7月1日(水) 2009 J1リーグ戦 第10節
名古屋 0 - 3 鹿島 (19:03/瑞穂陸/9,661人)
得点者:22' 興梠慎三(鹿島)、43' 野沢拓也(鹿島)、53' マルキーニョス(鹿島)
スカパー!再放送 Ch181 7/2(木)15:30〜(解説:森山泰行、実況:吉田太一、リポーター:尾原秀三)
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ひとことで言えば、チームの完成度の差が勝敗を分けた試合だった。それも、歴然とした差である。最終スコアは0−3。だが、実力差はそれ以上に開いていた。ストイコビッチ監督が完敗を認めるほどの内容で、名古屋は泥沼のリーグ戦4連敗目を喫した。
試合は互角の展開からスタートした。名古屋は連敗中の雰囲気を感じさせないアグレッシブなプレーで鹿島に対抗。初シュートこそ前半15分を待たねばならなかったが、首位を独走する王者相手に果敢に挑んでいった。出場停止のマギヌンの代役には玉田圭司を起用。トップには巻佑樹とダヴィを組ませ、ボールキープ力を上げることで全体の押し上げの促進を狙う。序盤は久々にフィールドプレーヤー全員が敵陣に入ってしまうような、名古屋らしい前がかりの姿勢を見ることもできた。
だが、鹿島は慌てなかった。高めに設定された名古屋のDFラインの裏に広がるスペースに狙いを定めると、次々とロングボールでマルキーニョスや興梠慎三を走り込ませる。作戦が実を結んだのは22分だった。右サイド深くへのロングフィードを起点に、本山雅志とマルキーニョスのワンツーから最後は中央でフリーになった興梠へ。興梠がこれを難なく決めて、鹿島が先制点を手にした。
失点後、名古屋も反撃に出たが肝心のゴールが遠かった。24分には巻がヘディングシュートを放つも、これはGKの正面を突く。巻は裏への飛び出しで再三チャンスを得るも、シュートまで持ち込むことができなかった。34分には小川佳純が、36分にはダヴィがゴール前でシュートを放つも相手DFに跳ね返される。
一方、先制後の鹿島は得意のカウンターで名古屋の反撃を効果的にチャンスにつなげていった。24分にはFKから興梠がヘディングシュートを放つもオフサイドの判定。35分にはマルキーニョスのシュートがポストを叩いた。前がかっていた名古屋の守備を後退させると、前半終了間際の43分に追加点が生まれた。パク・チュホの左からのグラウンダーのクロスに対し、最初に詰めた本山がスルー、2人目の興梠もスルー。走り込んだ野沢拓也が左足でゴールに流し込む美しい連係は、チームの高い意思疎通と信頼関係を感じさせた。
前半の終盤から降り出した雨は後半勢いを増し、両チームの実力差をさらに際立たせた。名古屋が雨中のボールコントロールに苦労する中、鹿島は雨を苦にしない安定したプレーを披露。後半8分には本山のシュートがDFに当たったところをマルキーニョスがボレーで沈め、決定的な3点目を奪ってみせた。その後は終始鹿島ペース。巧みなボールキープと時折見せるカウンターでけん制しつつも、時間を確実に消費していった。後半は名古屋も9本のシュートを放ったが、決定機は数えるほど。鹿島の貫録勝ちといった内容と結果は、吉田麻也の言葉通り「手も足も出ない」ものだった。
硬軟自在の試合運びを見せた鹿島と、やりたいことの半分もできなかった名古屋。試合後の鹿島・オズワルドオリヴェイラ監督の言葉が印象的だ。
「サッカーは順応と対応、機能と効率。そして臨機応変にやるものだ」
この日の鹿島は名古屋の弱いところを確実に突き、反撃が続く時はじっと守ってカウンター狙いに徹した。後半は三角パスを多用したボールキープで名古屋を疲れさせ、攻守にしっかりと人数を割いて対応した。そこには、明確なチームの柔軟な意思統一が感じられた。
名古屋はどうか。ビルドアップのキーマンであるサイドバックを抑えにくるのは、もはやJ1全チーム共通の名古屋対策だ。しかしこれまで、そこが抑えられた時の次善策が講じられた様子は見たことがない。主導権を握って主体的に展開するサッカーにも、状況に合わせたプレーは必要だろう。皮肉にも、鹿島・オリヴェイラ監督のハーフタイムコメントには、名古屋にも当てはまることが記されていた。
「中盤で奪ったボールは確実に展開する時と、カウンターのチャンスになる時を見極めよう」
名古屋のストイコビッチ監督は「今日はモダンフットボールのレッスンを受けた」と語った。ならば、3日後に迫った次節・G大阪(7/5@@豊田ス)とのホームゲームはその授業の成果を見せる格好の場となる。この一戦を言葉通り成長への糧にできたのか否か。ホームでの完敗という高い授業料を払っただけの内容を、豊田スタジアムではぜひとも見せてほしいものだ。
以上
2009.07.02 Reported by 今井雄一朗
J’s GOALニュース
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