4月3日(土) 2010 J1リーグ戦 第5節
C大阪 3 - 1 京都 (13:04/長居/8,926人)
得点者:31' 香川真司(C大阪)、52' 香川真司(C大阪)、70' 宮吉拓実(京都)、90' 播戸竜二(C大阪)
スカパー!再放送 Ch180 4/4(日)21:30〜(解説:長谷川治久、実況:本野大輔、リポーター:森田純史)
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京都は、対C大阪で、フォーメーションに手を入れた。C大阪のアタッカー3枚の香川真司、乾貴士、アドリアーノに対し、京都はディフェンス4枚、増嶋竜也、森下俊のサイドバックが中に絞るなど自由に動ける様にして、対応するプランで臨んでいたことを京都・加藤久監督は明かした。
これまでアンカーとしてディフェンスの前にいたチエゴを一つ前に、角田誠と共に、C大阪のアマラウ、マルチネスへ付かせることで、京都は4-4-2の様な、ディフェンス4枚はかなり変則的になるが、こうしたゲームプランでC大阪戦に臨んだのだ。教科書通りのゾーンで守るというよりもマンツーマンをはっきりさせたような戦いで混乱を防ごうとしたのかも知れない。
だが、試合開始すぐの6分に、前に向かれた香川にシュートを打たれ、バーを叩いたボールを乾に頭で押し込まれそうになるなどヒヤリとさせられる。11分過ぎには京都右サイドで、乾がヒールで落とし香川。香川に京都の意識が行くや否や、香川からまた前の乾にパス。これで京都守備陣の意識が振りまわされる。こうして、香川、乾に京都守備陣が翻弄されていく。ただ、23分過ぎにはC大阪陣内で香川がボールを受けて方向を変えようとした所を増嶋がボールを奪って攻撃を仕掛ける、また33分には、香川のヒールキックを郭泰輝がカットしてディエゴのシュートにつなげるなど、香川からボールを奪えば確実に京都のチャンスになっていたことも事実である。
スコアが動いたのは31分、香川から乾。乾がドリブルから斜め中央へ走る香川へ送られるとこれをダイレクトで決められ先制を許す。
後半、京都は、乾と香川のマークに角田誠を付けるため、右サイドバックに角田、右サイドハーフに増嶋という並びする。渡邉大剛が左サイド、中山博貴が中央に入り、「中盤を厚くした」(加藤監督)格好にする。
しかし、52分に右サイドの香川から逆のマルチネスに送られるとループシュートを許してしまい、水谷雄一が何とか触るものの香川に押し込まれ、2-0にリードを広げられた。
これで攻めるしかなくなった京都は宮吉拓実(渡邉OUT)を投入。何度かC大阪の速攻を受けるも70分、ディエゴのクロスに宮吉がトラップからボレーを放つと京都待望の、反撃の狼煙となる得点が入る。
これで勢いに乗ると京都は残り16分でドゥトラの投入に踏み切る。加藤監督は試合後「今日はいいとか悪いとかよりワンチャンスでゴールを決めるという感覚を持っているのでそこに期待した」と話した。この辺りは監督の勘の範疇となるだろう。「勝負(或いは賭け)に出た」ということで、磐田戦ではそれが勝利に、今回は3失点目となってしまったということになる。
90分に、香川を絡めつつ途中交代で入った家長昭博、播戸竜二のコンビに決められ、1-3と突き放されてタイムアップとなった。
今節の勝負、評価する所は、宮吉がJ初ゴールを17歳7カ月27日というJリーグ史上四番目の年少記録で決め、その後に京都が反撃の意地を見せたことくらいか。この反撃も、指揮官は「GKと柳沢が接触して(柳沢のファールでGKの治療の時間で)だいぶ時間が空いて、そこで流れが変わった」と分析したが、家長と香川の所でボールを落着いて回されてしまったことも京都が流れを完全に引き寄せられなかった要因の一つであるということも見逃せないだろう。
今節はそれよりも、試合後に選手がどういうことを感じていたか、ということにポイントがある様な気がする。
「受身になってしまった」(森下俊)、「全体的にプレッシャーがちょっとかからなかった」(増嶋竜也)、「裏に抜ける選手がヤナ(柳沢)さんしかいなかった」(中山博貴)、「攻撃したかった」(角田誠)。
彼らの反省を逆にしてみと、「受身にならないように」「全体的にプレッシャーをかけて」「裏に抜ける選手が柳沢以外にも必要」「攻撃をしないといけない」となる。実は、これらの言葉は今シーズン京都がやっていこうとするサッカーになるのだ。つまり、今節は「京都がやろうとするサッカー」が全くできていなかったということである。
これまで、鹿島、仙台、磐田、大宮と善戦してきた。ゲームプランについては試合毎に全く異なる。だがしかし、先に並べた「京都がやろうとしているサッカー」は終始一貫、変えることなく戦ってきたはずだ。それが今節のC大阪戦で、ほぼ出来なかったということになる。試合後のコメントをみれば、選手もそのことを痛感しているのだろう。
例えば鹿島戦。森下はマルキーニョスとの最初のマッチアップで相手よりも先にボールに触り素晴らしいディフェンスを見せた。これでマルキーニョスは試合序盤、明らかに落ち着いてプレーできなかった。森下が受身にならずプレーできていた、ということである。
今節の後半11分。増嶋が裏に抜けだしGKと1対1になった。増嶋は鹿島戦で新井場徹を相手に果敢に攻めて2度、相手ペナルティエリアに侵入している。こうした裏を取る走り抜けは磐田、大宮とずっとやってきたこと。それを今回はサイドハーフというある程度守備を免除されてやっと出来る有様。香川、乾を相手にしてこれまでやってきた「リスクはあるが恐れずに攻めに出る」ということが出来なかったのである。
今季やろうとしている「京都のサッカー」が出来なかったのは、相手を過剰に意識した結果で、能力や戦術ではなく精神面の問題だろう。
もう一つ。増嶋がGKと1対1になった時、スタンドからは、クロスかシュートかで迷いがあった様に観えた。磐田戦でゴールを決めた柳沢は後日、「その日はディエゴからいいパスが来ても迷ってしまったところがあった。あのゴールについては全く迷いがなく振り抜けた」と話していた。さらに昨年、なかなか結果を出せなかった豊田陽平にアドバイスを送るなら、と聞かれ柳沢は「アドバイスというほどのものではないが、ゴール前で必ずチャンスは来るので、そこでどれだけ落着いて決められるかだと思います」と話していたことを記憶している。「迷わないこと」「落着くこと」と以前から柳沢が心がけていたこと。あのゴール前の増嶋にはそれがなかったのではないか。DFだからという技術、決定力という問題ではなく、心のありよう、大げさに言えば「境地」ということだろう。それが欠けていたから大きなチャンスを前にして力を発揮できなかったのではないか。心のありよう、これはゴール前に限ったことではない様な気がする。
今節、初めて対戦するC大阪、そして香川、乾といった選手を相手に、京都は応用問題と向き合ったという印象だ。その時に選手たちは前述したような「京都がやろうとしているサッカー」という基本を疎かにしてしまったということだろう。
加藤監督はシーズンに入る前に「繰り返し、繰り返しやることで洗練されていく」という話をしていたが、技術、戦術の前に、どんな状況下でもいつもと変わらぬ「京都のサッカー」が出来るように、選手の内面も繰り返し、導く必要があるのではないか。
以上
2010.04.04 Reported by 武田賢宗















