6月28日(日) 2009 J2リーグ戦 第24節
水戸 2 - 3 C大阪 (19:04/笠松/4,088人)
得点者:20' 香川真司(C大阪)、39' オウンゴ−ル(水戸)、63' 乾貴士(C大阪)、64' 香川真司(C大阪)、86' 大和田真史(水戸)
スカパー!再放送 Ch181 6/29(月)12:00〜(解説:遠藤雅大、実況:田中雄介、リポーター:佐藤愛美)
☆勝敗予想ゲーム
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「もったいない試合だった」。吉原宏太は唇を噛んだ。水戸にとって勝てた試合であったし、最低でも勝点を獲得しなければいけない試合であった。“自滅”を繰り返したC大阪から受け取った流れを生かすことができず、逆に自分たちで再び流れを手放して勝点3をC大阪に譲ることとなってしまった。試合後、雨で濡れたピッチには、悔いばかりが残った。
試合開始から力の差を見せ付けられた。「セレッソらしいつなぎでテンポよくボールを回し、ゲームを支配できた」とマテルヘッドコーチが振り返るように、中盤のマルチネスが自由自在にゲームをコントロールし、前線では香川真司が抜群の技術を見せて、水戸守備陣を翻弄。次々とチャンスを作り出す。そして20分、中央でボールを受けた香川が鋭いターンからDFを振り切り、ゴールを決める。C大阪の攻撃にまったく歯が立たない水戸。前回の対戦で5失点を喫した嫌な流れが頭をよぎった。
しかし、そこからC大阪が「あたかも勝利に恐れを抱いているようなプレーをしてしまった」(マテルヘッドコーチ)。先制するまでの流麗なパスワークは影を潜め、ピッチがスリッピーなこともあり、パスミスを連発することに。37分に前田和哉が自陣で水戸にプレゼントパス。それを受けた菊岡拓朗から吉原にスルーパス。GKとの1対1は決め切れなかったものの、1分後にはGKキム・ジンヒョンのキックミスから水戸が再び決定機を築く。その一連の流れによって勢いをつけた水戸。39分に右サイド保崎淳の思い切ったシュートがオウンゴールを誘い、同点に追いつくことに成功。いい形で前半を折り返す。
後半も同様の展開。パスミスを繰り返すC大阪に対し、水戸は積極的にプレスをかけて主導権を握る。51分には右サイドからのクロスを受けた菊岡がクロスバー直撃のシュートを放つなど、C大阪ゴールを脅かす展開を作った。しかし、C大阪相手に攻め込むことができたことで水戸は自らの首を絞めることとなってしまった。「点を取りたい気持ちは分かるが、基本をぶらしてはいけない」と鈴木和裕が険しい口調で語ったように、攻撃に意識がいってしまったあまりに守備の意識が希薄となってしまった。
力量に勝る相手に対して、「しっかりした守備をベース」(鈴木)とした戦いが狙いだった。相手のミスを突いて、そこから素早く攻撃を仕掛ける。それを繰り返すことが勝機だった。だが、自ら主導権を握ったまではいいが、水戸の武器であるはずの「攻守の切り替えで負けた」(鈴木)ことにより、守備の遅れが目立ちはじめる。「そうした隙はC大阪ぐらいだと突いてくる」(吉原)。63分、水戸の攻撃を防いだC大阪は前線にロングボールを送る。大和田真史がヘディングでクリアしたものの、中盤の戻りが遅れ、C大阪にセカンドボールを拾われ、そこから失点してしまう。さらに1分後には、キックオフ直後、両サイドバックが高い位置に上がってしまい、その裏を突かれて立て続けに失点。「集中を切らしてしまった」(下田光平)ことで、それまでの流れをふいにすることとなった。
サッカーとは本当に難しいスポーツだ。「いい攻撃をするためにいい守備が必要」と鈴木が言うように、攻撃と守備は表裏一体。どちらかを欠くと、両方とも逸してしまうことになる。そのバランスをどう取るかがサッカーの最大の妙味と言っていいだろう。ただ、大事なのは常に自分たちの戦い方を見失わないこと。そして基本に忠実にプレーをすることだ。この試合で水戸はそれを怠った時間帯があった。「90分動き続ける」(木山隆之監督)ことこそ水戸のサッカーだが、それが途切れた瞬間に失点してしまった。そして、63分の失点の場面では動きで遅れても「最悪でも外に追い出す守備はできたはず」(鈴木)。それすらもチームとしてすることができなかったことが自らを苦境に追い込むこととなった。
「今の自分たちの持てる力を出せていた」(木山監督)からこそ、悔やまれる敗戦。決して「惜敗」ではない。自ら勝点を逃した試合である。もっともっと突き詰めなくては、上位戦線に食い込んでいくことはできないだろう。いよいよリーグ戦の佳境とも言える7月に入る。体力、精神力ともに厳しい戦いが続くが、そこで求められるものはこの試合で足りなかったものだ。この敗戦を糧にできれば、まだまだ浮上のチャンスはある。逆に糧にできなければ、下位に沈む可能性もある。本当の勝負は、これからだ。
勝ったC大阪も課題が残る内容だった。特に「いらない失点が多いので、そこを直そうと話し合って臨んだ」(羽田憲司)にもかかわらず、改善されることはなかった。得点後にミスを連発して、“自滅”を繰り返す悪癖も再び顔をのぞかせた。香川の個人技と水戸の拙いゲーム運びに助けられて勝利を得たが、決して満足いく内容ではなかったはず。だが、それでも勝点3を得たことは最大の収穫。「選手たちは首位を奪い返すという今日の一番の目的を理解してくれたうえで、いい仕事をしてくれた」とマテルヘッドコーチは笑顔を見せた。次節、仙台との天王山。マルチネス不在で挑むこの一戦が、C大阪の今後を大きく左右することとなるだろう。
以上
2009.06.29 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第24節 水戸 vs C大阪】レポート:C大阪の“自滅”により、水戸は流れを受け取ったものの、生かすことができず。勝ったC大阪、負けた水戸ともに課題が残った一戦。(09.06.29)
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