4月3日(土) 2010 J1リーグ戦 第5節
名古屋 2 - 0 神戸 (16:04/豊田ス/17,776人)
得点者:26' ブルザノビッチ(名古屋)、72' ブルザノビッチ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch181 4/6(火)23:00〜(解説:川本治、実況:西岡明彦)
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今季の名古屋はまるでヨーロッパの強豪のようだ。その理由はふたつある。ひとつは選手の起用法だ。確固たるベストメンバーというものが今のところなく、ここまでの公式戦4試合で同じスタメンを組んだことは1度のみ。この日も直近の試合であるナビスコカップ初戦からメンバーを4人入れ替えて臨んでいる。各ポジションに2名以上のレギュラークラスを抱え、しかもその選手たちが試合で遜色ない働きを見せられるのは、チーム内に正しい競争があることの証明である。リーグ屈指の選手層を使いこなしている点で、まず名古屋は強豪たる姿を見せているといえる。
もうひとつは試合運びの柔軟さだ。昨季までの名古屋は自分たちが主導権を握り、得意のサイド攻撃がうまく回っている時にはどんな相手でも勝つことができた。その反面、サイド攻撃を封じられ、組織守備の構造的欠陥を突かれると脆いという顔も持ち合わせていた。しかし今季の名古屋はサイド攻撃だけでなく、中央突破とロングフィードからの強攻も使いこなす。まだその完成度は高くはないが、徐々に効果を見せ始めている。主導権を握りつつも、相手に合わせた攻め方を選択する。日本では鹿島しか実現できていない領域に、名古屋も足を踏み入れつつあるわけだ。
そこで、今回の神戸戦である。神戸は「名古屋の得点には常にケネディが絡んでいる」(三浦俊也監督)とし、ケネディへ激しいマーキングを敢行。そしてボール奪取のポイントを中盤に定め、名古屋の中盤を無力化する戦い方を選択した。前半はその効果が現れ、主導権をどちらも握れない展開となったが、その中で注意していたはずのポイントから神戸が失点を喫したことで、試合は名古屋に傾いた。前半26分、ペナルティエリア前ゴール真正面でのFKを得ると、これをブルザノビッチが強烈に打ち抜く。壁の横を抜けたほぼ無回転のシュートは一直線にゴールに突き刺さった。このFKとなるファウルを受けたのはケネディであり、それは中盤をふさがれた名古屋がロングボール中心の攻撃の賜物である。ケネディがいてこその戦術だったともいえるが、昨季の名古屋ならば闇雲にサイド攻撃を仕掛け、ボールを奪われてはカウンターを喰らっているところである。代名詞である攻撃手段を封じられた時に、割り切って別の策を採る。柔軟な姿勢が生んだ先制点だったといえるだろう。
神戸のその後反撃に転じ、両チームともいくつかの決定機を作ったもののノーゴール。前半は1−0で折り返し、試合は後半へと突入した。ハーフタイムの指示は、両監督のコメントがかみ合っていて面白い。ストイコビッチ監督が「積極的にボールをもらい、スペースを有効に使おう」と言えば、三浦監督は「中盤はもう少し早くスペースを埋めろ」と言う。落ち着かない展開の中で生まれたスペースをいかに使うか。そこで後半開始早々に攻勢に出たのは、神戸の方だった。FWの吉田孝行とサイドハーフのポポの位置を入れ替え、ゴール前での脅威を増すと、4分にはペナルティエリア前のFKをポポが狙う。これが壁に入った闘莉王の腕に当たり、さらに至近距離からのFKとなる。ペナルティエリア内に築かれた名古屋の壁は7人がかり。これもポポが狙ったが、際どいコースに飛んだシュートをGK楢崎正剛が驚異的な反応で防いでみせた。絶体絶命のピンチを乗り越えた名古屋はこれ以降、再び主導権を握り始める。
試合を決定付ける追加点は後半の27分。得点はまたもブルザノビッチのFKだった。もちろんファウルを受けたのはケネディ。今度は速く落ちるボールで壁を越え、追いすがる神戸を突き放した。リーグでも屈指の高さへの警戒心が裏目に出た神戸は、日本代表にも選出された永井謙佑を投入するなど攻めの交代策を打っていったが効果は出ず。逆に名古屋は2得点目を挙げた直後にブルザノビッチを吉村圭司に代える守備固めが奏功。ロスタイムのマギヌンと三都主アレサンドロによるCKを使った時間稼ぎも見事だった。誰もが想像する名古屋らしさは発揮できなかったものの、状況に合わせた戦い方で勝利を勝ち取る強さを見せ、名古屋はリーグ戦連勝とホーム豊田での今季初勝利を手に入れた。
試合後の名古屋の選手の表情は晴れやかではなかった。小川は「やりたいことは50〜60%しかできていない。でも内容が悪くても勝てたのは良かった」と言い、「1−0で折り返して、失点せずに集中するというプラン通りにできた」と増川隆洋も煮え切らない表情で語る。しかし、悪いながらも勝点3を得るということができたのは大きい。神戸の選手も内容の悪さを感じておらず、名古屋がしたたかに勝ったという方が正しいだろう。「勝ててよかった」という台詞が決してネガティブに響かない結果は、ここから3連勝、4連勝とつながる期待感すら抱かせるものだった。
以上
2010.04.04 Reported by 今井雄一朗
J’s GOALニュース
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