11月8日(日) 2009 J1リーグ戦 第31節
川崎F 3 - 2 千葉 (15:03/等々力/18,470人)
得点者:35' 工藤浩平(千葉)、55' レナチーニョ(川崎F)、70' レナチーニョ(川崎F)、88' 和田拓三(千葉)、89' レナチーニョ(川崎F)
スカパー!再放送 Ch185 11/9(月)17:00〜(解説:川本治、実況:八塚浩、プレーヤー解説:野々村芳和、リポーター:高木聖佳)
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首位の川崎Fが、残留圏への希望をつなごうとする千葉を迎えた等々力は、試合前からなんだか変な空気が漂っていた。
ナビスコ杯決勝の表彰台での不祥事に対し、川崎Fは現場に関わる全ての選手、スタッフが正装し、ピッチ内を一周。川崎Fサポーターには、応援してもらいながらみっともない姿を見せてしまった事に対して謝罪。また千葉サポーターにも、サッカーに関わる全ての人の品位を貶めた事に対し、謝罪。ただひたすらに頭を下げ続けた。
川崎Fの選手たちは、反省の気持ちを表現する術として今後は、ピッチ上でのプレーで返す以外にないと話しており、またリーグタイトルに一番近いポジションにいるクラブとして、勝利という結果を強く求めての試合となった。その一方で、千葉は降格圏となる16位以下からの脱出に一縷の望みをかけており、そういう意味で両チームとも勝点3を切望する状況となっていた。そして、お互いにお互いの立場をよく理解する両チームのサポーターは試合前から熱心に声援を送り、一種独特の空気が漂う中での試合となった。
試合開始後からペースを握ったのは川崎Fだった。鄭大世を中心に、ジュニーニョとレナチーニョとが小気味よくパスをつないでゴールに迫る場面が散見されており、ゴールの予感を漂わせる試合展開となる。
一方の千葉は、江尻監督が説明する「ゲームプラン的には相手との力を考えて、きっちりと守備から入ってカウンター」との試合運びを見せていた。つまり、無理に前線に人数をかけることなく、まずは川崎Fに攻めさせておき、手薄になった川崎Fの最終ラインに対し巻誠一郎をターゲットとしたロングボールを入れるというプランを採用するのである。川崎Fにしてみれば、手ごたえを感じつつ、先制できない展開の中、江尻監督をして「ゲームプランどおり」と言わしめるのが前半35分の千葉の先制の場面である。
ロングパスのクリアが左サイドの深井正樹に渡ると、ここから絶妙のクロスが入る。これを頭で合わせた巻のシュートはクロスバーを叩くが、こぼれを工藤浩平が詰めて先制点となる。意外ではあるが、川崎Fの試合前からの精神面での動揺や、千葉が採用したゲームプランを考えれば十分にありうる展開にサッカーの怖さを思う前半だった。
1点を失ってからの川崎Fは猛攻によってチャンスを作り続けるが、決定力を欠きそのままハーフタイムへ。「チャンスを作っていた中での失点はナビスコカップと同じでした」と振り返るのは川崎Fの村上和弘。しかしそこで川崎Fは慌てることなく戦いを修正。後半を迎える。
前半の千葉を支えていたのは間違いなく中後雅喜と下村東美のボランチセットだった。献身的に中盤を走り回り、守備のみならず攻撃時のアクセントとして試合を引締めていた。そしてこの2枚の運動量の低下と伴い、千葉は劣勢の度合いを強めていく。
「サイドから落ち着いて攻撃を組み立てよう」との指示を受け、後半のピッチに立った川崎Fは、55分に中村憲剛がドリブルでペナルティエリア内へ持ち込むんでファールを誘いPKに。ここで意外だったのが、スポットに立ったのがレナチーニョだったという点。レナチーニョは「決める自信があったので、蹴らせてほしいと話しました」とその場面を振り返っているが、その言葉どおりに落ち着いてこれを決め、まずは川崎Fが同点に追いつく。
同点では16位以下が決定する千葉はここから攻撃的な選手交代で、リスクチャレンジして前へと出てくる。川崎Fにしてみればそれはもってこいの展開でもあった。勝ち越しゴールを狙う千葉に対し、川崎Fはカウンターで対応。70分には井川祐輔のボールカットからのカウンターで、レナチーニョがこの日の2点目を叩き込み、逆転に成功する。
極言すればこの試合のハイライトはここからの20分間にあった。リスクをかける方向の選手交代を続け、攻めに出る千葉に対し、川崎Fは守備の意識を高く維持し、逃げ切りを図る。優勝と残留と、全く次元の違う世界の戦いではあるが、それぞれに高いモチベーションがぶつかり合うとき、戦力差は極限にまで縮まる。ここから2点を奪えば延命できる千葉は、88分に勝点3への思いが得点として昇華する。左サイドから崩したボールを、最後は和田拓三が押し込んで同点に追いつくのである。
しかしながら、首位陥落の瀬戸際に追い詰められた川崎Fも土壇場で底力を見せる。同点に追いついてからの時間帯で、速攻を続けていた川崎Fが、最後に決めたカウンターは公式記録上は89分。しかし、実際はロスタイムに入った90分に決まる。中村憲剛が競ったこぼれ球を、伊藤宏樹が絶妙なスルーパス。これをジュニーニョが持ち前のスピードでタテへと突破。マイナスのクロスを入れる。一度しりもちをついていたレナチーニョはすぐさま態勢を立て直し、これを落ち着いてダイレクトで蹴り込んだのである。
どちらに転んでいてもおかしくはなかった戦いは、川崎Fの優勝へのモチベーションが勝る事となった。首位陥落も考えられた戦いは、きわどい決勝ゴールによって、川崎Fがものにする事となる。
一方、千葉はこの敗戦により降格圏となる16位以下でのリーグ戦終了が確定。涙に暮れる事となった。試合展開と同様に濃密な試合後の選手とサポーターとの涙のやり取りは、クラブに強い絆をもたらすのだろうか?
結果だけを見ればごく順当に。しかしその内容は濃密な90分のドラマは、あらゆる意味で劇的な結末を迎える事となった。
以上
2009.11.09 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第31節 川崎F vs 千葉】レポート:川崎Fがレナチーニョのハットトリックにより、優勝へと一歩前進。敗れた千葉は、16位以下での終戦が確定。涙に暮れる試合後となる。(09.11.09)















