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【東アジアサッカー選手権2010 SAMURAI BLUE(日本代表) vs 韓国代表】レポート:宿敵韓国を相手に日本は完敗。残された本大会までの時間の中で、最適解の組み直しが求められる。(10.02.15)

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2月14日(日) 東アジアサッカー選手権2010
SAMURAI BLUE(日本代表) 1 - 3 韓国代表 (19:15/国立/42,951人)
得点者:23' 遠藤 保仁(JPN)、33' イドングッ(KOR)、39' イ・スンヨル(KOR)、70' キム・ジェソン(KOR)
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代表チームに容赦なく浴びせかけられるブーイングの中、常に代表をくさす知り合いの記者がしたり顔で「な、ダメだろ」と話しかけてきた。通常であればどこかしら良かったところを見つけて反論するのだが、この日ばかりは返す言葉がなかった。SAMURAI BLUE(日本代表)は宿敵韓国代表を前にまさに完敗してしまった。

日本代表は窮屈そうにプレーしていた。中国代表や香港代表とは違い、韓国代表の守備は前から。彼らは選手間の距離を意識するかのように均等な距離感を保ち、なおかつ日本代表にプレスを仕掛けてきていた。それでも岡田武史監督が「前半立ち上がりは、今までの試合に比べて一番選手同士の距離感もテンポもよく、攻撃もちょっといい流れになってきたと思っていた」と述べた通り、前半の立ち上がりだけはペースを作れていたように思う。ただ、その時間は長くは続かなかった。前半のほとんどの時間帯を、韓国ペースで進められていた。

この韓国戦までの3週間の代表合宿とこれまでの3試合の実戦の中で、日本代表に戻りつつある感覚とそうでないものとがはっきりと出ていた。たとえば戻ってきていたのは、相手を引きつけた狭い局面でのショートパスである。まさに日本のお家芸とも言えるパスワークは、遅れていたチーム作りの中でも出せていた要素だった。その一方で、これまでの試合ではピッチの幅を広く使っての攻撃に課題を残していた。そしてこの韓国戦ではその2点について注目していた。

ところが日本代表はピッチの幅を広く使った攻撃はもちろんの事、ショートレンジのパスワークすら出せないまま、いたずらに試合時間を消費してしまった。中国、香港とは違い韓国代表の前戦からのプレスが日本の攻撃陣を効果的に分断していたのである。

ショートパスがつながらず、相手をボールサイドに寄せきれなかったという事情もあるのだろうが、サイドチェンジもほとんど出せなかった。そして結果的に、韓国のプレッシャーに耐えきれず、蹴らされてしまった。もちろんボールを繋ぐのが難しい局面で蹴るという判断は決して間違いではない。たとえば香港代表のキム・パンゴン監督は日本代表の印象として「最終ラインからビルドアップしてくる」と日本代表の性格を的確に表現しており、そうしたパスワークを信条とするチームが蹴らざるをえないのだから、それだけ韓国代表のプレッシャーがきつかったという事になるのだろう。しかし、そうして蹴らされたボールがイーブンボールになっていたという点でこの試合が難しいものになるのは必然的な流れだった。

結局日本代表は、自分たちのやりたいサッカー、やれていたサッカーの両方を発揮できなかった。この試合から日本は何を感じとらなければならないのか。

中国も香港も、かなり意識して逆サイドにスペースを作らないようにしていた。例えば香港戦後に中村憲剛(川崎F)は、思うようにできなかったサイドチェンジについて「逆サイドのサイドバックに相手のサイドハーフの選手がついていた」と述べている。そしてそれがこの東アジアサッカー選手権を通しての日本の対戦国が取ってきていた傾向だった。中国も香港も低い位置でゾーンを作り、コンパクトに、そして均等に選手を並べていた。例えば一方のサイドで日本が枚数をかけ、崩しにかかっても、全体のバランスを意識した陣形を取っていたのである。もちろんそれは韓国代表にも見て取れる傾向で、そうした布陣によって逆サイドにスペースが作れず、ピッチの幅を広く使う攻撃ができなかった。

