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【J2:第19節 鳥栖 vs 草津】レポート:意図したサッカーで、攻撃を封じ込めた草津が勝点2を逃す。「今日は負け試合」と老将に言わしめたプレッシングサッカーに鳥栖は引き分けがやっと(10.07.26)

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7月25日(日) 2010 J2リーグ戦 第19節
鳥栖 0 - 0 草津 (19:04/ベアスタ/5,696人)
スカパー!再放送 Ch184 7/26(月)後03:30〜
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サポーターたちは、スタジアムに足を運んでいるときに、贔屓チームの戦い方をどのようにイメージするだろう。大半の人は、ポジティブに考え、勝利を描いているに違いない。それが、上位に位置すればなおさらで、昇格圏内に手が届くとなれば、なおさらのことである。とはいえ、一抹の不安も抱えているのも間違いない。そして、試合後にその不安のほうを目の当たりにし、意図したイメージとは違う内容の試合を見せられたときのショックは大きいだろう。今節の鳥栖対草津の一戦を観戦した鳥栖のサポーターは、まさにそのショックを感じたのではないだろうか。初夏のナイトゲームが終了したスタジアムには、草津サポーターの拍手と鳥栖サポーターのブーイングが交差していた。

このような試合になるには、いくつかの要因があるが、あえて草津側から述べさせて欲しい。それは、サッカーの面白さを体現してくれた草津に敬意を表する意味と、狙い通りに展開できなかった鳥栖に自戒を込めてのことである。

草津は、前節の福岡戦で見せたように前線からボールを奪いに来ていた。単にボールを追うだけでなく、FWがチェイシングをはじめると、4枚のDFも連動して高い位置にラインをそろえて鳥栖の攻撃陣を押し返した。『ボールの出しどころから自由を奪い、ボールの出されどころを窮屈にした』のである。そうやって奪ったボールを少ないタッチ数で縦横無尽に動かすことで、鳥栖に『ボールの取りどころを絞らせなかった』のである。
読者諸兄にお勧めするのは、この試合をあらためて映像で見直すときに、ボールのある争点だけでなく、草津の全体を見て欲しい。前線からの連携した守備、統率されたDFライン、ファーストディフェンスとカバー、長短を織り交ぜたパス・・・、サッカーがチームプレーであることを再認識させてくれるに違いない。そして、ボールのあるところでは、MF松下裕樹と櫻田和樹の身体を張ったプレーに最終でゴールを守るGK常澤聡のファインプレーの数々・・・。
サッカーが、“個のプレーの意図ある連続性”が無ければ成り立たないことも証明してくれている。

とはいえ、鳥栖が全くサッカーをできなかったわけではない。
シュート本数は、草津の6本に対して11本を放っている。FKも13本に対して23本を得ている。試合の主導権を引き寄せるタイミングは多かったはずである。手元の集計ではあるが、決定機も草津1本に対して、鳥栖は3本もあった。先制点をあげるチャンスも鳥栖が多かった。
局面では鳥栖も草津に負けないファイティングスピリッツを見せた。特に前半30分に松下裕樹の放った強烈なシュートに対して、DF木谷公亮が間一髪で延ばした足でコースを変えて草津の先制点を防いだ。
他にも草津の激しいあたりに臆することなく身体を張ってプレーし続けた。MF金民友は左目上に裂傷を負いながら87分までプレーを続けた。それでも、最後まで草津が試合を優位に進めていたのは、草津の素早い出足と細かなパスワークに翻弄されていたからである。

サッカーは、1点を奪いあうスポーツである。どんなスーパーゴールでも、1点しか加算されない。故になかなか得点シーンを見ることができず、悔しい思いをすることが多い。それでも、そこにサッカーの面白さが存在するわけで、得点に至るまでの経緯に引き込まれてしまう。
ボール1個で生まれるドラマに感動と興奮と悔しさを味わうこともできるが、そのボールが無いところでも、実に多くのドラマが生まれているスポーツでもある。
思うように得点が入らないので、見ている側もあれこれと思考をめぐらせる。監督になった気分で選手起用を考えたり、相手チームを見て戦術を考えたり、時にはミスに野次を飛ばしたり・・・サッカーは、プレーしても見ても面白いスポーツである。

そこで、今節の試合を鳥栖側に立って考えてみることをお勧めしたい。そうすることで、サッカーの面白さをより具体化できるし、さらにその魅力に引き込まれることだろう。あの素早い草津のプレスに対して、どのようにしてかわしたらシュートまで持っていけるのか・・・。高いDFラインの裏を狙うには、どこからボールを入れるのが有効だろうか・・・。細かなパスワークを崩し、相手を広げてスペースを作るためには、どこを突いていくといいのか・・・。まだまだ多くの見所(突っ込みどころ)が満載の一戦であった。

最後になるが、特筆しておきたい選手がいる。
草津の24歳の若いGK常澤聡である。もともと、至近距離からの反応には定評のある選手だったが、この試合でも数々のファインプレーを見せてくれた。特に前半のロスタイムに萬代宏樹(鳥栖)が反転して放った左足からのシュートをブロックし、そのこぼれ球をはじき出したプレーは圧巻である。試合後に「あそこでは、キャッチできるようにしたい」と振り返った言葉に、大器の風格が垣間見えた。これから、草津サポーターだけでなく、鳥栖のサポーターも注目しておいて欲しい選手である。

どんなサッカーにも、人をひきつける要素がちりばめられている。ワールドカップの興奮が冷めやらぬ間にJリーグが再開した。今年は、サッカーファンにはたまらない一年である。
どこから見ても、どこを語っても、どこを取り出してもサッカーには人をひきつける魔力がある。
サッカーは、本当に奥が深いスポーツである。

以上


2010.07.26 Reported by サカクラゲン
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