3月31日（水） 2010 ヤマザキナビスコカップ
Ｆ東京 2 - 2 名古屋　（19:00／国立／12,291人）
得点者：30' ケネディ（名古屋）、68' 平山相太（Ｆ東京）、74' 千代反田充（名古屋）、90'+2 重松健太郎（Ｆ東京）
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ヤマザキナビスコカップは３月３１日、開幕し、14クラブが２組に分かれて争う予選リーグ６試合が行われた。A組に入った連覇を目指すF東京は、国立霞ヶ丘競技場で名古屋と対戦し、２−２で引き分けた。

また重松健太郎が吼えた。国立の電光掲示板には、『ロスタイム４分』の表示が大写しとなっていた。スコアは１−２。敗色濃厚の中、途中出場のルーキーが髪を振り乱して敵陣を切り裂いていく。FW重松はMF大竹洋平からのリターンパスを受け取ると、右足を振りぬいて同点ゴールを奪った。

試合は、ゲーム序盤に名古屋が主導権を奪った。中盤では数的不利となったが、ブルザノビッチ、ダニルソン、中村直志が素早い帰陣と、力強い守備でそれを補った。30分、中盤でボールを奪うと、FWケネディがDFラインの背後に抜け出す。「長身のケネディが裏に抜け出てくることはないと思っていた。一瞬の迷いがカバーを遅らせた」（F東京DF平松大志）。ケネディが、マギヌンからのパスを冷静に決めて名古屋が先制する。
名古屋は48分にPKを獲得。ブルザノビッチがキッカーとなったが、F東京GK権田修一が阻止する。

そして、F東京が68分、同点に追いつく。徳永悠平が右サイドから飛び出した石川直宏にロングレンジのパスを通す。パスを受けた、石川は平山相太に絶好機をお膳立て。平山も冷静にGKの股を抜いて同点ゴールを決めた。だが、名古屋も攻撃の手を弱めない。74分、FKを闘莉王、玉田圭司と繋いで千代反田充がゴールを奪う。再び引き離されたF東京だったが、途中出場の重松がロスタイムに同点ゴールを射抜き、ドロー決着となった。

名古屋は、勝ちを逃がした。F東京の今野泰幸のポジションチェンジと、大竹の投入がゲームの転機となった。それまで力でねじ伏せていた中盤の競り合いが、数で打ち負かされた。今野、徳永のボランチに、大竹が加わり、中盤でボールを回されてしまった。中盤でパスを回させるまではよかったが、ロスタイムの失点シーンでは大竹に楔を打ち込まれた。あの場面を招いてしまうまでに、ゲームに決着をつけたかったのが本音だろう。
F東京FW重松はピッチに入ってくると、前線から圧力をかけ続けた。「途中から入ったケンタロウが前へ行こうという気持ちを伝えてくれた」と椋原健太。ボールが前線で奪えれば、すぐにゴールに向かえる。「ゴールしか意識していない」と公言するストライカー気質を逆手に取った、倉又寿雄F東京U-18監督の教えだったに違いない。F東京U-18は、前線からプレスを仕掛けて、90分間主導権を握り続けるサッカーを標榜する。そのファーストディフェンダーとなり続けてきた。「多少強引でも俺が点を取るんだってゴールを狙い続ける姿勢は失ってほしくない。そんな選手は珍しいからね」と倉又監督。F東京がクラブとして育ててきた攻めの姿勢は今も失われていない。下部組織では「試合を託せる選手になってほしい」との願いで10番を託された。トップ昇格1年目、背中の番号は変わっても、姿勢は変わらない。「自分の仕事はゴール」。ゲームを託す選手としてルーキーFWはプロの階段を歩き始めた。

以上


2010.04.01 Reported by 馬場康平