韓国はそうした日本対策に加え、前から意識的にプレスをかけてきた。それが日本のパスワークを封じ込め、横パスやバックパスを連発させる原因となった。そしてワールドカップ本大会では韓国と同等かそれ以上の力を持つ相手からの守備に対抗しなければならないのである。そうした困難な相手の守備を打ち崩すには何が必要なのか。

まずは、ショートレンジでのパスワークが、逃げのパスの連続だった可能性を想定する必要があると考えている。目の前に相手選手が控えている。そこに適度な位置でサポートが入りパスが出て、それが連続する。そうすることで相手選手を置き去りにし、リズムを作る。もちろんそれ自体は悪くない。しかし韓国戦ではそれが通用しなかった。であるならば、時には仕掛けることも必要なのではないのか。ドリブルによって相手を一枚はがせば、その穴の修復のために対戦相手はポジションを捨ててカバーリングせざるを得なくなる。そうした、相手との1対1で仕掛けるという感覚は今の日本代表に欠けているものの一つである。では日本人選手にドリブラーがいないのかというとそういう訳ではない。たとえば乾貴士(C大阪)は、イエメン代表とのアウェイマッチで後半からピッチに立ち、素晴らしい突破力で日本代表に力を与えていた。

今後日本代表対策として、ボールサイドのみならず、逆サイドすら消される可能性も出てくる。そうした局面になったとき、この韓国戦では前述の通り前線への長いボールが増えていた。そして今後世界の強豪国との対戦時には、そうした守備を仕掛けられる可能性は高い。だからこそ、最終ラインからの逃げのパスの選択肢として高い選手の起用を視野に入れるべきではないかと思うのである。

最終ラインで追い詰められ蹴らざるを得ない状況になったとき、前線に明確なターゲットがいるのかいないのかは、蹴る側にとって大きな違いになる。韓国戦の最終ラインからのフィードは、滞空時間の長い、ぼやけたパスが主体だった。スペースを狙ったアバウトなパスに終始していたのである。しかしそこに一枚大柄な選手がいるだけで蹴る側のパスの質も、選択肢もバリエーションを持ちうる。岡田監督は日本人の俊敏さを最大限に活かそうとFWを選考しているが、この韓国戦を経てそれを発揮できない可能性が現実のものになりつつあるとの認識を持つべきだろう。大柄な選手をトップで起用すれば、相手選手もその選手を意識せざるを得なくなる。そうすれば日本人的俊敏性を持つ選手がその特徴を出しやすくなる状況は増えるだろう。

この韓国戦を終えるまで筆者の中に、日本代表には昨年のオランダ戦という希望があった。しかし、この年頭の4連戦を終えてみてその希望が急速に色褪せはじめている。あのオランダ戦時の日本代表が、岡田現体制にとってのトップパフォーマンスであるとして、そこを目指すのは停滞でしかないのかもしれないとの思いが筆者の中に芽生えつつあるのである。世界は日本が停滞している間に、前を目指している。この東アジア選手権を終えてみて、日本は追いつけ追い越せで行けるときは強いが、いざ対策されてしまうと、とたんにもろさを露呈する事がはっきりしたように感じた。

年代別代表の結果を理由に人材不足を嘆く声も聞かれるが、筆者は若い日本人に人材がいない訳ではないと考える。そうした中、これまでの方法論が最適解をもたらさないのであれば、相手の新しい出方を想定した上で最適解を作り直せばいいとも考えている。本大会前までに残された時間は少ないが、全くないわけではない。「あのオランダ戦」という希望を打ち砕いてくれたという点で、韓国代表には感謝しなければならない。悲しむ時間はない。前を向くしかない。

以上

2010.02.15 Reported by 江藤高志
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