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【J1:第15節 京都 vs 浦和】プレビュー:戦い方を整理し、京都は可能性を見せられるか。強敵・浦和との大一番に挑む!(10.07.28)

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7月28日(水)J1 第15節 京都 vs 浦和(19:00KICK OFF/西京極チケット販売はこちら
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第15節、京都は西京極で浦和を迎え撃つ。
前節の川崎F戦、ヤマザキナビスコカップ予選リーグ以来の3−4−3の布陣で臨んだ京都。予選リーグ時、3−4−3への変更について加藤久監督は「守備ブロックを少し下げた」、「サイドの選手を前からスタートできるようにした」と話していたことがあった。

特徴的だったのは前線の柳沢敦、ドゥトラ、ディエゴの3枚だ。攻撃時は3人の距離を緊密にし、守備時では3枚で守備ブロックを築いて、主にドゥトラが相手の右サイドバックに蓋をし、中央に入るボールを柳沢、ディエゴが狙う形を取っていた。
「守備ブロックを少し下げる」というのは、前線とボランチ、そしてディフェンスラインの距離を近くすること。ブロックを自陣寄りにすることで、攻めてくる相手の背後のスペースは大きく空くことになる。つまり、ブロックを下げコンパクトにして、前からボールを奪いに行くことで、ボールを奪った直後、相手の背後のスペースを使っての速攻が可能になったのだ。

前線は、3枚でひとつのユニット、という考え方の方がすっきりするだろう。守備では、中盤との距離を意識し3枚並んで相手の4バックを見る。一枚足りないので不利な面は当然あるが、ここでボールを奪う、あるいはブレーキをかけさせ、中盤、ディフェンスで奪い、一気に裏のスペースを使う。1トップ、2トップならば相手に狙われやすいが3人なら狙われにくい、さらに、サイドバックとセンターバックの間などギャップに入れば、前を向く時間もある。今の3枚、柳沢、ドゥトラ、宮吉拓実ならば何でも出来るだろう。後は後方とサイドからのパスの質である。

「サイドの選手を前からスタートできるようにした」というのは渡邉大剛、中村太亮が積極的に前に守備、攻撃ができるようにしたということ。ヤマザキナビスコカップ予選リーグ第5節の名古屋戦。中村太は名古屋の右サイド小川佳純と田中隼磨の二人を引きつける働きをした。それに連動し、ドゥトラがやや中に絞り込まれマークが甘くなった。攻撃に出ることで相手のサイドバックを引きつけられれば前線3枚のマークにズレが出来る。名古屋の中盤はダブルボランチではなかったので余計にズレが目立った。サイドが上がることで自然とギャップを作れていたのだ。

前節、川崎Fとの対戦で、京都は3−4−3に戻し、前線にはドゥトラ、ディエゴ、宮吉を並べた。ドゥトラは相手に捕まりにくい所に入り込んでいたが、ディエゴの前線への絡みがやや薄いようには感じさせた。だが、前線の攻撃力とアイデア、チャレンジは湘南、G大阪戦よりも増し、可能性を感じさせてくれた。
この京都の戦い方に慣れてきた川崎Fは中村憲剛がスルーパスを送るようになると、京都はディフェンスラインが下がるようになる。京都の3バックの弱点が露呈したのだ。
京都の3バックの守備は前に出ていくのが一番の強みである。前でカットして攻撃に移る。だが、3バックが裏を怖がりラインを下げ、さらにボランチが中村憲を追いかけると、バイタルエリアにスペースが生まれてしまう。そのため、3バックが前に出る守備をしても遅れてしまいファール、又は、かわされてしまう様になる。これでバランスを崩した京都は川崎Fに流れを奪われる。
バイタルを突かれる。これはヤマザキナビスコカップ予選リーグ第6節のF東京戦でも見せていた。だから、バイタルを上手く突くG大阪との戦いでは2人のCBにアンカーを置く形にしていた。

