圧倒的にＣ大阪が上回っていた。それでも、中盤での自由が奪われてしまうとＣ大阪とて鳥栖のゴールに迫る機会が激減してしまう。４１分にＤＦラインの裏に抜け出した香川真司の右足のシュートが前半唯一の好機だった。

対して鳥栖は１１分にＦＷハーフナー・マイクがＭＦ武岡優斗のクロスを高い打点のヘディングを放ったのに始まり、２９分にはＦＷ山瀬幸宏がバーに当てる技ありのシュートを放つなど、前半から主導権を握った。ハーフタイムコメントが的確に前半を表している。岸野監督の「前半はよく集中していた」に対して、レヴィー・クルピ監督は「黒木（聖仁）は、ボールを持ったら前を向くこと」、「真司（香川）と乾（貴士）はもっと簡単に確実にフィニッシュに持っていくこと」だった。前半を終えて岸野監督の戦術はイメージどおりであり、レヴィー・クルピ監督は後半に戦術の修正を余儀なくされていた。

５８分にＤＦ前田和哉とＭＦ酒本憲幸の２人をＭＦ平島崇とＦＷ西澤明訓に代えて攻撃的な布陣を引いてきた。４−２−４−２で中盤を厚くし、鳥栖のプレスをいなそうと試みたが、「テクニックを上回る走力」（岸野監督／鳥栖）の前には劣勢を跳ね返すことができなかった。

７４分にこの試合自身７本目のＦＷ山瀬のシュートで鳥栖が先制すると、８９分にはハーフナー・マイク自身５本目のシュートで駄目押し点を奪った。先制点はＭＦ高地系治が前線のスペースに走り込んでのアシストであり、駄目押し点はＧＫ室拓哉からのロングボールだった。どちらもゴールを狙う姿勢の成せる業であり、今節の鳥栖の選手たちの意識の集約だった。

鳥栖がＣ大阪のストロングポイントを抑えて、標榜する無失点サッカーで完勝し、戦績では勝ち越し得失点差もプラスに転じた内容は、今季一番の試合だったといえる。しかし、今季初の３連勝とはいえ、内容が伴っての連勝はいまだ成しえていないのも事実。次節の富山戦が、本当の鳥栖の強さを証明する試合といえる。
また、Ｃ大阪においても、長いシーズンで今節のような戦い方もあるだろう。個の力は間違いなく持っているので、修正課題は明確である。次節までは時間が無いが、２位につけるＣ大阪には３連敗は許されない。出場停止明けから選手も戻ってくる。次節からの戦い方には要注意である。長いシーズンだけに、覚えておきたい試合もあれば、忘れてしまいたい試合もあるだろう。気持ちの切り替えもシーズンを乗り越える大事な要素である。

記憶に残る試合もあれば、記録に残る試合もある。
覚えておきたい試合もあれば、忘れないといけない試合もある。
結果だけを求める試合もあれば、内容を求める試合も多くある。
それがリーグ戦であり、Ｊリーグ ディヴィジョン２である。
試合結果に一喜一憂ばかりいられない。次節に備えて、心と身体の準備をするのもファンとサポーターの大事な仕事である。
そして、長いシーズンを楽しむ一つの方法でもある。
サッカーには飽きが来ないし、喜びが尽きることも無い。

以上

2009.06.22 Reported by サカクラゲン