4月3日(土) 2010 J2リーグ戦 第5節
徳島 0 - 3 大分 (16:04/鳴門大塚/4,275人)
得点者:15' キムボギョン(大分)、49' チェジョンハン(大分)、72' キムボギョン(大分)
スカパー!再放送 Ch185 4/5(月)15:00〜(解説:田渕龍二、実況:小玉晋平、リポーター:奥田麻衣)
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「そうっ、そうっ」「あーっ」「クロス、クロス入れろ、スンジン!」
ちょうど筆者が座っていたすぐ横のチーム関係者席から小さな声が聞こえてきた。さらにその声の主は時折力のこもった両手のジェスチャーをし、また時には天を仰ぐ。まさにチームとともに闘っているように─。そして敗戦を告げられるホイッスルが鳴ると、彼は眼前に広がるピッチを見つめたままなかなか席を立とうとしなかった。少し後ようやく周囲に促されて腰を上げたが、立ち上がってもなお視線は本来なら自分が立っていたはずのピッチに向けられたままで、その眼差しには溢れ出さんばかりの悔しさがハッキリと見て取れた。
そこにいたのは津田知宏。前節2ゴールを挙げてチームを勝利へと導き、今節でも得点の期待が高まっていたエースだが、前日練習で不運にもケガを負ってしまい、この一戦では欠場を余儀なくされたのだ。徳島にとっては直前に起きた全く想定外の大きなアクシデントであったと言えよう。
こうして津田を欠くことになった徳島は、柿谷曜一朗をFW起用し平繁龍一と並べる形を取ってこの一戦に臨む。しかし、やはり急造の対応策。美濃部直彦監督も「練習も積まないままいきなり組んで合わすということが難しい作業であった」と振り返ったように、なかなか攻撃が機能しない。ただそれは柿谷と平繁だけの問題というわけでなく、彼ら2人をサポートする周囲も含めて何かチーム全体の歯車が噛み合っていないような雰囲気であった。
するとその上手くいかない状況は選手たちの足を信じ難いほど重くする。実際に「全てが半歩遅かった」と青山隼も語ったが、徳島は前節まで確かに見せていた素早い攻守の切り替えを全く失ってしまった。そのため、それを見透かしたように鋭い出足を見せる大分に多くの場面で後手を踏まされ、チームは本来自分たちがすべきサッカーをそのまま逆に前半からやられてしまったと言わざるを得ないだろう。そのうえ警戒していた部分を突かれ早々に先手を取られたことも徳島にはダメージとなったに違いない。美濃部監督が会見で挙げたセットプレーとドリブルがそれだが、15分に奪われた先制点はキム ボギョンにドリブルで中央を割って入られたことで与えたFKからであった。
そして迎えた後半も徳島のギアは上がってこない。それどころか始まってすぐの49分には反撃に向かおうとする出鼻をくじかれる追加点まで許すことになる。その後美濃部監督がいつもより早めの采配を振るって徳重隆明と佐藤晃大を投入するも、ゲームの流れは大分に傾いたまま変わらず、72分にはダメ押しとなる3点目までを再びキム ボギョンに決められて万事休す。徳島は今季初黒星をホームで喫することとなってしまった。
と、ここで後半の2失点について少し触れておきたいのだが、いずれもそのキッカケとなったのは低い位置でボールを失ってしまったこと。だからと言ってそれに絡んだ選手に問題の焦点を当てるつもりはなく、そこでそのような事態が起きる可能性がチームとして早くからあったように思われる。前線へ効果的なボールが入れられないことにより徳島はボールを奪っても中盤から後ろでのパス回しが多く、時間を費やして攻め所を探していたことが結果的に大分のプレスと出足の餌食になる要因となったのではないだろうか。決して津田がいなかったからという結論に結び付けたいわけではないが、前で早く起点を作れていなかったことが失点を重ねる引き金となってしまっていたのはおそらく間違いない。
そのような徳島とは対照的に、快勝した大分としては前節の嫌なムードを一気に振り払う戦いが出来たと言っていいだろう。披露した見事な攻守の切り替えと、ひとりひとりが少ないタッチでボールを動かすサッカーは非常にスピーディーで、しかもボールホルダーをどんどん追い越す周囲の動きは非常にダイナミック。そのパフォーマンスには皇甫官監督も「我々が持っている力を出せば、簡単でないにせよ勝っていくことが出来ると思う」と自信のコメントを残した。いずれにしても大分は「先週1-4で敗れたことが薬になって」(皇甫官監督)息を吹き返したと言っていい。次節に向けての勢いもついたはずだ。
最後に徳島に話を戻すと、次のゲームはいよいよ四国ダービー(次節は試合なしのため7節)。それを見据えたなら、チームにはこの一戦と正面から向き合い、反省点をひとつひとつしっかり克服することが求められる。しかもここでそれを乗り越えることは自らの求める成長にも確実に繋がっていくのだから。選手たちの奮起に期待したい。
以上
2010.04.04 Reported by 松下英樹