後半に入ると京都はドゥトラに代えて柳沢を投入した。だが、ディエゴがトップ下の位置に入ってしまったことで、守備ブロックを形成する時に川崎Fの右サイドバック伊藤宏樹に蓋を出来ず、後方の守備の役割分担がはっきりしなくなる。また、宮吉もサイドバックに蓋をすることに気を取られ、攻撃時の3枚の距離感に意識が行かず、攻撃陣はばらけていった。もったいないという感想だ。
バランスを崩さないように、とは加藤監督がいつも言っていたことだが、右サイドバックに蓋をするのを忘れた前線の守備、中村憲を追いかけることで周りとの距離感に気を配れなかった中盤の守備、ラインを下げてしまった3バックと、京都のバランスは崩れていた。
まずは、ヤマザキナビスコカップ時の全体のバランスを思い出すべきだろう。フォーメーションの問題ではない。京都の良さはどこで、弱点はどこか、それを選手自身が理解するこが求められる。そして、対戦相手の浦和にあてはめていく作業に入るはずだ。

対戦相手の浦和。前節、右サイドに山田直輝が先発。加藤監督は「ポンテは決定力があり、山田はトリッキーな動きを見せる」と二人の違いを認識していた。山田暢久が今節も、更には細貝萌も出場停止となる。ボランチには鈴木啓太が入るだろう。

4−2−3−1の浦和の良さを消すため、京都は4−1−2−3を採用するのではないか。前線は柳沢、ドゥトラ、宮吉。この3枚がユニットを組む。中盤にはディエゴと角田誠。この二人が阿部勇樹と鈴木とマッチアップ。そしてアンカーの安藤淳が柏木陽介と対峙する形だ。
ポイントは京都の前線3枚と浦和の守備4枚。まずは速攻を狙いたい。バランス良い守備からの速攻である。スピードのあるスピラノビッチと坪井慶介の守備だが、要はどう引き付けるか、だろう。相手にとって怖いのはシュートを打たれること。フィニッシュへの意識を強くすれば、相手はバランスを崩してでも取りに来る、そこで、パス、それともかわしてシュート、と手玉に取ることもできる。先手を取ることができるか。前線3枚の動きに期待したい。
京都が、繋いで中盤で時間を作れれば、サイドの渡邉か中谷勇介は、前線3枚が中に絞ったことで出来るスペースを突くことができる。渡邉、中谷がサイドを切り裂けばゴールはすぐそことなる。中央で勝負か、サイドで勝負か、中盤の判断がリズムを作る。

サイドが上がれば裏のスペースが空く。監督は「サイドが上がった後のスペースにボールが出れば、原則はボランチがいく」と話していた。サイドを上がらせて、その裏を使われれば安藤がカバーに入ることになる。そうなれば柏木が空いてしまう。京都は逆サイドのサイドバックの対応力も問われる試合となるだろう。
浦和の強みは個人の突破力と決定力の高さ。個々の戦いで簡単にやられては到底勝ち目はない。さらに、互いの距離感が近いため、ボールを奪われてもそこから守備に入り奪い返す力もある。「展開を早くして逆サイドに送ればスペースはある」と加藤監督は浦和攻略を話す。

京都の今の土台となるのは水本裕貴、増嶋竜也、そして安藤のボールの繋ぎだ。ここが落ち着いてさばけるからこそ、ゲームが落ち着くのだ。今節も彼らは京都のポゼッションの核となるだろう。

昨年までの京都と比べ、ボールを受けても出す所がなく、簡単にパスを出して奪われる、というシーンは極端に減っている。前を向いて勝負に入ることもできている。チームは格段に成長していると断言してもいい。だからこそ、リーグでも屈指の力を持つ浦和に、どこまでサッカーができるかチャレンジする姿を観たいと切に願う。昨年末の、守ることしか出来なかったサッカーより、今の京都はきちんとサッカーができる、という姿を見せて欲しい。

以上

2010.07.27 Reported by 武田賢宗
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