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【J1:第10節 川崎F vs G大阪】レポート:川島が遠藤のPKを止めるなど、堅守の川崎Fが1-0でG大阪に辛勝。G大阪はボール支配率が得点に結びつかず手痛い敗戦となる(09.07.02)

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7月1日(水) 2009 J1リーグ戦 第10節
川崎F 1 - 0 G大阪 (19:05/等々力/15,903人)
得点者:32' 養父雄仁(川崎F)
スカパー!再放送 Ch183 7/3(金)21:00〜(解説:相馬直樹、実況:土井敏之、リポーター:石川葉子)
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 一方的なG大阪の攻勢を象徴するような場面だった。クリアボールの処理をもたついた養父雄仁がマイボールをわずかに足元から離してしまう。すかさずチェックしたのが二川孝広。中盤を制圧し、川崎Fの選手が保持するボールをあらゆる局面で奪い取り、分厚くポゼッションしてきたG大阪らしさが良く出ていた場面だった。
 慌てた養父がボールを奪い返そうと足を出した先にあったのは二川の足。過剰な笛もなく、必要とあらばファールを流して(アドバンテージを取って)試合をコントロールしていた扇谷健司主審が躊躇なくPKスポットを指差す。川崎Fの1点のリードは風前の灯火だった。

 前半の立ち上がりからG大阪の攻勢が目立つ試合だった。開始直後こそホームの川崎Fが真っ向勝負に出ようと試みるが、個人技に勝るG大阪が徐々にボール支配率を高めていく。川崎Fはこの試合に向けG大阪対策を取っていた。その一つが中村憲剛と養父をサイドハーフに据える中盤である。3トップで先発し、完全に中盤を制圧されたのが先週のAFCアジアチャンピオンズリーグ ラウンド16・G大阪戦(2-3で川崎Fの勝利)前半。1点のビハインドを追いついたその試合後半の布陣に着想を得たフォーメーションである事は明らかだった。
 川崎Fが手を変えてきたのと同じように、G大阪も中盤の構成に変化をつけている。先週のACLでの対戦では遠藤保仁がサイドハーフのポジションに入っており、2列目からの積極的な飛び出しで川崎Fの最終ラインを切り裂き続けた。ところがこの日は明神智和とともにボランチの位置に入り、まさに司令塔として試合をコントロールしていたのである。

 川崎Fとすれば遠藤の飛び出しがなくなった分、中盤でのマークの混乱は回避できたが、その遠藤を中心としたG大阪の堅固な中盤を前に思うようにボールをつなぐことが出来ず。囲い込まれて自陣でボールを失うか、苦し紛れにロングパスを出させられるという場面が増えていった。
 ただ、そういう状況で川崎Fが狙っていたものがあった。それがカウンターである。5分の伊藤宏樹からレナチーニョにつながった場面は、単独での突破だったためシュートミスがそのままミスで終わる。しかし32分の場面は違っていた。
 中村からのパスを受けたレナチーニョが左サイドを突破し、マーカーを振り切って最後は右足でシュート。しかしこれはうまくミートせず、枠にも飛ばなかった。ただ、このシュートが転がった先に養父が詰めていた。「冷静に押し込むだけでした」とゴールシーンを振り返る養父は、自陣から長い距離をフリーランニングしていた。「ペナルティエリア内に入れ」との監督からの指示を実践した事で生まれた得点であり、状況判断の良さから生まれたゴールだった。

 圧倒的に主導権を握られる展開の中、川崎Fがようやく手にした虎の子の1点である。このリードを失いかけたのが冒頭にも書いた52分の遠藤のPKの場面だった。川崎Fにリードをもたらしたその養父のミスによりピンチを迎えた形となるが、ここで川崎Fを救ったのが川島永嗣である。この試合がちょうど100試合目の出場となった川島は「最初から今日は強く蹴ろうと思っていたがコースが甘かった」と話す遠藤のPKを「うまいという意識はあったので、逆に頭で考えすぎないようにしました」と無心でストップ。ゴールを死守した。

 それまでの展開を考えれば、ゴールが決まっていれば一気に戦力バランスが崩れる可能性がある。同点に追いついていれば、G大阪はカウンターを受けるリスクをある程度軽減してじっくりとボールを回しながら穴を探せばいい状況になっていた。また、それは川崎Fにしてみれば、大きな武器だったカウンターを封じられる事と同じだった。そういう試合展開が想像できるという点で1点以上の重みを持つPK阻止だった。
 川島は55分の遠藤のFKもはじき出すなど川崎Fの無失点試合に大きく貢献。また、G大阪に流れの中でほとんど枠内シュートを打たせなかった川崎Fの守備意識の高さも、評価されてしかるべきだろう。

 先週のACLでは派手な撃ち合いとなったこのカードは、結果的に1-0という渋いスコアで決着。ともに死力を尽くした戦いは川崎Fに軍配が上がる事となった。この試合の結果、川崎Fは勝点を30点へと伸ばし同・38点の首位・鹿島に次いで単独の2位へと浮上している。
 一方のG大阪は、鹿島との勝点差が15点へと拡大。そうした現状についてレアンドロは「まだ19試合が残っている。追いかけるだけです」と気丈に話していた。また優勝に向け、非常に厳しい状況に追い込まれた西野朗監督は監督会見の席上「ポゼッションから崩しにかかり、それをゴールを割るまで続ける。決して違うスタイルを求めようとは今は思っていないです」とG大阪のスタイルを貫くとの決意を口にしていた。

 最後になるが、この試合を最後にチーム創設以来13年間、現場で川崎Fをサポートしてきた木田靖子さんが退社。関塚隆監督を筆頭に選手たちも勝利をプレゼントできた事を率直に喜んでいた。ちなみにこの勝利によって川崎Fの連勝はクラブ記録タイの6連勝に。次節の鹿島戦は、クラブ新記録となる7連勝に挑む大一番となっている。

以上

2009.07.02 Reported by 江藤高志
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