10月20日の宮の沢グラウンドで、1人の若者が再び歩みを始めた。10月上旬に中国で行われたU−19アジア選手権で負傷し、帰国後の検査で「右膝外側側副靭帯損傷」と診断された古田寛幸が、リハビリを開始。全治3ヶ月。現実的に考えて、今季のリーグ戦出場は難しくなってしまった。
常に謙虚だけれど、プレーはダイナミック。古田が高校3年生だった昨年から、そういうスケールの大きさを目の当たりにしてきただけに、彼が松葉杖をついて階段を一歩一歩ゆっくりと降りてくる姿を見たときは、何とも言えない気分になった。
「U−20W杯にも行けないし、怪我もしちゃったし。ダブルショックですよ」
開口一番、古田は発した。でも、口調には力強さがあって、こう続けた。
「これも経験ですよね。この怪我も、自分が強くなるきっかけにしたいです。それに、W杯に行けなかった以上、何とかしてその穴を埋めなきゃ」
やはり、スケールの大きな男は違う。常に未来を見据えている。スピード違反で捕まったことを、しばらくの間クヨクヨとしている筆者とは訳が違うのだ。というか比べる次元がそもそも違うのだが。
そして実際にポジティブになれる要素はある。彼は、U−19アジア選手権のグループリーグ最終戦で負傷し、U−20W杯出場をかけた決勝トーナメント1回戦(準々決勝)のU−19韓国戦には出場ができなかった。その韓国戦前日には「仲間が勝ってくれるのを信じて、準決勝に向けて準備をします」と話していたが、結果的にはU−19日本代表は韓国に敗れ、古田の願いは叶わなかった。でも、帰国して検査を終えたいま、もしそのまま準決勝に出場をしていたらと思うとゾッとしてしまう。本人も「あのままプレーしていたら、取り返しのつかないことになってましたよね…」と口にする。
でも彼の表情を見ていると、同年代の仲間とともに死力を尽くして戦う場で、グラウンドに立てなかった悔しさのほうが大きいように感じてしまう。
だけれど、そうやってみんな強くなっていくんだと思う。丸いボールを転がすこの世界、思うようには進んでくれない。その現実をどうやって力に変えていくか、それが大事なんだと思う。そして、この19歳はその力を持っているとも思う。羽が生えたことも、深爪したことも。ポジティブなこともネガティブなことも、どれも力に変えていく強さを彼は持っていると思う。ひたむきに光を探していく強さを、古田寛幸という男は持っている。
それにしても羨ましく思ってしまう。19歳の頃の筆者といえば、「だっふんだぁ」な毎日をひたすらに送っていた。それに比べて彼は、日本サッカーを背負っていく19歳なのだから。32歳の筆者にも「サッカーがうまくなりたい」と思わせてくれる古田。残り少ない十代の日々は、きっとキラキラと輝いていくことだろう。
以上
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2010.10.22 Reported by 斉藤宏則
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