同じ北関東といえども栃木県や群馬県ほど茨城県は「雷」の発生率は高くない。地震は多いが、雷はそれほど多くない。それが茨城なのである。
だからこそ、7月24日第19節大分戦における雷雨は脅威でもあった。試合前から迫りくる雷鳴。試合が開始されると、どんどん近づいてくるのが分かった。雷の音と光の間隔が近くなり、雨も降りだした時点で審判団は話し合いを始め、電光掲示板の時計が35分58秒を指した時点で試合は中断となった。
この審判団の判断は極めて正しかった。中断後、さらに雷雨が激しくなり、試合どころの状態ではなくなった。雷鳴によりスタジアムは揺れ、そして中断から40分後にはスタジアムが停電し、周辺の道路からは消防車の走る音が聞こえだすなど、騒然とした雰囲気に包まれた。ケーズデンキスタジアム水戸は田んぼの真ん中に1か所だけそびえ立っている感じで建てられているだけに、落雷の恐怖もあった。
私は昨季雷雨で試合が中止となった第33節栃木対横浜FCの試合も取材で行っていたのだが、その時よりも雷は激しかったと思う(ちなみに昨季の試合は雷よりもその後に起きた地震の方が怖かった)。そんな状況の中、中断から1時間20分経ったPM8時に試合中止が決定。クラブがシャトルバスをピストン運行させるなど的確な対応をしたことで、何も事故が起こらなかったことが何よりと言えるだろう。
そうした喧騒の中、私はプロフェッショナルの魂を見た。試合中断後、雷雨が激しくなった時、そこで「雷の写真(え)を撮らなくちゃ」と危険をかえりみず、記者室から飛び出していったのが、カメラマンの伊藤厚さんであった。
現在、横浜在住ながらも水戸のオフィシャルカメラマンとして活動する伊藤さん。普段はファッションや広告など様々な分野で活動しており、忙しい日々を送っているが、サッカーをこよなく愛し、「日本サッカーが発展するためにも水戸のようなクラブが地域に密着して存在することが大事」という信念を胸に、毎試合水戸のために横浜から駆けつけている。往復の交通費などがかかるため、「ほとんど儲けはないですよ」と苦笑いを見せるが、それでも「水戸のために」とスタジアムにやってくるのだ。
マッチデープログラムやオフィシャルHPの写真、そして茨城交通のバスに貼られているイケメンポスターの写真もすべて伊藤さんの手によって撮られたものである。彼なくして水戸の広報活動はないと言っていいほどの働きを見せてくれているのだ。
試合後、家に帰って水戸のオフィシャルHPを開けてみると、空から一筋の雷がスタジアムに落ちているような写真がトップに掲載されていた。それはまさしく伊藤さんが撮ったものであった。素人目ではかなりすごい写真に見えるのだが、この写真を撮った後、伊藤さんは「もっと激しい写真を撮りたいんだよね」と不満げな表情を見せていた。常に「もっといいもの」を追い求める伊藤さんはまさにプロフェッショナルの鑑と言えよう。
水戸に携わるプロフェッショナルは選手や監督だけではない。ぜひともこれからは、水戸の写真にも注目してほしい。
以上
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2010.07.27 Reported by 佐藤拓也
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