7月15日(水) 2009 ヤマザキナビスコカップ
鹿島 1 - 0 川崎F (19:00/カシマ/7,935人)
得点者:83' 小笠原満男(鹿島)
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鹿島の川崎Fに対する苦手意識は払拭された。そう感じさせるほど川崎Fの攻撃陣に自由を与えない。先のリーグ戦(第16節)では、PKで1失点した鹿島だったが、この日は川崎Fの強力な攻撃陣を零封。アウェイゴールを許さず、1-0で第1戦を勝利した。
試合前、県立カシマサッカースタジアムは気温27.5度と珍しく蒸し暑かった。序盤こそ、鹿島の選手たちは躍動したものの、徐々に運動量が落ちていく。試合が止まるたび、ドリンクボトルに集まるのは鹿島の選手たちばかりだった。対する川崎Fも、前がかりにアウェイゴールを奪いに行くのではなく、サイドのスペースをきっちり守る戦い方を選択する。前線に鄭大世とジュニーニョの2トップを残し、山岸智、中村憲剛が守備の意識を高くしていた。
とはいえ、この日は中村の存在感がいつになく希薄だった。山岸が左、中村が右でスタートしていたが、試合開始からしばらくボールに絡むことができない。そのためサイドを変えたものの、効果的なパスを出すまでには至らない。唯一、魅せたのは17分。左サイドからワンタッチで前方にいるジュニーニョへパスすると、鄭大世から右サイドへ大きく展開。久木野聡のセンタリングに、鄭大世が飛び込むシーンを演出した。
前半は、本山雅志のドリブルシュートや、左サイドからのジュニーニョのセンタリングに鄭大世が頭で合わせるなど、両チームに散発のチャンスは訪れたが、大きな流れを得て攻勢を強めることはなく、お互いに牽制し合う内容。特に川崎Fは、ベンチ登録メンバー7人のうち、攻撃的な選手を5人座らせていた。後半勝負と見ていることは明らかだった。
後半に入るとさっそく川崎Fの関塚隆監督が動く。山岸に代えて養父雄仁を投入し、さらに55分には久木野に代えてレナチーニョを送り込んだ。ただし、この交代で最初にペースを掴んだのは鹿島だった。というのも、献身的にサイドの守備をこなしていた山岸がベンチに下がったことにより、内田篤人が攻め上がるスペースを得たからだ。前半、あまりなかった右サイドからの攻撃が活性化。次々とチャンスをつくっていった。
ただし、中盤にスペースができることは川崎Fも歓迎するところ。65分あたりには、お互いに攻め合いの様相を呈し始め、攻撃の終わり方が悪いと相手のカウンターを受ける状況が続いた。ここでペースをつかみ始めたのは川崎F。65分には谷口博之のヘディングシュート、さらに68分には中村がFKをバーに当てるなど、鹿島のゴールを脅かした。しかし、いずれも曽ヶ端準を中心とした鹿島守備陣が集中力を切らさず、得点を許さなかった。
このまま、0-0で終わるかと思われた83分、右サイドの内田からのロングスローにダニーロが頭で合わせようとするが触れず、逆サイドまで大きくバウンド。するとそこに猛然と走り込んできたのが小笠原満男。追いすがる中村を振り切り、クリアしようとする村上和弘のキックに恐れることなく頭から飛び込み、ゴールに叩き込んだ。AFCチャンピオンズリーグで敗れた後、「責任を取る」と発言したキャプテンの小笠原。その執念を見たようなゴールだった。
この場面、オズワルド・オリヴェイラ監督の緻密な計算があったことも忘れてはいけない。
ロングスローに絡んだ選手は、ダニーロ、田代有三、大迫勇也。いずれも身長180センチを超え、さらにゲーム途中で投入されたフレッシュな選手たちだった。なぜこうした起用をしたのか会見で聞かれたオリヴェイラ監督は次のように答えている。
「まず、当然ながら相手がどういう長所を持って、どういう武器を持っているのかを考えて、それを消す作業を考えて試合を戦わないといけません。一番危険な場面として表れていたのが、今日の試合に関してはセットプレーの部分でしたし、それがフロンターレの武器になっていたと思います。そのなかで、高い選手を入れて、高さ対策というのが1つ狙いでした。同時に、うちはグラウンダーで崩そうと思っていたのですが、それが上手くいきませんでした。そこで、今度は上から仕掛けてみて、拾ったボールで何とかならないかという意図もあります。また、相手がある程度の時間帯なので疲れがあるわけですから、そうすると競り合いのなかでも勝てる状況が出てくるという推測もありました」
オリヴェイラ監督は優れたモチベーターとして知られるが、戦術的な引き出しは驚くほど多い。10日前の川崎Fとのリーグ戦では、1人少ない状況になりながら、本山を右サイドバックに起用して攻撃的な姿勢を崩さず、守備時にはマルキーニョスと興梠慎三をサイドに開かせて川崎Fの攻撃力を封じ、パスさばきをボランチの選手に強いて、同点弾につながるミスを誘発させた。さらに、この日の決勝点を演出するロングスローを放った内田も、重いボールを使って日々、強化に励んできた。
「日々の積み重ねが試合の局面で表れると言うことを、もう1度、サッカーというスポーツに教わりました」
会見終了後、勝利を祝する拍手を受けた監督は、深々と頭を下げて会見場を後にした。
以上
2009.07.16 Reported by 田中滋
J’s GOALニュース
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